巨大砂嵐に襲われたオーストラリア たった数分で暗闇に
7日(火)オーストラリア南東部ビクトリア州で大規模な砂嵐が発生しました。
下の動画はミルデュラという町で撮られた映像です。
午後5時に突然、砂嵐が町を襲い、辺りは数分で暗闇に包まれました。視程は10メートル以下に下がり、車の衝突事故なども起きたもようですが、けが人は出なかったようです。
下の写真は、この砂嵐を空から映したものです。高さ数キロはある、とてつもなく大きな砂の壁が、町に押し寄せているのがわかります。
砂嵐はこれほど大規模であったものの、去り際は意外とあっけなく、ミルデュラでは20分後に再び青空が戻ったようです。
砂嵐の原因は?
砂嵐を起こした原因は、寒冷前線に伴う強風でした。
周辺では風速24m/sの突風が観測されています。またオーストラリア気象局の記録を見ると、ミルデュラでは午後5時過ぎに風向きが北西から南西に変わり、それと同時に気温が30分間で5℃も低下していました。
砂はどこから?
砂は一体どこから来たのでしょうか。
オーストラリア東部で発生する砂嵐の多くは、南オーストラリア州、ニューサウスウェールズ州、クイーンズランド州にまたがる砂漠が起源です。
史上最大規模の砂嵐
風下に当たる地域では、しばしば砂嵐の影響を受けます。そして近年、その規模が大きくなっているという報告があります。
近頃起きた嵐の中で最も大規模なものは、2009年にニューサウスウェールズ州周辺を襲った砂嵐でした。
記録のある1940年以降で最も大きく、下の動画のようにシドニーも一面赤色に染まって、航空便の欠航や遅延が相次ぎました。この時シドニーには4,000トンもの砂が降ったと言われています。
砂嵐の効果
ところで、シドニー大学のジョーンズ教授によると、砂がオーストラリアの南東のタスマン海に舞い降りると、海にミネラル分が増え、植物プランクトンが増殖、その結果、空気中の二酸化炭素が海に蓄えられて、温暖化を軽減する働きがあるといいます。
実際、上記の2009年の砂嵐では、シドニーの港の植物プランクトンの数が3倍に増え、それらが800万トンもの二酸化炭素を消費したのだそうです。
交通障害や大気汚染など、砂嵐はマイナス面の多い自然現象ですが、一方でこうしたプラスの面もあるようです。