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ドラフトで指名された最も珍しい名字の選手は誰か

森岡浩姓氏研究家
写真はイメージ(写真:イメージマート)

10月20日にプロ野球のドラフト会議が開催され、本指名69人、育成指名57人の計126人が指名された。

これらの選手の実力や、ドラフト指名としての成功不成功についてはそれぞれの専門家が論考しているので、ここでは指名された選手の名字に注目してみたい。

なお、本稿では新旧字体のみの違いは同じ名字とする一方、読み方が違う場合は清濁の違いを除いて別名字としている。

1巡目指名を受けた選手たち

まずは、本指名された69人のうち、カタカナ名字のイヒネ・イツア選手を除く68人についてみてみよう。

イヒネ選手を除く11人の1巡目指名選手で、最も珍しいのはオリックス1巡目の曽谷(そたに)龍平選手(白鷗大)。とはいえ、「そたに」は全国ランキングでは7000位台で、それほど珍しいというわけでもない。因みに「そや」と読むと、2万位以下でかなり珍しい名字である。

中日1巡目の仲地礼亜選手(沖縄大)の名字は見たことがない人も多いと思うが、その出身地の沖縄では100位以内に入るごく普通の名字で、全国を合計しても3000位台。

西武1巡目の蛭間拓哉選手(早大)の「蛭間」も、その出身地である群馬県や埼玉県には意外と多く、やはり全国ランキングで5000位以内に入る。

珍しい名字の選手

筆者は、全国ランキングで5000位以内を普通の名字、1万位以下を珍しい名字とし、2万位以下をかなり珍しい名字と考えている。

2巡目以下までみると、楽天2巡目指名の小孫竜二選手(鷺宮製作所)と、中日4巡目指名の山浅龍之介(聖光学院高)の名字が、ともに3万位以下で極めて珍しい。「小孫」は各地に点々とあるのみだが、堺市と金沢市に多く、小孫選手も金沢市の出身。「山浅」は秋田県の名字で、山浅選手は宮城県の出身。

次いで珍しいのが、巨人5巡目指名の船迫大雅選手(ふなばさま・ひろまさ、西濃運輸)。というのも「船迫」という名字は鹿児島県にそこそこあるのだが、同県ではほぼ「ふなさこ」。西日本では谷間のことを「さこ」といったことに因んでいる。「ふなばさま」と読むのは宮城県南部独特で、全国ランキングでは2万位以下とかなり珍しい。船迫選手も宮城県蔵王町の出身である(高校は福島県の聖光学院高)。

その他では、「奈良間」(日本ハム5巡目)「門別」(阪神2巡目)「井坪」(阪神3巡目)などが珍しい名字。「門別」は北海道の地名をルーツとする数少ない名字の一つである。

育成指名まで拡大すると

対象を育成指名まで拡大すると、ソフトバンク育成5巡目の岡植純平選手(飾磨工)の名字が本指名も含めて最も珍しい。香川県の小豆島と兵庫県の福崎町付近にある名字で、岡植選手は姫路市の出身。「岡上」から漢字が変化したものとみられる。

次いで珍しいのが、巨人育成6巡目の三塚琉生選手(みつか・るい、桐生第一高)の「三塚」。この名字も、集中している宮城県ではほぼ「みつづか」と読む。「みつか」は関東地方各地に点在しており、三塚選手の出身は千葉県柏市。

その他では、「茶野」(オリックス育成4巡目)、「辰見」(楽天育成1巡目)が珍しい名字である。

ドラフトで指名される選手は全国に散らばっており、毎年珍しい名字の選手が指名されるのだが、今年は比較的珍しい名字が少なかった。

姓氏研究家

1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」「日本名門・名家大辞典」「47都道府県・名字百科」など多数。2017年から5年間NHK「日本人のおなまえ」にレギュラー出演。

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