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ビデオチャットの映像が映画のような美しさになる時代

武者良太ガジェットライター
EOS Kiss MをWEBカメラとして使用中(筆者撮影)

毎日会社や学校に通っていた日々から一変し、 #stayhome な日常が続く現在。私たちの生活スタイルも大きく変貌しました。新たに一般的となったのがZoomなどのビデオチャットの存在でしょう。在宅でもミーティングができる、授業ができる、コミュニケーションができることから、ビジネスマンにも学生にも浸透しています。たしかに便利なサービスです。

ビデオチャットの映像は綺麗じゃない

反面、ビデオチャットを敬遠する人も出てきました。その理由は部屋が片付いていないから。顔色が悪く見えるから。商材を綺麗に見せられないから。様々な理由がありますが、映像品質に難があると感じている人が多いのではないでしょうか。

従来のビデオチャットはそもそも配信時のビットレートが低かったようで、映像が見えづらいものでもよし、としていました。しかし近年に生まれたサービスは高画質な映像配信が可能となりました。ゆえに大人数が参加するビデオチャットにおいて、性能のいいカメラを使う方の顔・表情が映えて、自分の映像品質が悪いと感じる方が増えてきたのかもしれません。

ノートPC内蔵のWEBカメラだと画質が悪い(もしくは会社から支給されたノートPCのカメラ機能がオミットされている)から、USB接続のWEBカメラを買う方が爆発的に増え、商品在庫が一掃されました。デジカメの映像をHDMI経由でPCに入力できるHDMIキャプチャ製品も入手難で、中古相場が新品価格を超えるという事態にまでなっています。

美しいビデオチャット環境が作れるカメラ・fp

このような現状のなか、とあるカメラに注目が集まっています。それはシグマのfp。小型のフルサイズミラーレスカメラです。このモデルはPCとUSBケーブルで接続することで、手軽にカメラの映像をビデオチャットで使うことができるのです。

参考:Withコロナ時代のカメラの価値を考える

参考:SIGMA fpをWEBカメラ化し、活用していくための留意点

シグマfpの機能は、高画質な配信コンテンツが求められてきた時代に合わせ、顕在化してきたニーズを満たすためのものなのでしょう。それが #stayhome の時代となって、美しい映像でビデオチャットをしたい方からも羨望の目を向けられるようになった。まるで映画のような綺麗さから、実際に販売業を営む友人から「fpっていい? 買い?」という相談を受けました。

キヤノンが既存のカメラをWEBカメラとして使えるユーティリティをリリース

カメラに求める新たな需要をキャッチして、即座に動いたのがキヤノンです。現地時間の4月28日、Canon U.S.A.がデジカメをWEBカメラとして使えるユーティリティ「EOS Webcam Utility Beta」をリリースしました。デジカメとPCをUSBケーブル1本でつなぐだけでWEBカメラになる、優れもののユーティリティです。

現在リリースされているのはβ版で、対応OSはWindows10のみ。対応カメラも近年に発売されたキヤノン製25機種となります。しかしその中にはビギナー向け、子供の写真や動画を撮るために操作を簡略化したパパママカメラのEOS Kissシリーズも含まれています。

「EOS Webcam Utility Beta」のテスト。一眼カメラなら背景をボカせる(筆者キャプチャ)
「EOS Webcam Utility Beta」のテスト。一眼カメラなら背景をボカせる(筆者キャプチャ)

一眼レフカメラやミラーレスカメラと、明るいレンズを組み合わせれば、より背景をボカして被写体を浮き立たせ、際立たせられるんですね。

「EOS Webcam Utility Beta」のテスト。明るいレンズを使うことでさらにボケ量を増やせる(筆者キャプチャ)
「EOS Webcam Utility Beta」のテスト。明るいレンズを使うことでさらにボケ量を増やせる(筆者キャプチャ)

他のメーカーも追従してほしい、この流れ

写真を撮ってカメラ本体で記録する。動画を撮ってカメラ本体で記録する。従来のカメラが提供してきた領域を飛び越えてきたシグマとキヤノン。外出自粛が続く現在、カメラの販売台数が大幅に下落したと聞きましたが、だからこそ、在宅生活に寄り添ってくれて、性能を発揮できるカメラに注目が集まるのは自然かつ素晴らしいことといえます。

だから、今、買うべきカメラはシグマfpであり、キヤノン製品であると胸を張ってそう言えます。

同時に他のカメラメーカーにも、キヤノンと同じように、自社のカメラをWEBカメラとして使えるようにするアプリの開発をお願いしたいところ。スチルカメラが動画を撮れるようになったときと同じく、カメラ業界における大きな進化を促される時代となっているのですから。シネマクオリティでビデオチャットを楽しめるし、仕事に望める時代になってきたのですから。

ガジェットライター

むしゃりょうた/Ryota Musha。1971年生まれ。埼玉県出身。1989年よりパソコン雑誌、ゲーム雑誌でライター活動を開始。現在はIT、AI、VR、デジタルガジェットの記事執筆が中心。元Kotaku Japan編集長。Facebook「WEBライター」グループ主宰。

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