J・フェリックスの得点力とセンスに頼るアトレティコの現状…グリーズマンが抜けて埋まらない穴

ゴールを狙うジョアン・フェリックス(写真:ロイター/アフロ)

重要な一戦で、勝利を逃した。それは事実だろう。ディエゴ・シメオネ監督率いるアトレティコ・マドリーは、今季開幕前にチームを刷新して再出発したばかりだが、周囲の要求は日を追うごとに高まっている。

リーガエスパニョーラ第15節、アトレティコは本拠地ワンダ・メトロポリターノにバルセロナを迎えた。リオネル・メッシの決勝弾で、バルセロナが勝ち点3をもぎ取った。シメオネ監督の「1-0」の美学は、この度王者に微笑んでいる。

■エースが抜けた穴

バルセロナとの一戦では、アントワーヌ・グリーズマンに強烈なブーイングが浴びせられた。昨季までのエースに、敵意の目が向けられた。今季のアトレティコはリーガ15試合で16得点。残留を争う6チームを除けば、ワーストの数字だ。チャンピオンズリーグでは、5試合6得点。32チーム中、下から8番目の数字となっている。アトレティコに、得点力が欠けているのは明らかである。

アタッカー陣で、唯一気を吐いているのがアルバロ・モラタだ。今季、モラタは6試合連続ゴールを挙げ、2018-19シーズンにグリーズマンが記録した6試合連続得点に並んだ。ラダメル・ファルカオ(8試合連続得点)、ディエゴ・フォルラン(8試合連続得点)に追随する勢いだった。

だが、ジョアン・フェリックス、ジエゴ・コスタの負傷離脱で、シメオネ監督のプランは狂った。J・フェリックス不在の期間、アトレティコは6試合を3勝2分け1敗で過ごした。11月に手術を決断したジエゴ・コスタは3カ月の離脱が見込まれている。

■崩れ始める美学

2018-19シーズン、J・フェリックスはベンフィカで43試合出場20得点11アシストと輝いた。その結果、アトレティコが移籍金1億2700万ユーロ(約152億円)を支払って、彼を獲得することを決めた。ただ、20歳の選手に、すべての期待と責任を押し付けるのは酷だろう。

4-4-2、4-3-1-2、3-1-4-2と複数のシステムを併用してきているシメオネ監督だが、負傷者続出の影響もあり、選手起用に頭を悩ませてきた。J・フェリックスはサイドハーフで起用され、得点感覚を失いつつあった。これはアンヘル・コレアにも当てはまる。J・フェリックス、コレア、共にベストポジションはセカンドトップだ。モラタが好調を維持する一方で、その「相棒」としていずれかを2トップに組み込まなければいけない。

ラージョ・バジェカーノへのレンタルを経てアトレティコに戻り、著しい成長を見せてゴラッソ製造機と化していたサウール・ニゲスは、現在ボランチと左サイドバックを行き来している。リーガ屈指のポリバレントプレーヤーであるサウールだが、ゴールから遠いポジションに置かれることが多くなってきている。シメオネ監督の信頼を勝ち取りきれずにいるビトロ、適応に苦しむトマ・レマル、誰もが得点を保証できない。

リーガ第14節で、アトレティコはグラナダに引き分けた。アウェー戦、4試合連続ドローだった。また、今季のアトレティコはバレンシア戦、アラベス戦、グラナダ戦と3度追い付かれて引き分けている。先述したように、「1-0」の美学が崩れ始めている。

リーガでは、バルセロナとレアル・マドリーがタイトルレースに向けて抜け出そうとしている。そして、上位陣ではセビージャが調子を上げている。3位の座を確保するためにも、いま一度、アトレティコは原点に帰り、シメオネ監督は課題を解決する必要がある。