台風19号「世界史上最大級」「カテゴリー6」「2つの目」は本当か?

(写真:ロイター/アフロ)

10日の電子版Annex スポニチに、刺激的なタイトルの台風記事が掲載されていました。

「地球史上最大級か? 台風19号の勢力に世界が注目 衛星写真に騒然」と名付けられたタイトルのもと、以下のようなことが書かれてありました。

(19号は)米国内では「スーパー・タイフーン」として紹介されている。AP通信によれば、「ハギビス」と呼ばれている19号は大西洋上で発生するハリケーンの規模を示すカテゴリーでは最大級の「5」。米国内の気象専門家からは「存在しない6に相当する」という意見もSNSなどで出始めている。

(中略)あまりに急速に発達したため、最初にあった台風の目の周囲に“2つめの目”ができたことが確認されており、進路になっている日本にとっては脅威をもたらす存在になりそうだ。

ここで気になったのが、台風19号が「地球史上最大級」であり、「カテゴリー6」に相当すること、さらに「2つ目の目」が元の台風の目の周囲にできていることです。本当にそうなのでしょうか。

2つ目台風の真相

まず「2つ目の目」は存在するのでしょうか。

19号の最盛期前後の赤外画像を見てみると、元の目の周りを囲むように、まさに2つ目の目ができていました。「○」を目とするならば「◎」といった形です。強力な台風にはこうした二重の目がくっきりと現れることがあります。

これは「アイウォールの世代交代」と呼ばれ、台風の中心から遠い外側の部分に新しいアイウォール(目の壁)ができる現象です。これができると、内側の元からあったアイウォールはやがて衰弱して消滅します。「台風の科学(ブルーバックス)」によると約2割の台風でこの現象が見られ、最大風速が60m/sを超えるような強力な台風の場合は、8割で見られるのだそうです。

また多角形の目が見られることもあります。2003年のハリケーン・イザベルは五角形の目を持っていました。

カテゴリー6の真相

では、もう一つの疑問です。本当に専門家は「カテゴリー6に相当する」といっているのでしょうか。

アメリカの気象局はハリケーン(台風と本質的には同じもの)の強さを、カテゴリー1から5の5段階に分けています。「5」が最大で、その風速の基準は風速70m/s以上です。なお、ここでいう風速とは1分平均の風速で、気象庁が使用している10分平均よりもやや(正確には1.2倍)数字が大きくなります。

では今回アメリカの気象機関は、19号の最大風速を何m/sとして解析していたのでしょうか。調べてみると、最大の勢力時でも72m/sでした。これは限りなくカテゴリー「4」に近い「5」といえ、「6」というには程遠いような気がします。

ハリケーン・ドリアンはカテゴリー6?

ただ、今年9月バハマに壊滅的な被害を出したハリケーン・ドリアンは、カテゴリー6に相当する可能性があるとScientific Americaが解説しています。

その記事には、そもそもカテゴリー6は存在しないという前提のもと、もし「6」を作るとするなら、計算上では風速80m/s以上のハリケーンがそれに相当し、最大風速が83m/sであったドリアンは、これに匹敵すると述べています。

さらに、その上のカテゴリー7があるとすれば、風速は94m/s以上となり、世界史上最強のハリケーンとして記録されている2015年のパトリシアがそれに唯一相当するとしています。

というわけで、カテゴリー5であった台風19号を「地球史上最大級」とするのは、盛り過ぎといえましょう。ただよく見ると、スポニチのタイトルには「最大級?」と書かれており、まんまとはめられてしまった感じがします。

不安な時にはデマが流れる

台風19号に関しては、この他にも「千年に一度のレベル」「23区3割浸水」などといった、大げさともいえる噂が流れているようです。デマは人々が不安なときに、より広がるもの。混乱のなかでも冷静な目で物事を見たいものです。

ただ今回の19号に関しては、これまでに経験したことのない規模で静岡県や関東地方に上陸する恐れが高まっています。想定外の風雨や高潮が予想されます。やり過ぎと思えるくらいに準備をしておくことをお勧めします。