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西武・松坂との対戦に韓国の打者たちが喜びを語る 古巣での復帰初登板は1回2失点

室井昌也韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表
トゥサンとの練習試合に登板した松坂大輔(写真:ストライク・ゾーン)

西武は25日、宮崎・サンマリンで韓国KBOリーグのトゥサンベアーズと練習試合で対戦。西武の先発マウンドには14年ぶりの古巣復帰となった松坂大輔(39)が上がった。

松坂はほぼベストメンバーが揃ったトゥサン打線の打者6人に対し、22球を投げてホームランを含む被安打3。失点2で1回の登板を終えてマウンドを降りた。松坂と対戦した韓国の打者たちはどのような印象を持ったか。

1死後、三塁打を放ったチョン・スビンを置いて、初球をライトに2ラン弾を叩き込んだ、3番のオ・ジェイル(33)は「打ったのは内角のカットボール。(松坂が)有名なのは知っているけど、特に何ということはないです」と素っ気ない反応だった。

松坂から2ランを放ったオ・ジェイル(写真:ストライク・ゾーン)
松坂から2ランを放ったオ・ジェイル(写真:ストライク・ゾーン)

この言葉を聞く限りだと松坂は韓国で認知されていないようにも思えるが、オ・ジェイルは元々、ぶっきらぼうなタイプ。その他の選手に話を聞くと松坂に特別な感情を持っていた。

松坂からセンター前ヒットを放った5番のチェ・ジュファン(31)は対戦について「打ったのはたぶんツーシーム。まだキャンプの段階で調整の過程だと思うけど、これから良くなるのではないか」と話した。

さらにチェ・ジュファンは「球威はメジャーリーグでプレーしていたことと比べたら落ちていると思うが、これまでのキャリアは本当に素晴らしい。幼い時にテレビで見ていた松坂投手と対戦して、ヒットを打つことになるとは思ってもいなかった。個人的に光栄です」と目を輝かせていた。

松坂からセンター前ヒットを放ったチェ・ジュファン(写真:ストライク・ゾーン)
松坂からセンター前ヒットを放ったチェ・ジュファン(写真:ストライク・ゾーン)

また6番のキム・ジェホ(34)はソフトな語り口でこう話し出した。

「松坂投手にはものすごい活躍をした姿と、その後の思うように投げられないという、この2つの姿がいつも頭に交錯します。今も野球を続けているその情熱が素晴らしいと思う。実際、僕とはそんなに歳は離れていないんだけど、若い時から活躍していたので、ものすごく昔から見ている気がする。こうやって直接、プレーするのを見られることが幸せです」

また松坂が出場した2006、09年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に、韓国代表として参加したトゥサンのコーチ陣、キム・ミンジェ(47)、チョ・インソン(44)、コ・ヨンミン(36)は松坂の思い出話をする中で、お互い顔を見合わせながらこんな言葉が出てきた。

「西武は松坂にとって前にいたチームでしょ。日本は彼にちゃんと引退の花道を作ってあげていいね。韓国もそうならないと」

韓国の30~40代の選手、コーチたちは松坂について「全盛期は過ぎたけど」という言葉の後に、それぞれの思いを持っていることが印象的だった。

(関連記事:韓国の松坂世代が振り返る 怪物との20年前の対戦と現在地

韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表

2002年から韓国プロ野球の取材を行う「韓国プロ野球の伝え手」。編著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』(韓国野球委員会、韓国プロ野球選手協会承認)を04年から毎年発行し、取材成果や韓国球界とのつながりは日本の各球団や放送局でも反映されている。その活動範囲は番組出演、コーディネートと多岐に渡る。スポニチアネックスで連載、韓国では06年からスポーツ朝鮮で韓国語コラムを連載。ラジオ「室井昌也 ボクとあなたの好奇心」(FMコザ)出演中。新刊「沖縄のスーパー お買い物ガイドブック」。72年東京生まれ、日本大学芸術学部演劇学科中退。ストライク・ゾーン代表。KBOリーグ取材記者(スポーツ朝鮮所属)。

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