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「波の花」に迷い込んだ犬が助け出される オーストラリア

森さやかNHK WORLD 気象アンカー、気象予報士
オーストラリア東部バイロンベイの資料画像(写真:アフロ)

「世界の衝撃映像大賞」なるものがあったら、間違いなく受賞しているでしょう。そんなショッキングな映像が、嵐の襲うオーストラリアで撮られました。

14日(月)豪州東部のクイーンズランド州バイロンベイで、『波の花』と呼ばれる現象が発生しました。これは海でバブルバスのような泡が発生する現象です。その規模が尋常ではなく、泡は成人の胸の高さにまで達しました。

そのバブルバス化した海岸で、飼い犬が迷子になってしまうという出来事が起こりました。どんな大きな犬だって、背丈は1メートルもありませんから、泡にすっぽり覆われては探しようがありません。泡だらけで窒息してしまうかもしれないし、間違ってどんどん深い海の方に進んでいったら溺れて死んでしまうかもしれません。

飼い主の心境を想像すると、こちらまで青ざめてしまいそうです。

ところが、奇跡が起こりました。泡の中から犬が顔を出したのです。ジャンプをしたのでしょうか、それとも泡の切れ目があったのでしょうか。犬は飼い主の腕に抱き着き、難を逃れたようです。

下がその映像です。映像を見ているだけでも感動がこみ上げてきます。カメラマンもよくその場に居合わせました。みんなに拍手喝采です。

泡の正体

冷静になったところで、この「波の泡」の正体を説明しましょう。

これは海の中のプランクトンや海藻に含まれる粘液が荒波に揉まれて、石鹸のように泡立ったものです。泡の中に入ってみたいと思う人もいるかもしれませんが、あまり綺麗ではないのでおすすめしません。

天気が荒れた冬季の日本海側やアメリカ、イギリスなどでもたびたび見られます。

泡の花が発生する気象条件は何でしょうか。日本気象協会によると、たとえば風速13m/s以上、波の高さは4m以上などがあるのだそうです。

大荒れのオーストラリア

波の花をもたらした大荒れの天気は、オーストラリア東部沖の低気圧が原因でした。

豪州では悪天が先週から続いていて、スプリングブルックスという場所では1週間で967ミリという記録的な雨が観測されました。悪天は今後も続く見込みで、週末までにさらに800ミリの雨が予想されています。

ラニーニャが起きると日本では大雪が降る傾向があると言われますが、オーストラリアでは大雨が降ることが多いようです。昨年の夏は日本の国土の約半分に当たる19万平方キロメートルが焼ける大規模な山火事が発生しましたが、今年はそれとは正反対の天候が起きています。

NHK WORLD 気象アンカー、気象予報士

NHK WORLD気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に新刊『お天気ハンター、異常気象を追う』(文春新書)、『いま、この惑星で起きていること』(岩波ジュニア新書)、『竜巻のふしぎ』『天気のしくみ』(共立出版)がある。

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