『キムチ前線』に見る、キムチ作りに最適な気象条件とは

(ペイレスイメージズ/アフロ)

韓国とキムチ文化

言わずもがな、キムチは韓国の国民食で、一人当たりの年間消費量は22kgともいわれています。

昔からキムチは、長く厳しい冬に食べられる貴重な野菜であり、キムチ作り、いわゆる「キムジャン文化」は、2013年にユネスコの無形文化遺産にも登録されました。

少し前までは「キムジャン・ボーナス」と呼ばれる、キムチを作るための費用を会社から一部支給されたサラリーマンもいたそうです。

「キムチ前線」

おいしいキムチを作る手助けとして、韓国の気象会社は「キムチ前線」と呼ばれる、キムチ作りに最適の時期を毎年発表しています。以前は韓国気象庁が予想を出していましたが、数年前から民間会社が担当しています。

下の表は「Kウェザー」が発表したキムジャンの最適日です。キムチ前線はこちらのPDFから見られます。

今年の漬け時は、内陸では平年並み、海の近くでは1~2日早いところが多いようです。

Kウェザー発表の「2018年キムジャンの最適日」の表をもとに筆者作成
Kウェザー発表の「2018年キムジャンの最適日」の表をもとに筆者作成

キムチに最適な気象条件

キムチに最適な気象条件とは何でしょうか。

それは日平均気温が4℃以下、また日最低気温が0℃以下になった時といわれています。

もしこれよりも気温が高いと発酵が進みすぎてしまい、反対に気温が低いとキムチの材料である白菜や大根が凍ってしまって、味がよく染み込まないのだそうです。

このため11月から12月にかけての時期が、韓国のキムジャンの季節です。

温暖化による影響

ただ近年は、キムジャンの最適時期に変化が起きているようです。温暖化により気温が下がりにくくなっているために、キムジャンの時期も遅れているというのです。

例えば1920年代のソウルにおけるキムジャンの平均最適日は11月21日でしたが、現在ではそれよりも10日近く後ろ倒しになっています。

変わるキムジャン文化

各家庭に重宝されてきたキムチ前線も、残念ながら、昔に比べるとその重要性が薄らいできているようです。

その理由は、若者のキムチ離れが進んでいることに加え、キムチ冷蔵庫を保有する家庭が増えたことです。冷蔵庫が勝手に温度調整をしてくれるので、キムチの味が外気温に左右されにくくなっているのです。

韓国の友人は「キムチ作りの時期で参考にするのは、キムチ前線よりも野菜の値段だよ」と話していました。そう遠くない将来に、キムチ前線が消えてしまいやしないかと、多少気がかりになりました。