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ハワイで緊急事態宣言「サーフィンの聖地」にも大雨被害

森さやかNHK WORLD 気象アンカー、気象予報士
9日の衛星画像 (NASA出典の画像に筆者加筆)

ハワイのイゲ知事は現地時間9日(火)、洪水が発生しているオアフ島とマウイ島に「緊急事態宣言(Emergency Proclamation)」を発令しました。これにより、ハワイ州の一般財源が、悪天の影響を受けた人々の支援に利用できることとなります。

8日(月)から続く大雨の影響で、マウイ島ではダムの水が溢れ、下流に住む住民に避難命令が出されました。また複数の家屋が倒壊したり、橋も崩れたもようです。

続く9日(火)には州都ホノルルのあるオアフ島でも大雨が降って、洪水被害が広がりました。その中には「サーフィンの聖地」とも呼ばれるノースショアも含まれています。

主要道路であるカメハメハ・ハイウェイの一部が1メートル近く水に浸かり、数か所で通行止めとなっているもようです。これまで死者やけが人は確認されていませんが、濁流に飲み込まれた人がいるとも伝えられています。

これまでの雨量

大雨の原因は、上空の気圧の谷と、断続的に流入している地面付近の暖湿な空気にあります。48時間に降った雨の量は下記の通りです。

  • オアフ島:カナハ 274ミリ
  • マウイ島:ワイルアイキ 488ミリ
  • ハワイ島:ピイホヌア 326ミリ
  • カウアイ島: 276ミリ

またホノルルでは、8日(月)にその日の観測史上最大雨量となる18ミリの雨が記録されました。

続く雨の恐れ

10日(水)にかけて大雨、12日(金)にかけても雨が降る可能性があり、さらなる被害が心配されています。

オアフ島北部などには『PARTICULARLY DANGEROUS SITUATION(とりわけ危険な状況)』とタグのついた「鉄砲水警報(Flash flood warning)」が出されています。これは警報よりも一段階強いもので、より生命を脅かす危険があるときに発表されます。

NWS Honolulu出典の「鉄砲水警報」に筆者加筆
NWS Honolulu出典の「鉄砲水警報」に筆者加筆

ハワイの大雨記録

青空のイメージが強いハワイですが、実は世界一雨が多い場所もハワイにあります。

カウアイ島のワイアレアレ山は1982年に16,916ミリの雨が降って、年間降水量の世界記録となりました。これは東京の年間降水量の10倍以上です。

さらに同地点は、年間350日も雨が降る、世界一雨日数の多い場所としてもギネスブックに登録されています。

それだけではありません。年間日照時間3,000時間を誇るホノルルから、車で30分ほどの距離にあるカネオヘは、1993年から翌年にかけて247日連続で雨が観測され、世界の雨の連続最長記録となっています。

この世界一の雨に見舞われるカネオヘが、映画「ジュラシック・パーク」の撮影地となったのも頷ける話です。

オアフ島カネオヘ湾の光景
オアフ島カネオヘ湾の光景写真:CavanImages/イメージマート

NHK WORLD 気象アンカー、気象予報士

NHK WORLD気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に新刊『お天気ハンター、異常気象を追う』(文春新書)、『いま、この惑星で起きていること』(岩波ジュニア新書)、『竜巻のふしぎ』『天気のしくみ』(共立出版)がある。

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