史上2番目の大高潮で「水の都・ベネチア」85%浸水 なぜ発生?

12日のベネチア・サンマルコ寺院の様子(写真:ロイター/アフロ)

水没の危機が叫ばれる世界遺産のベネチアで12日(火)、水位が観測史上2番目の高さまで上昇し、町の85%以上が浸水しました。

浸水の状況

ベネチアは、百以上の小島が数百の橋や運河でつながれた水上都市で、ユネスコ世界遺産にも登録されています。

ベネチアは潟の上に作られた都市なので、頻繁に洪水が発生します。特に近年は海面水位の上昇で水没の危機が叫ばれています。12日(火)には水位が187センチに達し、観測史上2番目の高さとなりました。町の85%以上が浸水したと伝えられています。

ナポレオンが「世界一美しい広場」と称賛したサンマルコ広場も浸水し、太ももまで水に浸かって歩いている人の姿も見られました。この広場に面して建つサンマルコ寺院も浸水し、タイルやモザイク画などが劣化した可能性があるといいます。サンマルコ寺院が洪水の被害に遭うのは、1,200年の歴史の中で6度目、ここ20年の間では4回目とのことです。

(↑泳ぐ人もいたよう)

浸水の原因

11月から12月はベネチアの洪水のシーズンです。その状態は「高水」を意味する「アクア・アルタ(Acqua Alta)」と呼ばれています。

NASAの12日の衛星画像に筆者加筆
NASAの12日の衛星画像に筆者加筆

アクア・アルタの起きる原因は、満潮と「シロッコ」と呼ばれる南風、さらに低気圧です。これら3つが重なることで潟内の水量が増え、洪水が発生します。そもそもベネチアはアドリア海の北端に位置しているため、シロッコ(南風)が行き止まる場所にあたり、高潮が起きやすい地形なのです。

今回は12日がちょうど満月で大潮であったこと、発達した低気圧が2つも接近していたうえに、強い南風も吹いていたことから、水位が上昇したと考えられます。そのうち一つの低気圧は、メディタレニアン(地中海)とハリケーンの造語である「メディケーン」という名前の、地上に暖気、上空に寒気を伴った強い嵐でした。

これまでの最高水位は1966年11月に観測された194センチで、この時は町の90%が浸水、数千人が家を失ったといわれています。

地球温暖化と地盤沈下

ベネチアの洪水は年々増加しています。その理由は、温暖化による海面水位の上昇と、地下水のくみ上げ過ぎやプレートの沈み込みによる地盤沈下といわれています。19世紀後半に比べて海面水位が28センチも上昇しているようです。

イタリア政府は、水路に可動式のゲートを設置して、海水の浸入を防ごうとする「モーゼ計画」を2003年から実施していますが、いまだ完成には至っていません。