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慶応も仙台育英も負けた! 夏もそうだったけれど、秋も「波乱」相次ぐ 夏とは違うその理由は?

森本栄浩毎日放送アナウンサー
夏に続き、センバツをめざす秋の大会でも、全国で波乱が相次いでいる(筆者撮影)

 この一週間、全国で衝撃のニュースが続いた。センバツをめざす秋の県大会で、夏の甲子園で優勝を争った慶応(神奈川)と仙台育英(宮城)が敗れ、事実上、センバツへの道を断たれたのだ。夏の地方大会で相次いだ「波乱」の流れは、新チームとなった秋にも及んでいるのか。

仙台育英は12年ぶりに東北大会進出を逃す

 仙台育英は、夏の甲子園決勝後に須江航監督(40)が「昨年の今ごろと比べると、(新チームは)かなり差がある」と話していたように、主力投手を含むバッテリーと主力野手が多く残っていた前チームよりも、苦しい船出を予想していた。それでもライバルの東北に完勝したことから、東北大会出場は安泰かと思われたが、準々決勝で甲子園経験のある東陵に1-2で敗れた。他チームよりも1か月は始動が遅れ、チーム力を整備している段階での敗戦と言える。ちなみに仙台育英がセンバツに直結する秋の東北大会出場を逃すのは12年ぶり。また東陵は、準決勝、3位決定戦で連敗し、東北大会進出はならなかった。

慶応は桐光学園に完封負け

 慶応は、神奈川大会の準々決勝で桐光学園に0-4で完封負けした。甲子園でも活躍したエース・小宅雅己(2年)の力投もむなしく、打線が3安打無得点と沈黙して、終盤に押し切られた。仙台育英とは違い、小宅と二枚看板だった左腕・鈴木佳門(2年)、さらに4番を打った加藤右悟(2年=主将)が健在だっただけに、神奈川のレベルの高さがうかがえる。桐光の新チームは評判が高かったとはいえ、ライバルの横浜東海大相模とは決勝まで当たらない組み合わせだったため、関東大会出場の2枠に入るのがいかに難しいかを痛感させられる。

近畿でも古豪の平安が新鋭に敗れる

 近畿では、今春センバツ出場の龍谷大平安(京都)が、4回戦で京都精華学園に2-4で敗れた。全国的には全く無名の京都精華だが、それもそのはず。元は、バスケットボール部が強豪として知られる女子校で、7年前に共学化したばかり。全国屈指の伝統を誇る平安が、4年前の夏が公式戦初出場という京都で最も歴史の浅いと思われる「新鋭」に屈した形だ。慶応の森林貴彦監督(50)が「波乱ではなく桐光さんの力が上」と話したが、平安は夏の甲子園には出ておらず、準備期間もある程度はあったことから、「まさか」の試合だったことは間違いない。

秋は、夏の甲子園出場が大きく影響

 短期間で集中的に試合を行う夏とは違い、秋は週末の土日を使っての開催形式を採る都道府県がほとんどだ。したがって、入念な準備がしやすい。ゲームプランを立てやすい反面、新チームの始動が遅れると、チーム状態に確信を持てないまま、大事な試合に臨まざるを得ない。仙台育英と慶応は、明らかに始動遅れが敗因で、この時期、経験値の1か月差はかなり大きい。慶応は加藤を捕手にコンバートしたが、打撃に影響はなかったか。炎天下の夏はチームのコンディショニングに左右されるが、秋は夏の甲子園出場が大きな足かせになることが多い。仕上がりの早いチームほど有利なのが秋の戦いだ。

広陵や履正社も冷や汗

 この時期は一週間でチーム力が激変する。夏の代表では、広陵(広島)が6点ビハインドをひっくり返して九死に一生を得たり、「大阪2強」の一角、履正社がタイブレークで辛くも金光大阪を振り切ったり、全国屈指の強豪にも「あわや」の場面があった。次の週末には、地区大会出場校も決まり始め、いよいよセンバツをめざす戦いも本格化する。春夏関係なく、甲子園への道は常に険しい。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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