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デスバレーで52℃観測!"獄暑"に見舞われるアメリカ

森さやかNHK WORLD 気象アンカー、気象予報士
アメリカ・デスバレー(写真:アフロ)

今日、夏至を迎え、いよいよ北半球では夏が始まりました。日本では週末、群馬県や埼玉県などで猛暑日を記録しましたが、アメリカはそれをゆうに上回る「獄暑」とも言うべき、死の危険を感じる暑さに見舞われています。

日最高気温続々と

現地時間19日(日)、カリフォルニアやアリゾナ州などアメリカ南西部では、日最高気温の記録が塗り替えられました。

ユマ(アリゾナ州)48.9度

サーマル(カリフォルニア州)48.3度

パームスプリングズ(カリフォルニア州)47.8度

フェニックス(アリゾナ州)47.7度 ※50年前の記録を刷新

ツーソン(アリゾナ州)46.1度

また20日(月)も日最高気温の記録が観測されました。

デスバレー(カリフォルニア州)52.2度

ニードルズ(カリフォルニア州)51.7度

ラスベガス(ネバダ州)46.1度

熱波の被害

こうした熱波の影響で、被害が出ています。

アリゾナ州では、熱中症により20代の4人が死亡。カリフォルニア州などでは大規模な山火事が発生しており、多くの住民が避難を余儀なくされています。

さらにアリゾナ州フェニックスの空港では、到着予定のメサ航空の飛行機が、暑さのために出発地ヒューストンに引き返すトラブルも発生しました。航空会社は、気温が50度近かったため、車輪が破裂する恐れがあり、着陸できなかったと説明しています。

この異例の暑さは、21日(火)にも続く見込みです。

ヨーロッパも猛暑

一方、避暑地のイメージが強い欧州でも熱波に見舞われています。現地時間19日(日)、ギリシャのアテネでは気温が40度まで上がりました。バルカン半島やロシア西部など、ヨーロッパ東部の地域では、21日(火曜)もまた、平年より10度以上も高い気温が続く模様です。

2016年は史上最高に暑い年になる可能性

地球の温度は、2014年から史上最高気温を観測しつづけています。NASAのギャバン・シュミット博士は、今年の2月、地球気温の上昇についてこのようにコメントしました。

「Wow!」

研究者にとっても、この急激な気温上昇は予想外のことだったのです。そして彼は先月には、いよいよこんなことを漏らしました。

「2016年は99%の確率で史上最も暑い年になる。」

なぜシュミット博士は、これほどまでに自信を持っているのでしょうか。

実は今から20年ほど前の1998年。史上最大規模のエルニーニョが終わり、ラニーニャに移行する年がありました。この年、世界で異常気象が多発し、記録的猛暑も頻発しました。今年はその年に酷似しているため、シュミット博士の頭の中には、この時の記憶が蘇っているのかもしれません。

2016年5月の世界気温の平年偏差。濃い赤は、史上最も高い気温を観測したところ。NOAA
2016年5月の世界気温の平年偏差。濃い赤は、史上最も高い気温を観測したところ。NOAA
NHK WORLD 気象アンカー、気象予報士

NHK WORLD気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に新刊『お天気ハンター、異常気象を追う』(文春新書)、『いま、この惑星で起きていること』(岩波ジュニア新書)、『竜巻のふしぎ』『天気のしくみ』(共立出版)がある。

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