Yahoo!ニュース

来春も近畿勢はやはり強い? 1県除き強豪が順調に勝ち進む

森本栄浩毎日放送アナウンサー
来月の近畿大会に進むのはどのチームか?府県大会も終盤戦に入っている(筆者撮影)

 来春センバツに直結する全国の地区大会は、出場校が続々と名乗りを上げている。この2年、甲子園の優勝争いを引っ張ってきたのは近畿勢。秋の府県大会も終盤戦に突入し、今週末には近畿大会(10月22日開幕、和歌山・紀三井寺)に出場するチームが決まり始める。

近畿大会出場は16校 

 近畿大会には16校が出場する。大阪、兵庫、京都、和歌山から3校。滋賀と奈良は2校の出場で、センバツ選出の6枠を巡って、2勝で4強入りが当面の目標になる。近畿のレベルは全体的に高いが、やはり大阪勢が強く、下位で出場してくる強豪も少なくないため、1位になったアドバンテージはあまりない。全国的に見ても、最も組み合わせに左右される地区と言える。

京都、滋賀、兵庫は今週末に出場校決定

 すでに4強が決まったのは京都、滋賀、兵庫の3府県。京都はここ数年と同じような顔ぶれで、兵庫もまずは順当な勝ち上がり。一方で、近江がこの2年、甲子園で大活躍した滋賀は、波乱が相次いだ。大阪はベスト16が決まり、5回戦に突入。奈良は進行が遅く、8強が出揃っていない。特殊な方式を採っている和歌山は、2次戦の上位校が決まり、新人戦上位4校との掛け合わせで、準々決勝が行われる。

近江敗退で大波乱の滋賀

 近江が3回戦で彦根東に逆転負けした滋賀は、夏の4強がすべて準々決勝を前に敗退する大波乱の展開となった。勝者が近畿大会に進める準決勝の対戦は、

  彦根総合-近江兄弟社

  瀬田工-水口東

 彦根東を延長15回の死闘の末に破った彦根総合に注目。県立の北大津を春夏計6回、甲子園へ導いた宮崎裕也監督(61)が率い、一気に力をつけてきた新鋭私学で、選手の試合経験も豊富。瀬田工は夏の県大会で近江をあと一歩まで追い詰めたが、その試合を経験した選手がほとんど残り、投打ともたくましい。42年前の夏に全国4強経験のある名門が、41年ぶりのセンバツ出場を狙う。

平安は夏の雪辱なるか

 京都は3校が近畿大会に進む。敗れても3位決定戦が行われ、センバツへの道は続く。上位陣は例年と同じような顔ぶれになった。

  京都国際-龍谷大平安

  乙訓-鳥羽

 強豪私学同士、公立同士の顔合わせになった。2年前は平安、乙訓、京都国際の順位で出場したが、京都国際がセンバツ切符をつかんだ。昨夏甲子園4強のメンバーが抜ける京都国際は、夏の甲子園でも投げた本格派の松岡凛太朗(2年)が投手陣の柱になる。「野手も総入れ替えでゼロからのスタートになる」と原田英彦監督(62)が話していた平安は、短期間で戦力を整えてきた。夏の決勝で敗れた京都国際に雪辱なるか。近年、京都の公立で最強を誇る乙訓は打線が好調。対戦相手の鳥羽は、市川靖久監督(39)の母校でもある。

神戸国際大付に大型右腕

 兵庫は、2年連続のセンバツを狙った東洋大姫路明石商に敗れ、好投手を擁する滝川二が報徳学園との投手戦で惜敗するなど、強豪同士がつぶし合った。ただ結果的にはほぼ順当な顔ぶれで、この週末に2敗しなければ近畿大会出場がかなう。

  社-神戸国際大付

  報徳学園-育英

 夏の兵庫決勝でタイブレークの死闘を演じた社と神戸国際が再戦。神戸国際の巨漢右腕・津嘉山憲志郎(1年)はその試合で6回から救援し、先頭に四球を与えたものの12回終了まで21人連続アウトの離れ業をやってのけた。タイブレークで打たれただけに、人一倍、リベンジしたい気持ちがあるだろう。報徳の強肩強打の捕手・堀柊那(2年=主将)は、春の近畿大会で本塁打を放っている。

「大阪2強」は決勝まで当たらず

 大阪は2強の大阪桐蔭履正社が危なげなく勝ち進んでいる。決勝まで当たらない組み合わせで、早くも今チームでの対戦が実現するか。しかし、5回戦では油断ならない相手が待ち受ける。履正社は4回戦で、有力校の関大北陽を10-3で退けた。5回戦は古豪の興国と当たる。大阪桐蔭は、甲子園経験のある春日丘にコールド勝ちしたが、次戦の東海大大阪仰星は強敵で、新主将になったエース・前田悠伍(2年)の登板があるか。今春センバツ8強の金光大阪は、府立の進学名門・天王寺と対戦する。

「奈良2強」は準決勝で対戦か

 奈良は進行が遅く、3回戦1試合(生駒大和広陵)が積み残された。今年は2枠のため、滋賀同様、準決勝で敗れるとセンバツへの道が断たれる。2強の天理智弁学園は8強まで勝ち残っているが、準決勝で対戦する組み合わせのため、いずれかが近畿大会出場を逃すことになる。前チームがやや不振だった智弁は、小坂将商監督(45)がU18米国遠征で不在の中、奈良大付に7-6で辛勝した。ここまでは、失点の多さが気になる。ライバルの天理は甲子園経験のある桜井と対戦する。別のブロックは、一条橿原橿原学院高田商で、この4校から1校が近畿大会に進む。

智弁和歌山は新人戦で市和歌山に大勝

 和歌山は準々決勝の組み合わせが決まり、新人戦1位の智弁和歌山日高中津と。同2位の市和歌山は、好投手のいる近大新宮と初戦で当たる。両校は決勝まで当たらないが、初戦を突破すれば、智弁和歌山は今春センバツ出場の和歌山東と古豪・海南の勝者、市和歌山は、甲子園優勝4回の名門・箕島熊野の勝者と、それぞれ対戦する。智弁和歌山は昨秋、同じ準決勝で、和歌山東の巧みな継投策に決定打を奪えず敗れ、近畿大会出場を逃した。ちなみに新人戦の決勝は19-3の大差で、智弁和歌山が市和歌山を圧倒している。

全国では波乱が相次ぐ

 全国に目を転じると、今夏の甲子園で準優勝した下関国際(山口)や同8強の九州学院(熊本)、春夏連続出場の九州国際大付(福岡)、日大三島(静岡)などがすでに敗退し、センバツは夢と消えた。夏の覇者・仙台育英(宮城)は、ライバルの東北に敗れたが、東北大会での巻き返しを誓う。今週末は、全国で重要な試合が相次いで行われる。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

森本栄浩の最近の記事