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EXILE THE SECONDツアーは参加型――SHOKICHI、NESMITHインタビュー

宗像明将音楽評論家
EXILE SHOKICHIとEXILE NESMITH(提供:エイベックス)

2024年3月7日から5月12日にかけて、6年ぶりとなるアリーナ・ツアー「EXILE THE SECOND LIVE TOUR 2024 "THE FAR EAST COWBOYZ"」を開催するEXILE THE SECOND。それに先駆けて、3月1日には3曲配信のEP『THE FAR EAST COWBOYZ E.P.』も配信リリースされた。今回はEXILE THE SECONDのヴォーカル・EXILE SHOKICHIとEXILE NESMITHに、アリーナ・ツアーについて、そして『THE FAR EAST COWBOYZ E.P.』の収録曲について聞いた。

SECONDの強さやエネルギッシュな部分を全面的に表現したい

EXILE SHOKICHIとEXILE NESMITH(提供:エイベックス、撮影:池村隆司)
EXILE SHOKICHIとEXILE NESMITH(提供:エイベックス、撮影:池村隆司)

――2022年に5人体制になってから、SHOKICHIさんとNESMITHさんにとって、EXILE THE SECONDとはどういう位置付けのグループでしょうか?

SHOKICHI EXILEでは表現しないような音楽のジャンルをできるので、いろんな振り幅を持ちながら、やりたい音楽を表現できる場所だと思います。自分たちも年齢を重ねてきて、年相応な表現もできるグループになってきてると思います。ダンス系のグループでは珍しいと思います。オリジナリティを持ちながら活動できてるんじゃないかなと思いますね。

NESMITH 今SHOKICHIが話してくれたことが、まずはメンバー間での共通認識としてあって、EXILEにはないような音楽性があります。僕らはEXILEメンバーでもあるので、見せ方やあり方は、陰と陽、明と暗じゃないですけど、そういう二面性があるかなと思います。EXILEは先輩方が築いてきた歴史があって、EXILEを知ってる人が「こういう音楽だよね」と認知していただいてるものがやっぱりEXILEだと思いますし、SECONDはもっとコアに近い、本質的なところをみんなでアイディアを出して作っていってるグループという感じですね。

――私がLDHを聴きはじめたきっかけは、2016年のEXILE THE SECONDの「Going Crazy」なので、まさにそういう魅力があると思います。

SHOKICHI・NESMITH おー!

EXILE SHOKICHIとEXILE NESMITH(提供:エイベックス、撮影:池村隆司)
EXILE SHOKICHIとEXILE NESMITH(提供:エイベックス、撮影:池村隆司)

――橘ケンチさん、EXILE TETSUYAさん、EXILE AKIRAさんもいるなかで、おふたりそれぞれのヴォーカリスト以外のグループでの役割とは何だと思いますか?

SHOKICHI 今まではライヴ・パフォーマンスを作るとき、もっとアイディアを出してましたけど、今は逆に任せるところは任せていて、そうすると時間割がスムーズになりました。今までは全部みんなで考えていて、すごく大変な作業だったんですよ。特にパフォーマンスに関しては3人になってるし、それぞれ年相応に自分たちの見せたいパフォーマンス・スタイルがいろいろあると思うので、こっちは「こういう楽曲でパフォーマンスしてはどうですかね」ぐらいな感じで用意させてもらって、そこでみんながやりやすいような、「みんなファースト」なやり方ができてるんじゃないかなと思います。

NESMITH 僕はなんでしょうね(笑)。僕もアイディアを出すんですけど、僕はどちらかというとパイプ役というか。パフォーマーでは見えない視点で、物作りをしてるときには意見を出させてもらいます。SHOKICHIは、ツアーが始まるときに会議でテーマを文言にして書きだしてくれるんですけど、僕らはそれを分解していきながらライヴのボリュームに広げていって、SHOKICHIが出したテーマをどう表現しようかって考えるので、SHOKICHIの頭の中を4人で構成してる感じですね。

SHOKICHI ライヴのタイトルやテーマが真ん中にあって、「曲でこういうことを伝えるライヴにしたい」みたいな考え方ですね。

――今回のアリーナ・ツアーのタイトルの「THE FAR EAST COWBOYZ」という言葉のように、アジアを意識しつつ海外進出を狙っていきたいのでしょうか?

