レアル・マドリーを襲う深刻な決定力不足と、エース依存の「後遺症」
レアル・マドリーが、窮地に陥っている。
リーガエスパニョーラ第6節でセビージャに0-3と敗れると、そこから第7節アトレティコ・マドリー戦(0-0)、チャンピオンズリーグ・グループステージ第2節CSKAモスクワ戦(0-1)、第8節アラベス戦(0-1)と4試合未勝利が続いている。
■解任説
批判の矛先はフレン・ロペテギ監督に向けられている。
ロペテギ監督は、この夏にマドリーの監督に就任した。しかし、決して理想の形で就任したわけではない。スペイン代表の監督を解任され、ロシア・ワールドカップでの指揮を放棄する形で、マドリーの指揮官ポストに就いた。
だがマドリディスタが現在の成績に満足しているとは言い難い。マドリッド系のメディアは早くも解任の可能性を追求し始めている。
近年のマドリーにおいて、シーズン途中に解任された指揮官を見つけるためには、ラファエル・ベニテス監督(現ニューカッスル)まで遡らなければならない。2015-16シーズン、バルセロナとのクラシコで0-4と大敗したのが引き金となり、第18節バレンシア戦(2-2)で勝ち点を落として、解任された。
「解決策はラファ・ベニテス」だと、フロレンティーノ・ペレス会長は主張していた。だがその発言から18日後、ペレス会長はベニテス監督の解任と、ジネディーヌ・ジダン前監督のBチームからの昇任を決めた。
■クリスティアーノの移籍
苦境に立たされているマドリーだが、その原因は明確だ。ゴールが奪えない、つまり、決定力不足である。
今夏、クリスティアーノ・ロナウドがユヴェントスへと移籍した。ネイマール、ハリー・ケイン、ロベルト・レヴァンドフスキなど、名だたるアタッカーの名前が補強の候補に挙がったが、誰一人としてマドリッドに到着しなかった。
C・ロナウド加入前の9シーズンで、マドリーは500試合986得点(1試合平均1,97得点)を記録した。そして、C・ロナウドが加入した2009年夏以降の9シーズンでは、519試合1378得点(1試合平均2,7得点)という数字を残している。
その期間にC・ロナウドは438試合に出場して450得点を挙げた。チーム全体の得点の32%を、C・ロナウドが記録していたことになる。
絶対的なエースを擁して、いつしかチームは彼に依存するようになってしまったのだ。
■梃入れ
その結果が現在であり、マドリーは直近4試合を無得点で終えている。409分間ノーゴールは、1984-85シーズン(496分間ノーゴール)に続き、クラブ史上2番目のワースト記録だ。
C・ロナウドの退団で活躍が期待されたガレス・ベイル、カリム・ベンゼマは10試合で9得点を挙げている。決して悪い数字ではないが、C・ロナウドとの比較は避けられず、見劣りしている感が否めない。
まさに、「クリスティアーノ以前・クリスティアーノ以後」の時代である。
第二次ペレス政権で、シーズン途中に解任されたのは、ベニテス監督のみだ。第一次ペレス政権では、2005-06シーズンに、ヴァンデルレイ・ルシェンブルゴ当時監督が12月の時点でクビを言い渡された。
現時点で、ロペテギ監督が解任される可能性は低いといわれている。だが、クリスティアーノ以後の時代に対峙しているマドリーにとって、この状況は普通ではない。
監督交代か、冬の移籍市場まで待機して大型補強かーー。いずれにせよ、この状態が続けば、大きな梃入れが必要になる。