ベンガル湾に21年来のスーパーサイクロン発生、上陸のおそれ

スーパーサイクロン・アンパンの赤外画像 (日本時間18日、出典: NOAA)

※※追記: 日本時間20日(水)21時頃、アンパンはインドの西ベンガル州に上陸しました。

インド洋北部のベンガル湾は、世界でもっとも危険な熱帯低気圧が発生する海域です。いまこの海上に、スーパーサイクロン・アンパン(Amphan)が発生しています。20日(水)にもバングラデシュやインド周辺に上陸する見込みで、甚大な被害が予想されます。

アンパンの現在の状況

アンパンは非常に巨大なサイクロンで、その雲はベンガル湾のほぼ全域を覆っています。

日本時間18日(月)18時時点のアンパンの中心気圧は925hPa、最大風速は64m/sに及んでいます。勢力は、サイクロンのカテゴリーの中では最強の「スーパー」クラスに相当します。

インド洋にスーパーサイクロンが発生するのは、昨年アラビア湾に発生したキャー(Kyarr)以来です。しかしベンガル湾に限ると、1万人もの犠牲者を出した、1999年のオリッサ・サイクロン以来のことです。

アンパンの予想進路

インド気象局が18日に発表した予想進路図
インド気象局が18日に発表した予想進路図

インド気象局によると、アンパンは20日(水)には勢力を一段階下げ、最大風速53m/sの「エクストリーム・シビア・サイクロン」でバングラデシュ、またはインド北東部などに上陸する見込みです。

予想される最大瞬間風速は58m/s、総降水量は400ミリ、高潮は5メートルに達する可能性があります。

なお、先に述べた1999年のサイクロンは「スーパーサイクロン」のまま上陸し、高潮の高さは8メートルにも達したと記録されています。

ベンガル湾のサイクロン事情

被害の出やすい理由

ベンガル湾のサイクロンの発生数は年平均で3.1個と、数自体は多くはありません。

しかし、それでもベンガル湾のサイクロンが危険な理由は、湾に面する地域がとりわけ海抜が低いことが挙げられます。たとえば、バングラデシュの国土の50%は海抜7メートル以下です。

そのうえ、インドからインドシナ半島にかけて海岸線が逆Vの字型をしており、高潮や高波の被害が大きくなりやすいのです。

加えて沿岸部に人口が集中し、超過密地帯となっています。

こうした悪条件が重なって、ベンガル湾で発生したサイクロンは、歴史的に多数の死者を出してきました。

史上最悪のキラーサイクロン

ウェザー・アンダーグラウンドの資料によると、世界でもっとも多くの犠牲者を出した上位36個の熱帯低気圧のうち、26個はベンガル湾で発生しています。

当然、世界最多の犠牲者を出した熱帯低気圧もこの海域で発生しました。

1970年にバングラデシュ(当時、東パキスタン)に上陸したサイクロン・ボラは、50万人もの犠牲者を出しました。そのほとんどは高潮によるものです。

※追記(5/19): イギリスのBBCなどで、サイクロン名を「アンパン」と呼んでいることから、記事の中の名称を変更しました。