トランプ政権「温暖化の懐疑派」を海洋大気庁『チーフ科学者』に任命

2019年ハリケーン・ドリアンの進路予想図に書き足し疑惑(写真:ロイター/アフロ)

政府の意に反する科学者は辞めさせてしまえばいいではないか、今そんな出来事がアメリカで起きています。

ニューヨークタイムズによると、国立の気象機関であるアメリカ海洋大気庁(NOAA)のクレーグ・マクリーン氏が解任され、代わって地球温暖化に否定的な人物が新たに任命されたようです。ただNOAAのホームページは更新されておらず、いまだマクリーン氏の紹介が載っています。

同記事によると、マクリーン氏が解任されたのは、先月彼がNOAAの役職に任命された人たちに向けメールを送った直後のことだったようです。

そのメールの内容とは、政策議題に合うように研究データを捏造・改ざん・操作することを禁止じるNOAAのポリシーを尊重するように要求したものだったそうです。

これに対し、トランプ大統領の元キャンペーンデータ分析官を務め、新たにNOAAの参謀長に任命されたエリック・ノーべル氏が腹を立て「何の権限でこのようなメールを送ったんだ」「後継者はもう見つかった。これまでご苦労。」と返答し、マクリーン氏を解任したといいます。

後任者とは…

後任に任命されたのが、温暖化懐疑論者として知られるライアン・マウエ氏です。Daily Mailによると、マウエ氏は30年前にNASAが発表した温暖化予測についての分析にも懐疑的な論文を書いたそうです。さらに最近では、カリフォルニア州の山火事の要因を温暖化だと主張する民主党を批判しています。

ただ調べてみると、マウエ氏はまるっきり温暖化を否定しているわけではなく、人為起源で温暖化が起きていると認めながらも、行き過ぎた対策を推進する考え方には反対している立場のようです。

疑惑のシャーピーゲート事件

トランプ氏と言えば、パリ協定の離脱を表明したり、化石燃料の資源開発を推し進めるなど、かねてから「反温暖化対策」を取っていることで知られています。

さらに科学にも耳を傾けない傾向があって、昨年には「シャーピーゲート事件」と名付けられた、シャーピー(マジックペンのブランド)でハリケーンの予想進路を勝手に付け加えてしまったことでも問題になりました。(タイトルの写真)

この時、マクリーン氏をはじめNOAAは科学的中立性を守り、トランプ氏の行動を非難する姿勢を見せました。どうやらその時から大統領は、同氏に対して不快感を抱いていたようです。

ただ実はこの時、当のマウエ氏も「うわあ。こんな方法で気象機関を裏切るなんて!」とトランプ氏を批判するような投稿をツイッターにあげていました。

脱温室効果ガスに進む世界

一方世界の大国は、温暖化対策に積極的な動きを見せています。

今月は菅首相が「2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする」と宣言、9月には世界最大のCO2排出国である中国も、2060年までに二酸化炭素の排出量の実質ゼロを目指すと発表しました。さらにカリフォルニア州も「2035年までに州で販売されるすべての乗用車の新車をゼロエミッション車(ZEV)にする」という具体的な対策も打ち立てています。

たしかに、温暖化については本当に人為起源なのか、そもそも人類にメリットもあるではないかといった様々な議論があります。しかし近年、気温が急激に上昇していることは事実で、科学技術の革新や日頃の生活様式のちょっとした工夫などで、その傾向を極力抑えていくことは大事なことではないかと思います。

トランプ氏が当選すれば、アメリカは少なくても数年間、これまで以上に世界の潮流と逆方向に進んでいくことは明らかなようです。