なぜバルサは補強で問題を抱えているのか?ギュンドアン、キミッヒ…獲得候補の名前とメッシの獲得失敗。
バルセロナには戻らない。それがリオネル・メッシの決断だった。
今季終了時にパリ・サンジェルマンとの契約が満了を迎えたメッシだが、去就が不透明となっていた。バルセロナ、アル・ヒラルと複数クラブが関心を示すなか、最終的にはインテル・マイアミへの移籍を決めている。
「バルサに戻る意思はあった。モチベーションが湧いてきていたし、希望を持っていた。だけど、退団した時の経験から、あのような状況を繰り返してはいけないと思った。何が起こるかを待ちながら、自分以外のものに未来を委ねてはいけないと感じた」とはメッシの弁だ。
「僕が移籍するために、バルサは選手を売ったり、(現在属する選手たちの)サラリーを下げなければいけないと聞いた。僕はそれを望んでいなかった。そういった関係で、責任を負うのは違うと思った」
■候補に複数の名前
メッシの復帰は叶わなかった。いま、バルセロナはそれ以外の補強に目を向ける必要がある。
イルカイ・ギュンドアン(マンチェスター・シティ)、ジョシュア・キミッヒ(バイエルン・ミュンヘン)、マルティン・スビメンディ(レアル・ソシエダ)、ルベン・ネベス(ウルヴァーハンプトン)、イニゴ・マルティネス(アトレティック・クルブ)、ジョアン・カンセロ(シティ)…。スペインメデイアでは、複数の補強候補の名前が挙がっている。
バルセロナが最も必要としているのは中盤の補強だろう。セルヒオ・ブスケッツ、ジョルディ・アルバが今季終了時に退団。アルバに関しては、アレッハンドロ・バルデの台頭でポジションをカバーできる。だがアンカーではブスケッツが代えの利かない選手になっていた。
アンカーのポジションでは、スビメンディ、キミッヒ、R・ネベスの獲得が考えられる。だがソシエダとの間に6000万ユーロ(約90億円)の契約解除金があるスビメンディ、バイエルンで主力を張るキミッヒの獲得は困難だ。R・ネベスについては、ジョルジュ・メンデス代理人がジョアン・ラポルタ会長と懇意である。しかし、シャビ・エルナンデス監督が気に入っている選手ではないというジレンマがある。
■バルセロナのプラン
一方、補強面で、バルセロナが避けて通れないのが財政の問題だ。
バルセロナは今夏、財政プランにおいて、ラ・リーガからの承認を待っていた。これがメッシの復帰とも密接にリンクしていたわけだが、最終的にはラ・リーガ側から「OK」が出ている。ただ、ラ・リーガの承認は“条件付き”だった。それは、現時点、収入のうち40%のみを補強あるいは選手登録に使用できる、というものだ。
この度の承認で、バルセロナが具体的に行えるのは、選手登録だろう。ガビ、ロナウド・アラウホ、イニャキ・ペーニャ、セルジ・ロベルトらの登録を済ませる。それ以上を望むためには、今後の資金繰りが必要になる。
バルセロナは一度、現実を見つめ直さなければいけない。
「サラリーキャップは(前会長のジョゼップ・マリア・)バルトメウの頃と比べて、3000万ユーロ、アップしている。ストラクチャーの面で問題があり、だから資産を売らなければいけなかった」
「資産を売ったが、そのお金はどのようにして取り戻すのか。数字の観点では、クラブは2年半前より悪い状態にある。支出は増え、損失は大きくなっている。資産は減り、負債が増えている。財政面では、ラポルタはバルトメウと同等、あるいは状況を悪化させている」
これは前回の会長選で立候補していたビクトル・フォント氏の言葉だ。
■大型補強と戴冠
バルセロナは昨年夏、大型補強を行った。
だが大型補強が可能だったのは、資産の切り売りがあったからだ。テレビ放映権の25%の25年間分の譲渡。『バルサ・スタディオス』の49%の売却。“4つのレバー”と称されたアプローチで、資金を捻出した。
ただ、その手は幾度となく使えるものではない。資産というのは、無限にあるわけではない。
バルセロナは2022−23シーズン、リーガエスパニョーラで優勝を飾った。ラ・リーガのタイトルは無論、評価できる。しかし一方で、欧州の舞台においてはチャンピオンズリーグでグループ敗退、ヨーロッパリーグでは決勝トーナメントに向けたプレーオフで敗れた。
バルセロナに補強が必要なのは間違いない。しかしながら、依然として財政に問題があるのも確かだ。板挟みに陥るなか、夏のマーケットが本格化しようとしている。