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TikTokしたくなってくる縦位置動画が撮りやすい新世代コンデジ「PowerShot V10」

武者良太ガジェットライター
筆者撮影

スマートフォンのカメラが進化を続けるなか、コンパクトデジタルカメラの存在感は次第に薄れてきました。一般社団法人カメラ映像機器工業会(CIPA)が2月1日に公開した2022年のデジタルカメラ生産出荷実績によれば、レンズ交換が可能なミラーレスカメラはコロナ禍真っ只中だった2021年のときよりも伸びていますが、コンパクトデジタルカメラは販売台数が大幅に下落しています。

もうコンパクトデジタルカメラは不要だ。スマートフォンで撮影すればいい。もしくはミラーレスカメラを使えばいい。という声も聞こえます。その意見は確かに理解できます。

しかし、誰もが高性能カメラを積んだ15万円以上もするハイエンドスマートフォンを持っているわけではありません。また交換用レンズを含めると持ち歩く荷物が増えるミラーレスカメラが万能ということもありません。

いま売れているコンデジはポケットサイズの超望遠タイプ

そういった状況の中、価格.comでコンパクトデジタルカメラの人気売れ筋ランキングを見ると、最も売れているモデルは2018年から発売されたキヤノンのPowerShot SX740 HSでした(確認したのは2023年5月10日)。画質はイマイチだけど24mm~960mmという、超望遠ズームレンズを搭載しているモデルです。

スマートフォンが不得意な超望遠性能が、5万円以下で手に入る。これは確かに商品力が高い。長年売れ続けているのもわかります。

キヤノンコンデジの最新作は動画撮影を重視

筆者撮影
筆者撮影

2023年5月11日、キヤノンは新型のコンパクトデジタルカメラ「PowerShot V10」を発表しました。GoProなどのようなアクションカムにも見えてくるデザイン。実は動画撮影機能を重視したコンパクトデジタルカメラなのです。

画角の広さは動画撮影時で約19mm相当。アクションカムや、スマートフォンの超広角カメラと同じように広い範囲を撮ることができます。この広さであれば自撮りをしたときに、周囲の景色も一緒に録れます。また1.5倍/2倍/3倍のデジタルズーム機能も備わるため、画質は劣化するものの特定の範囲を大きく映すことも可能です。

4KまたはフルHDでの撮影が可能。センサーサイズも1インチと余裕があり、カフェなどの屋内でも比較的ノイズが少なく、スッキリとした映像を残せます。

自立できるスタンドパーツがついている

筆者撮影
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興味深いのが、本体を自立させることができるスタンドパーツがついていること。

筆者撮影
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レンズを斜め上にも、斜め下に向けるような角度にもセッティングできます。スマートフォンでハンズフリーな撮影をするときはスマホクリップにスマートフォンを挟み込み、さらに三脚をつける必要がありますが、「PowerShot V10」ならその手間が不要です。

ディスプレイを前に向けることもできるので、撮影しているときの画角を常に確認できます。

高音質ステレオマイクを装備

筆者撮影
筆者撮影

本体上部にあるメッシュ部分はマイクです。無指向性のステレオマイクが内蔵されているため、動画とともにステレオサウンドも記録できます。

指向性マイクで撮るASMRほどの臨場感は残せないかもしれません。しかし一般的なスマートフォンやアクションカムよりは、音が鳴っている方向が明瞭で広いサウンドステージを感じさせてくれる音が録れるでしょう。

スタンドパーツをグリップにすれば縦位置撮影もラクラク

筆者撮影
筆者撮影

筆者がもっとも気に入ったポイントが、縦位置での撮影もしやすいところ。本来なら自立させるために使うスタンドパーツをグリップ代わりにすることで、縦位置で撮れるように握ることができます。

前述したマイクは縦に並ぶことになるため、音に関してはステレオ感が得られなくなりますが、一般的なスマートフォンやアクションカムよりも大きなセンサーを用いているから、暗い場所でもノイズが出にくいメリットを活かして、TikTok動画やYouTubeのショート動画をサクッと撮影できるんですね。

スマホより手軽に動画を撮るためのコンデジ

筆者撮影
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現在予約受付中で、発売は2023年6月下旬の予定。価格.comをみると、価格は5万3955円~となっていました。これならばアルバイト代や副業で得た報酬でも支払えそう。若い人にも使ってほしい、というキヤノンの思いを感じます。

近年は動画撮影もスマートフォンまかせという方が多いですが、撮影するまでの手間をはぶき、クオリティを高めるための機能・性能を盛り込んだのが「PowerShot V10」。ビデオブログ(Vlog)や踊ってみたなどを撮るのにぴったりのコンパクトデジタルカメラですし、PowerShot SX740 HSのように独自の個性が魅力になっているといえます。

情報元:キヤノン

ガジェットライター

むしゃりょうた/Ryota Musha。1971年生まれ。埼玉県出身。1989年よりパソコン雑誌、ゲーム雑誌でライター活動を開始。現在はIT、AI、VR、デジタルガジェットの記事執筆が中心。元Kotaku Japan編集長。Facebook「WEBライター」グループ主宰。

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