ペルー首都が騒然、1960年以来初のカミナリ発生
日本でオーロラが見えた、というほどの衝撃でしょうか。いや、もっとすごいかもしれません。なんと南米ペルーで「カミナリ」が発生したもようです。
なんだ、ただのカミナリか、と思ってはいけません。なんせ彼らにとっては1960年以来の、つまり61年ぶりの出来事だったようなのです。ペルー人の平均寿命は77歳ですから、およそすべての国民が見たことのない、ペルー史に残るような”事件”でした。
ちなみに北海道では2015年にオーロラが確認されています。
「落ち着いて」と呼びかけ
そのカミナリは24日(月)早朝、首都リマで発生しました。その直後、ペルーの気象局は次のように呼びかけました。
「落ち着いて家の中にとどまり、携帯電話や電子機器の使用を避けることをオススメします。」
市民は初めての光景に大興奮し、次々とカミナリの動画をSNS上に投稿しました。「これは新しい!」などという声も聴かれるほどでした。
リマの気候
なぜリマではカミナリがそれほどレアなのでしょうか。
太平洋に面するリマは「ペルー海流」という寒流の影響を受けて、砂漠のような乾燥した気候が続きます。年間降水量はわずか30ミリです。東京の年間降水量は約1,500ミリですから、およそ50分の1ということになります。天候は安定していて、嵐は滅多に起こりません。
ただ雨こそ少ないのですが、日中の湿度は60~70%と非常に高いようです。これは「ガルヤ」と呼ばれる、粒子の細かな霧がかかっているためです。見通しはきくのに、実は霧に覆われているという、日本では想像もつかないような現象が起きます。
大抵こうした乾いた霧のかかるリマですが、24日(月)は海から低気圧がやってきて天気が荒れ、珍しいカミナリが起きたというわけです。
珍しい冬季雷
ペルーと違い、カミナリが特段珍しくない日本では、年間の落雷数は1,500件以上に上るようです(2005~2017年のデータ)。カミナリはいたって普通ですが、実は、太平洋側に住む人があまり知らないカミナリが、日本海側でしばしば発生します。
それは、雪雲から発生する「冬季雷」です。その威力は夏の雷を大きくしのぐものがあり、また多くの場合、地面から空に向かって稲妻が走ります。冬季雷は世界的にも稀で、見たことのある人は非常に少ないのです。ですから、冬季雷を見たことがあると言ったら、結構な自慢話になります。
喜びのジャンプ
その証拠に、こんな出来事がありました。
2015年米ボストンで、ベテラン気象キャスターのジム・カントーリさんが雪のレポートをしている最中のことでした。突然、冬季雷が発生し、彼は瞬時にガッツポーズをし、ジャンプをして、雄叫びを上げました。まるで世界チャンピオンに輝いたボクサーのようです。
その後も空が光るたびに彼は飛び跳ね、どや顔になり、ご満悦の様子。この動画は世界で500万回も視聴されました。
ところ変われば気象も変わる―。ある場所では普通の現象も、場所が変われば、目をぱちくりさせるような稀有な現象になります。天気に常識はない、ということでしょうか。