なぜバルサはFW獲得を検討しているのか...シャビ新体制で求められるアタッカーとは?
シャビ・エルナンデス監督が、バルセロナに到着した。
本拠地カンプ・ノウで行われた彼の就任会見には、およそ1万人のバルセロニスタが集まった。期待と興奮が入り混じる中、シャビはバルセロナと2024年夏までの契約を結んでいる。
そして、早速、シャビは「テコ入れ」に動いている。ノルマや統制を重要視する考えを示していたシャビだが、ジェラール・ピケのインタビュー番組をキャンセル。トレーニングに関しても、開始の1時間半前に集合するように規則を変更して、変化を望むメッセージを発している。
ポスト・メッシ時代の到来――。この時代を乗り越えるために、バルセロナはシャビを招聘したと言っていいだろう。
バルセロナのカンテラ出身選手であるメッシは、2004−05シーズンにトップデビュー。だが当初は右ウィングを本職としたドリブラーだった。そのメッシの得点能力を開花させたのがペップ・グアルディオラ監督だ。グアルディオラ監督の下、メッシは2011−12シーズンにキャリアハイとなる60試合73得点32アシストを記録している。
2012年夏にペップが去って以降は、少しずつメッシの役割が変わっていった。それでもネイマールとルイス・スアレスが加入してからの「MSN」と呼ばれた3トップは強烈で、彼らは3シーズンで364得点を叩き込んだ。
昨季に関しては、ロナルド・クーマン体制で、メッシとアントワーヌ・グリーズマンが得点源になっていた。2選手は58得点を挙げていた。
もうひとつ、考えなければいけないファクターがある。それはフィジカルコンディションだ。今季、20選手が負傷していて、バルセロナの「負傷者トラブル」は深刻な問題になっている。シャビの就任に際して理学療法士のフアンホ・ブラウとフィジカルトレーナーのシャビエル・ロカがトップチームのスタッフがすでに外されており、こちらもテコ入れがなされている。
このような状況で、浮かび上がるのが、冬の移籍市場における補強の可能性だ。
インターナショナルウィークでは、移籍の憶測が飛び交うのが常だ。それは新聞を売るためでもあるだろう。だがバルセロナに関しては、確かに補強が必要なシチュエーションになっている。
ラヒーム・スターリング(マンチェスター・シティ)、エディンソン・カバーニ(マンチェスター ・ユナイテッド)、ダニ・オルモ(ライプツィヒ)、リャド・マフレズ(マンチェスター ・シティ)、ティモ・ヴェルナー(チェルシー)…。現地メデイアでは、複数の名前が踊っている。
「クラブと話した上で評価する。それから決断を下すつもりだ。まだ早いかもしれないけれど、チームを強化できるなら、それはひとつの可能性だ。僕は選手が一つ一つのプレーで何をすべきかを明確にしたいと考えている」
「2日前に来たばかりで、いろいろ話し合っている。そのうちのテーマのひとつが、冬の移籍史上だ。バルサには良いウィングの選手がいる。負傷者やアンスの離脱時期を見る必要がある…。ウィングにはワイドにオープンに開いて、1対1で勝負して欲しい」
これはシャビの就任会見でのコメントだ。
シャビは中盤を重視する監督だ。ガビ、ペドリ・ゴンサレス、ニコ・ゴンサレス、フレンキー・デ・ヨング、セルヒオ・ブスケッツがおり、そのための選手は揃っている。
一方でウィングはファティやウスマン・デンベレが負傷している。とりわけ、右ウィングの選定は難しいところだ。ここはまさに、メッシが務めていたポジションである。シャビの就任直前にはセルジーニョ・デストが右ウィング起用されていた。最近ではフランシスコ・トリンカオ(ウルヴァーハンプトンにレンタル中)の復帰話が出てきている。
シャビはアル・サッドで【3−4−3】を使用していた。だがバルセロナでは【4−3−3】でのプレーが暗に求められる。システムよりプレーモデルが大事。そのように話していたシャビであるから、絶対的なシステムは存在しないだろう。
一方、今年10月の段階でフェラン・レベルテルCEOが「冬に補強が必要なら2000万ユーロ(約26億円)が使える」と語っていた。その後、クーマンの違約金や年俸、アル・サッドとシャビの違約金や新たなコーチングスタッフの年俸などの資金発生を考慮すれば、使える額はそれより少なくなっているかもしれない。
補強は簡単ではない。またしてもお金の事情…。と頭をよぎるが、これからのシャビ・バルサのプレー次第でもある。バルサに行きたい。そのように選手に思わせたら“勝ち”なのだ。シャビに求め過ぎだという気もするが、そうして扉が開けるのはバルサ的でもある。