現実と仮想世界をつなげてアバターと遊ぶ大規模イベントVirtual Market 2023 Real
12月16～17日、東京・渋谷/原宿エリアで「Virtual Market 2023 Real in SHIBUHARA」が開催されました。これはソーシャルVR/メタバースサービスのVRChatで開催されるバーチャルマーケットの現実版。仮想世界のなかで話し、遊び、楽しむアバターとのコミュニケーションをリアルな空間に持ち込むという企画です。
日本のKAWAIIを発信する竹下通りでバーチャルへの扉を開く
複数のエリアを用いたイベントとなるため、全体像が見えるように順を追って解説しましょう。原宿側、最初の会場となるのは竹下通りを入ってすぐ。
ドトールコーヒーとマクドナルドに挟まれた場所となります。
会場内は様々な企業がブース出店しており、バーチャルで活用できる製品の展示や体験コーナー、グッズ販売コーナーが用意されていました。訪れていた人々はVRChatやバーチャルマーケットを知っている方もいれば、竹下通りを散策していたカップル、インバウンドで来日した海外の方もいて、誰もが興味深そうにメタバースに取り組む企業の展示を楽しんでいました。
竹下通りの中腹地点といいましょうか、ポムポムプリンカフェの側にある施設でも展示を実施。
こちらでは企業ブースのほかに、バーチャルマーケットに参加している個人クリエイターやVRChatコミュニティのブースがあり、普段はオンラインで話している相手と初めて現実側で出会う人々や、再会を祝う声があり、オフ会の雰囲気もありましたね。
特に賑わっていると感じたのは、現実側の人がアバターとなって他会場の人々とコミュニケーションできるアバターミーツ。1つの画面内に複数人が同時に入れるビデオチャットのような仕組みですが、アバター姿となって身振り手振りで遊べる要素がありました。
長くバーチャルへの取り組みを続けているBEAMSはバーチャルライブを展開
ファッションが好きな人なら誰でも知っているBEAMS本店では、VRChatなどメタバース世界の旅人でありマンガレポーターであるリーチャ隊長、沖縄ご当地VTuberの根間ういさん、インスタグラマー/ダンサーのTaigaさん、そしてアバター姿となった広瀬香美さんが出演するライブが！
リハーサルの段階から会場内で熱気が高まってきており、出演者もスタッフも誰もが楽しんでいる雰囲気が伝わってきましたね。
渋谷サクラステージとSHIBUYA109でもアバターが踊る！笑う！
渋谷エリアに移動しました。驚くべきは渋谷駅から国道246号を渡ったところにある、開業したばかりのShibuya Sakura Stage（渋谷サクラステージ）の3階イベントホールも貸し切って様々な展示をしていたこと！
リアルとバーチャルを繋げる取り組みに、企業だけではなく渋谷区という自治体が注目していることが見えてくるようです。
しかし、渋谷の新たな玄関口となる大規模複合施設の開業を記念するこけら落としなイベントとして、メタバース内のアバターと現実の人々が一緒になってパラパラを踊るってマジですか、はるか未来の出来事じゃないんですかって思えてきます。
またSHIBUYA109のエントランスとなる真正面のイベントスペースでも、Virtual Market 2023 Real in SHIBUHARAの催しが行われていました。
街を巡って楽しむ仕掛け。集客促進・魅力発信など観光振興策として効果あり
たくさんのユーザーが集っているソーシャルVR/メタバースサービスは、まだそこまで多くはありません。プラットフォーム群を俯瞰してみると集客が遅々として進まないことから「メタバースは失敗だ、オワコンだ」と揶揄されることもあります。
しかしVRChatのように、国内外のユーザーが集まって仲の良いVR友達との交流を楽しむプラットフォームが存在しているのも事実。そしてこの世界のなかでは、バーチャルなファッションを楽しんだり、好きなアバター姿になれることを活用したロールプレイにチャレンジする人々がたくさんいます。
また10万を超えるワールドがあることから、バーチャルトリップも楽しみ方の1つとなっています。
「Virtual Market 2023 Real in SHIBUHARA」を体験し、主催者であるHIKKYは、VR友達とのバーチャルトリップを現実世界で再現するのが目的だったのかと感じました。いろんなエリアにあるコンテンツを求めて移動すること自体も楽しさの1つとして提供しているのではないかと。
そして現実空間での移動ゆえ、目的地から目的地の間にある様々なショップな品物、食事も楽しめることをバーチャル世界の住民に伝えたかったのではないでしょうか。
例えば竹下通りは様々なスタイルのファッションアイテムが勢ぞろいしているほか、SNS映えする綿あめやりんご飴など手にしてKAWAII、食べて美味しいスイーツの店もたくさんあります。筆者が見ていた間にも、「Virtual Market 2023 Real in SHIBUHARA」関係のアイテムを持ちながらレインボーに彩られた綿あめを食べている人々を何人も見かけました。
これって、観光振興策の1つになりえるよなあ。勢いが鈍っているクールジャパンの施策も、バーチャルと現実を組み合わせることで効果を出せるんじゃないだろうか。そう感じさせてくれるほどのパワーがありました。
夏の秋葉原に続き、今回で2回めとなったVirtual Market Real。今後の展開も楽しみです。
