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テイラー・スウィフト来日ファンイベントレポート――私は痛みは言葉で乗り越えている

宗像明将音楽評論家
テイラー・スウィフト(撮影:Kayoko Yamamoto)

2019年11月6日夜、アメリカのシンガーソングライターであるテイラー・スウィフトのファンイベントが都内の映画館で開催された。このイベントは、テイラーのCDを購入した応募者のうち600人が招かれたもの。パフォーマンスはなく、ファンからの質問にテイラーが答えるトークイベントとして開催された。

テイラー・スウィフト(撮影:Kayoko Yamamoto)
テイラー・スウィフト(撮影:Kayoko Yamamoto)

まず、テイラーの「Blank Space」「I Knew You Were Trouble」「Lover」のライヴ映像が上映された。この日、会場に貼られていたのも、2019年8月23日に発売されたアルバム「ラヴァー(Lover)」のポスターだった。さらに、テイラーの大ヒット曲「Shake It Off」のライヴ映像も上映され、ファンは映画館の迫力のある音響とともに楽しんだ。

司会はタレントの奥浜レイラ。彼女は、上映されたの映像がパリでのライヴ(2019年9月9日に開催された完全招待制ライヴ『City of Lover』)だったこと、今回の応募者が約12,000人にのぼったことを紹介した。さらに、テイラーの撮影がスマートフォンに限りOKであることもアナウンスされた。

テイラー・スウィフト(撮影:Kayoko Yamamoto)
テイラー・スウィフト(撮影:Kayoko Yamamoto)

そしてテイラーが登場すると、シャッター音よりも大きな歓声が会場のファンから沸き起こった。テイラーは「ありがとうございます。久しぶり。盛りあがってる?」と日本語で挨拶。日本に戻ることができた感想を、さらに日本語で「すごい、最高。お元気ですか? 東京大好き、日本大好き」「新宿、渋谷にショッピングに行きました」と続けると、ファンからは歓声と拍手が。猫カフェに行ったかと問われると、「ショッピングしすぎて行けてないけれど、絶対行きます」と通訳を介して答えた。

事前に寄せられたファンからの質問では、まずストレス解消法を聞かれた。テイラーは、「残念ながら、必ずこれをやるとストレスが消えるという方法は見つけられていません。でも、ストレスを感じることは大事、アイデアを思いつくこともある。楽しく生きられないほどストレスを感じたときは、深呼吸をしたり、『誰でもストレスを感じるのが普通だし、完璧な人はいない、予想のつかないことは起きる』と考えます」と語った。

アルバム「ラヴァー」での取り組みについては、「何曲かはひとりで作ったし、サウンド的にはなんでも挑戦したいと思いました。それぞれサウンド的に似通ってないものを作りたいと考えたんです。ロマンティックで、一番好きな作品になりました」と述べた。

「ベンジャミンはお姉さんたちと仲良くしていますか?」という、愛猫のベンジャミン・バトンについての質問には、テイラーは「Amazing question!」と笑い、「自分の家が猫カフェ状態。ベンジャミンは大きくて、子犬のように私の後ろをついてきます。すべて新鮮で可愛い子だけど、ほかの猫を少しイラつかせる弟役もしています。でも、仲良くしてます。子猫ちゃんを抱っこしたときに、聴いたことのない大きさのゴロゴロが聞こえたので『うちの子』だと感じたの」とベンジャミンへの想いを語った。

つらいときの乗り越え方については、「詩を書いたり、日記を書いたり、友達や母と話したり。それぞれ痛みを乗り越える方法はあると思うけど、私の場合は言葉で乗り越えています」と自身の体験を紹介した。

昔から応援しているというファンに「ラヴァー」でのお気に入りの曲を聞かれると、「個人的には『Lover』を誇りに思っています、結婚式で踊ってくれているところをSNSで見ると嬉しいです。でも、その日によって変わるし、それは悪いことではない。みんなも日々そうやって楽しんでくれると嬉しいです」と答えた後、「応援してくれてありがとうございます。バッグに私の写真を入れてくれたり、心からありがたいと思っています」と感謝した。

日本で行きたい場所については、「提案があればぜひ教えて。猫カフェや美術館にも行きたいし、もう少しショッピングしたいかな。だって、クリスマスプレゼントを買わないと。言ったからには買わないとね」と茶目っ気たっぷりに答えた。

そして最後の質問は、ファンが登壇して直接テイラーに聞くことに。ステージに招かれたファンの「みさき」さんは、テイラーに日本語で「かわいいですね」と言われ、憧れのテイラーからハグをされた。緊張したみさきさんを、テイラーは優しくリラックスさせる。アルバムで一番思い出のある曲を聞かれたテイラーは、「たくさんあるけど、子供の頃の友達を題材にした『It’s Nice To Have A Friend』は大好き。『Cornelia Street』も。聴いてくれてありがとう」と答えると、テイラーはみさきさんに一緒に自撮りすることを提案。会場からは思わず「かわいい」という声がこぼれた。

テイラー・スウィフトとファン(撮影:Kayoko Yamamoto)
テイラー・スウィフトとファン(撮影:Kayoko Yamamoto)
テイラー・スウィフトとファン(撮影:Kayoko Yamamoto)
テイラー・スウィフトとファン(撮影:Kayoko Yamamoto)
テイラー・スウィフトとファン(撮影:Kayoko Yamamoto)
テイラー・スウィフトとファン(撮影:Kayoko Yamamoto)
テイラー・スウィフトとファン(撮影:Kayoko Yamamoto)
テイラー・スウィフトとファン(撮影:Kayoko Yamamoto)

テイラーは、プレゼント用に「ラヴァー」のポスターにサイン。さらに日本語で「大好き、じゃあね」とファンに呼びかけたかと思うと、「せっかくだから、みんなと一緒に写真を撮りたい」とステージを降り、立ち上がったファンと一緒に写真を撮影した。ステージを降りてファンのもとに歩み寄ったテイラーに、歓声も一段と熱を帯びた。

テイラー・スウィフトとファンたち(撮影:Kayoko Yamamoto)
テイラー・スウィフトとファンたち(撮影:Kayoko Yamamoto)
テイラー・スウィフトとファンたち(撮影:Kayoko Yamamoto)
テイラー・スウィフトとファンたち(撮影:Kayoko Yamamoto)

テイラーが拍手とともにステージを去ると、抽選が行われ、さきほどテイラーがサインをしたポスターなどがプレゼントされた。

質問の合間にも、ファンに手を振るなど、絶え間なくファンとのコミュニケーションを取り続けたテイラー。ファンイベントはあたたかい雰囲気のなか終了した。

テイラーは、2019年11月7日の朝、「スッキリ」(日本テレビ系)に生出演予定。

音楽評論家

1972年、神奈川県生まれ。「MUSIC MAGAZINE」「レコード・コレクターズ」などで、はっぴいえんど以降の日本のロックやポップス、ビーチ・ボーイズの流れをくむ欧米のロックやポップス、ワールドミュージックや民俗音楽について執筆する音楽評論家。著書に『大森靖子ライブクロニクル』(2024年)、『72年間のTOKYO、鈴木慶一の記憶』(2023年)、『渡辺淳之介 アイドルをクリエイトする』(2016年)。稲葉浩志氏の著書『シアン』(2023年)では、15時間の取材による10万字インタビューを担当。

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