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初日にいきなり仙台育英と浦和学院、慶応は北陸と対戦! 夏の甲子園の対戦相手決まる

森本栄浩毎日放送アナウンサー
105回の記念大会は初戦から好カードが続く。猛暑の夏を制するのは?(筆者撮影)

 いよいよ6日の日曜日に105回の記念大会が幕を開ける。大阪桐蔭や横浜(神奈川)、智弁和歌山、明徳義塾(高知)などの常連校が敗退するなど、波乱含みだった地方大会の流れは本大会でも続くのか。3日、その対戦相手が決まった。

消耗少ない日程運が大きな優勝へのポイント

 夏は南北北海道と東西東京だけが初戦で当たらないよう配慮されるが、そのほかは原則、フリーで抽選するため、同地区や隣県対決がありうる。この日の抽選では、3回戦までの組み合わせが決まった。昨年は決勝カードが2回戦からの登場チーム同士になり、猛暑の中での大会は、より消耗の少ない日程運に恵まれることも優勝への大きなポイントとなる。また、台風襲来で選手の移動に支障が出ている沖縄尚学は、5日目以降の初戦となるよう配慮された。

初日に仙台育英が浦和学院と激突

 連覇を狙う仙台育英(宮城)には試練が待っていた。初日の第3試合で、実力校の浦和学院(埼玉)といきなり顔を合わせる。高橋煌稀湯田統真仁田陽翔(いずれも3年)ら、優勝経験のある投手陣が万全の仙台育英に対し、浦和学院も左腕・鈴木夕稀(3年)ら力のある投手陣で対抗する。お互いが、継投機にどこまで攻め、得点に結びつけられるか。仙台育英の山田脩也主将(3年)は「投打で圧倒したい。初回の入りが大事だと思う」と話せば、浦和学院の江口英寿主将(3年)も「全員野球で(仙台育英の)強力投手陣に食らいつきたい」と意気込んだ。この両校は10年前の初戦でも当たっていて、11-10で仙台育英がサヨナラ勝ちした。浦和学院はその年のセンバツで優勝していて、2年生エースの小島和哉(ロッテ)が最後に力尽きるというすさまじい試合だった。両校はその5年後にも初戦で当たり、この時は浦和学院が大差で雪辱して、甲子園では1勝1敗。今回は3点前後の勝負になるだろう。

センバツで智弁和歌山を破った英明は智弁学園と

 2日目の好カードは英明(香川)と智弁学園(奈良)の対戦。センバツで智弁和歌山を破っている英明は投打にしぶとい。ただ智弁は、県大会4本塁打の1番の松本大輝(3年)ら、左の強打者が並んでいて、英明の横手投げ・下村健太郎(3年)が低めに球を集め、的を絞らせないことが肝心。終盤勝負に持ち込んで、勝機をつかみたい。3日目の第1試合には、高校通算140本塁打の佐々木麟太郎(3年)擁する花巻東(岩手)が、粘り強い野球が身上の宇部鴻城(山口)と当たる。宇部鴻城は、エース・浅田真樹(3年)ら投手陣の踏ん張りに期待したい。第4試合の大垣日大(岐阜)と近江(滋賀)は、直線距離で40キロほどの「お隣さん」対決。たびたび練習試合もしていて、今季は大垣日大がやや優勢。大垣日大は、阪口慶三監督(79)の甲子園通算40勝と最年長勝利が懸かっている。

4日目には近畿勢が相次いで登場

 4日目の第2試合には、日大三(西東京)が登場して、昨夏から3大会連続出場の(兵庫)とぶつかる。投打のバランスがいいチーム同士で、日大三の安田虎汰郎(3年)、社の高橋大和(3年)の大黒柱の出来が勝敗を左右するだろう。この日は近畿勢が相次いで登場し、市和歌山は初出場の東京学館新潟と。立命館宇治(京都)は神村学園(鹿児島)と当たる。市和歌山はエース・栗谷星翔(3年)が打っても3番の注目選手で、立命館宇治の十川奨己(2年)は195センチの長身から角度のある球を投げる。