SHOKICHI 前回のライヴ・ツアー「Twilight Cinema」は、(黒木)啓司さんとの別れがあってから初のツアーで「別れ」をテーマにしていて、そういったストーリー性を汲み取れる内容にしたんです。今回は、それとコントラストをつけるために、哀愁よりもSECONDの強さやエネルギッシュな部分を全面的に表現したくて、「THE FAR EAST COWBOYZ」という強めのタイトルにしました。AKIRAさんの活動もあるし、アジアに進出していきたいというよりは、逆に「僕らも同じエイジアンだよ」と、僕らのオリジナル・エイジアン・ミュージックで何か表現できるといいと思います。

NESMITH みんなでいろいろキーワードを出しあいながら、「この言葉が一番しっくりくるね」って決まった瞬間があったんです。指針や目標がはっきりしたことで、ヴィジュアルも楽曲も、伝えたい音の雰囲気もパチッと見えて、探してたピースが見つかったような感覚で、「これで走っていけるね」と感じました。

みんなと音楽の距離を縮められるアプローチは必要

EXILE SHOKICHIとEXILE NESMITH(提供:エイベックス、撮影:池村隆司)
EXILE SHOKICHIとEXILE NESMITH(提供:エイベックス、撮影:池村隆司)

――ツアーと楽曲はどちらを先に考えましたか?

SHOKICHI ほぼ両方同時で、ツアーを考えるときに、「こういう曲が欲しくて、こういう曲がテーマになって」っていうのが種になっています。

――3月1日に先行配信される『THE FAR EAST COWBOYZ』に収録されている3曲ともSHOKICHIさんがソングライティングに関わっていますね。ツアーのオープニング曲である「We are the best」は、ストリングスやコーラスも壮大ですし、イントロにフューチャー・ソウルっぽい要素も感じましたが、そうしたものは意識されましたか?

SHOKICHI そうですね。全部が全部、生で弦でみたいな感じはもちろんかっこいいと思うんですけど、どこかiPhoneでも聴きやすい、みんなと音楽の距離を縮められるアプローチは必要だと思うんです。もちろん曲によると思うんですけど、「We are the best」に関しては、弦の壮大さがあるので、やっぱりジョイントが必要だと思いました。

――NESMITH さんは歌うときに意識したポイントはありますか?

NESMITH やっぱり壮大さをどう表現するか、説得力はすごく必要だなって。言葉もすごくはっきりしてるし、伝えたいメッセージがすごく込められてる楽曲だったので、どう頭の中でイメージして声を乗せるかを考えて、割と何回も歌いましたね。

――おふたりでヴォーカルについて相談はするんですか?

SHOKICHI いや、もうあんまりしないですね。

NESMITH 前はよくありました。

SHOKICHI でも、僕が全部自分の声でデモを作ったら、もう最近は「こんな感じですね」ってわかってくれるんです。ねっさん(=NESMITH)のレンジや表現する振り幅、キャパシティがもうわかってるので、「これぐらい表現できるんじゃないかな」というパスの仕方です。

――「過ぎ去った過去 亡くした友が / 今輝いているSky」という歌詞は、実際に亡くなったご友人をイメージしたのでしょうか?