沖縄尚学は投打の柱が健在

 終盤の日程が立て込む5日目の第2試合では、明豊(大分)と40回目出場の北海(南北海道)の注目対戦。明豊は速球派の中山敬斗(3年)が好調で、地方大会5本塁打の4番・熊谷陽輝(3年)ら、北海の強打者をどう抑えるか。第3試合からは2回戦で、日程運に最も恵まれる。星稜(石川)は大器と期待される右腕・武内涼太(3年)が、県大会で制球に苦しんだ。相手の創成館(長崎)は競り合いに強いだけに、スキを見せたくない。6日目は注目校が登場し、好投手・東恩納蒼(3年)と強打の仲田侑仁(3年)が健在の沖縄尚学は、投打のバランスがいい。相手のいなべ総合(三重)は、終盤の逆転がお家芸の粘りが身上だ。

広陵は2回戦からの登場で島根代表と

 6日目の第2試合には広陵(広島)が、同地区の立正大淞南(島根)と当たる。立正大淞南は得意の継投策で、広陵の真鍋慧(3年)らを抑えたい。慶応(神奈川)は北陸(福井)との初戦で、ともに春夏連続出場。北陸は好投手・友広陸(3年)が県大会中にヒジを痛め、決勝で復活した。甲子園でも本来の投球ができれば、慶応の強力打線も大量点は望めないだろう。北陸の笹井多輝主将(3年)は「打力を強化してきた」とエース援護を誓った。この4校が8強入りを懸ける。

同地区対決4カードは多すぎる

 7日目は同地区対戦が続き、明桜(秋田)と八戸学院光星(青森)が隣県対決。春の東北大会では光星が勝っている。隣接していないが、専大松戸(千葉)と東海大甲府(山梨)も関東勢の同地区対決となった。今回はほかにも川之江(愛媛)と高知中央、先述の広陵と立正大淞南と、計4カードが同地区の初戦顔合わせで、非常に多い。同地区の対戦は、甲子園の全国大会にふさわしくないので、せめて初戦で当たらないような工夫が欲しい。もしくは、どうせフリーにするなら北海道と東京の初戦対決を避ける配慮は不必要と考える。

九州国際大付は対戦相手が決まらず

 初戦の相手が決まらない49番クジには、九州国際大付(福岡)が入った。開幕戦の土浦日大(茨城)と上田西(長野)の勝者と当たるが、待たされる上、かなり手強い相手で、2年生左腕の田端竜也を、注目スラッガーの佐倉侠史朗(3年=主将)らが援護できるか。佐倉は「ほかのチームよりも調整期間が長くなる。前向きにとらえたい」と、落ち着いた表情で話していた。

8校で8強入り争うブロックは激戦

 8強は8校で争うブロックが4つ。5校が1つ。4校が3つと、「競争率」には大きな差がある。昨夏は先述のように4校枠を勝ち抜いたチーム(5勝で優勝)同士の決勝となった。この枠では、星稜と沖縄尚学が同ブロック。有力校の広陵と慶応も同ブロックになる。また九州国際大付も2勝で8強となる。最激戦は仙台育英と浦和学院が入ったブロックで、ここには履正社(大阪)がいて、勝ち進めば3回戦で当たる。英明と智弁のブロックには昨夏8強の愛工大名電(愛知)や花巻東クラーク国際(北北海道)が入り、どこが8強に進んでもおかしくない。

10回からのタイブレークや継続試合も影響必至

 次のブロックも混戦模様で、大垣日大と日大三がわずかにリードするが、日大山形おかやま山陽の勝者も力がある。日程運が苦しい次のブロックは、市和歌山と立命館宇治の近畿勢に明豊が有力。東海大熊本星翔は攻守に好選手を擁し、初出場初勝利を狙う浜松開誠館と当たるが、この勝者は波に乗る可能性がある。10回からのタイブレーク継続試合など、今大会は高校野球の大きな転換点に当たり、試合の行方そのものにも影響を与えることは必至。また猛暑の中での開幕となりそうで、観客も含めた万全の暑さ対策を疎かにはできない。選手宣誓は初出場の高知中央・西岡悠慎主将(3年)に決まった。「びっくりした。(宣誓文は)宿舎に帰って考えたい」と興奮を隠しきれない様子だった。開幕は3日後だ。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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