SHOKICHI 「友」って表現したんですけど、今まで亡くしたすべての方々だったりしますね。それに、どうしても人は過去がすごく素晴らしかったと感じたり、「あのときのあのメンバーが一番良かったな」とか考えたり、誰かの人生に憧れたりするけれど、これを聴いてくれた方が「今が最高」って少しでも思ってくれたらいいなって。そうしたら、ねっさんがそういうメッセージを拾ってくれて。強く明日に立ち向かうエネルギーを届けられたらいいなっていう想いですね。

――MVも壮大ですよね。

SHOKICHI 曲が完成したときに、ああいうヴィジョンの映像が自分たちの頭の中にあった感じですね。

NESMITH いやもう自分のスケールをはるかに超えてました(笑)。でも、しっくりきましたね。自分たちの頭の中にあった映像やイメージだけじゃなく、監督からのアイディアもあって。今のSECONDに何が欲しいかというコンセプチュアルなものを提示していただいて、いろんなものを落としこんで使うシーンもあったんです。なんか不思議ですよね、監督との出会いだったり、そういうアイディアが結びついたりっていう引き寄せは。

EXILE SHOKICHIとEXILE NESMITH(提供:エイベックス、撮影:池村隆司)
EXILE SHOKICHIとEXILE NESMITH(提供:エイベックス、撮影:池村隆司)

――「Winner」は「東京マラソン2024」の公式テーマソングですが、最初から東京マラソンを意識して書かれたのでしょうか?

SHOKICHI ちょっと前からデモは作りだしてたんです。今回のSECONDのライヴで、「We are the best」につながるような新曲を披露したいなと思って、そこで東京マラソンという素晴らしいチャンスをいただいてイメージを結びつけて、自分たちの背中もランナーの背中も押せる仕上がりになればいいなっていう感じでした。

――イントロが、民俗楽器のような弦楽器のサンプリングから始まるのもインパクトがありました。あれはトラックメイカーでプロデューサーのWONさんが作ったんですか?

SHOKICHI WONくんです。自分も入りが気に入ってますね。すごくドキッとしますよね。

――ヒップホップの濃度が高いサウンドであることにも驚きました。

SHOKICHI 昨今、ラップと歌ってどっちがどっちかわからないような感じになってきてる印象があるんです。だから最近はヒップホップって言葉を使わなくなってきて、ラップをしてる曲は「ラップ・ミュージック」って呼ぶようになってきました。J-POPもK-POPも絶対どこかにラップが入ってたりするけど、それはヒップホップにならなかったりするので、時代の移り変わりとともに線引きも変わった気がしますね。ラップが歌に溶けこんできてるようなイメージがありますね。ヒップホップのなかにもメロディーってたくさんあるじゃないですか。R&Bノートも使われてますし、歌がうまかったりしますもんね。

NESMITH 今シームレスにそうなってきて、フロウやフックはディレクターと「ここ、どうなってますかね?」と分解しながらアプローチをしていくんですけど(笑)、なかなか難しい作業です。SHOKICHIのデモを聴いて落としこんでいって、自分のフロウにしていくこともあるんですけど、それとは違うトライもさせてもらったので、それはだいぶ苦労しました。

――NESMITHさんが試行錯誤したヴォーカルを聴いて、SHOKICHIさんはいかがでしたか?

SHOKICHI 僕は長年やってきてるので、もう自由に歌ってほしいんで、「ねっさん、こういうアプローチで来たな」みたいな感じでした。そこまで僕に寄せてこないだろうなとは思ってたので、思った通りでした。

ファスト・ミュージックの時代に対応しつつ、内容の濃さで満足度を高めたい

EXILE SHOKICHIとEXILE NESMITH(提供:エイベックス、撮影:池村隆司)
EXILE SHOKICHIとEXILE NESMITH(提供:エイベックス、撮影:池村隆司)

――「アムルーズ」は、ALAN SHIRAHAMAさんとSLAYさんのプロデュースで、バラードながらトラックはやはりフューチャー・ソウルの要素を感じます。

SHOKICHI そうですね。バラードなんですけど踊れるようなイメージを持ちながら作ったので。バラードでは、自分で歌うのか、ふたりで歌うのか、いろいろイメージしながらバランスを考えます。言葉の語呂だったり、コードだったり、そういうものを大事にしてますね。

――ALAN SHIRAHAMAとはどういうやり取りがあったんでしょうか?

SHOKICHI ALANと何曲か作ってる時期で、自分が最初にピアノでメロディーを作って渡して、「コードは変えないでガワを仕上げてほしい」みたいな感じで依頼して仕上がったんです。

――NESMITH さんは、「アムルーズ」を歌いこなすにあたってどんなことを意識しましたか?

NESMITH  SHOKICHIがすごくきれいな日本語で描いていて、せつない内容になってるんで、そこに自分の色を乗せていくっていう形でどんどん歌いこみました。2コーラスで終わる尺の短さだけど、内容が濃密で、曲の持つせつなさや悲しみがより鮮明に見えてきて、すごく不思議な曲だなって思いました。

――3分台の曲なのに密度が濃いですよね。

SHOKICHI 分数は心がけてます。今はファスト・ミュージックになってきてるので、そこに対応しつつ、でも内容の濃さでしっかりと満足度を高められるようにしています。

――その作業は、SHOKICHI さんにとっては逆に面白いものでしょうか?

SHOKICHI めちゃめちゃ大変ですね(笑)。Aメロ、Bメロ、サビ、またAメロ……という構成じゃなくなってきてるので、メロディーの構成をめちゃくちゃ考えます。この「アムルーズ」はそうでもないですが、「ここ、もっと言葉を詰めなきゃいけない」と考えることもあります。

――そして、3月7日から5月12日にかけてツアーが開催されますが、見どころや意気込みを教えてください。

SHOKICHI 6年ぶりのアリーナ・ツアーで、披露するSECONDのパフォーマンスのスケール感やエネルギー、そこに関しての音作りは、とてもクオリティの高いものになったので、バンド・アレンジも含めて僕らも楽しみですね。

――制作段階でバンド・アレンジを意識していたんですか?

SHOKICHI 曲を作ってる段階で、バンド・アレンジにすることをイメージしながら、あえてサウンドに隙間を作っていました。音源は楽に聴けるようにして、ライヴはお腹いっぱいになれるようなコントラストをつけてますね。

NESMITH 昨年の「Twilight Cinema」が5人でのSECONDのスタートで、5人のSECONDとして「個」が立つシーンがたくさんあって、そういった5人の色を改めて見せられるツアーになったと思うんです。今回は改めてSECONDというグループの集合体や、個がどういうパフォーマンスを見せるかを、6年ぶりのアリーナ・ツアーでみなさんに感じてもらえるんじゃないかと思いますね。振り付けも一から新しいものを作って、見せ方で曲の持ってるパワーを底上げするような構成を作っていて、改めて「SECONDは楽曲も含めて、こういうグループです」っていうのをまた見せられるんじゃないかなと思ってます。

――アリーナ・ツアーに対してファンのみなさんに期待してほしいポイントを改めて教えてください。

SHOKICHI 「We are the best」は、みんなで声を出して歌うことを想定しながら作ったので、「みんなで歌うと素晴らしい景色になる」と想像して期待しながら、参加型でお願いしたいです。

NESMITH  もう参加型です(笑)。一緒に作るシーンもあるので、準備で予習したりして、参加する気持ちと一緒に会場に来てもらえたら嬉しいです。

音楽評論家

1972年、神奈川県生まれ。「MUSIC MAGAZINE」「レコード・コレクターズ」などで、はっぴいえんど以降の日本のロックやポップス、ビーチ・ボーイズの流れをくむ欧米のロックやポップス、ワールドミュージックや民俗音楽について執筆する音楽評論家。著書に『大森靖子ライブクロニクル』(2024年)、『72年間のTOKYO、鈴木慶一の記憶』(2023年)、『渡辺淳之介 アイドルをクリエイトする』(2016年)。稲葉浩志氏の著書『シアン』(2023年)では、15時間の取材による10万字インタビューを担当。

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