センバツ21世紀枠候補9校決まる!

センバツ21世紀枠候補の9校が決定した(写真は今春の膳所のスタンド 筆者撮影)

 センバツの名物としてすっかり定着した感のある21世紀枠。近年は「出尽くした」印象もあったが、今回は秋の実績十分な粒ぞろいの顔ぶれで、近年にない激戦となりそうだ。候補9校のプロフィールとともに、主催者リリースの資料から、選出過程も併せて紹介する。

釧路湖陵(北海道)

 創立106年という北海道東部を代表する伝統校。毎年100人以上が国公立大学に現役合格するなど、道内屈指の進学実績を誇る。野球部も100年以上の歴史があるが、甲子園出場はない。秋季大会では釧根支部大会で甲子園経験のある釧路江南や武修館を破って、9年ぶりに北海道大会(全道)出場を果たした。全道大会でも勢いは止まらず、3回戦でコールド勝ちを収めるなど、61年ぶりに秋の全道4強入りを果たした。野球部員は、野球日誌を顧問に提出して、それぞれの課題克服や学習面での成績向上につなげている。釧路市からの甲子園出場は39年前の夏の釧路工以来なく、文武両道の模範校の活躍で、地元は大いに盛り上がっている。

古川(東北=宮城)

 明治30(1897)年創立の宮城県北部の伝統校。もとは男子校だったが、13年前、共学になった。野球部も3年後の2021年に創部100年を迎える。夏の選手権では1971年、その年全国準優勝する磐城(福島)に敗れてあと一歩で甲子園出場を逃した。この秋は名門・東北に勝つなどして宮城大会で準優勝。57年ぶりの出場となった東北大会でも秋田1位の秋田修英などを破って4強入りした。平日の練習は2時間程度で、学校生活では「地域への感謝の気持ち」を実践し、地元の人たちから愛されている。東北の選考は、文武両道を貫き、東北大会4強という実績も申し分ない古川が、全会一致で選ばれた。

石岡一(関東・東京=茨城)

 明治43(1910)年創立で、野球部も100年を超える歴史を持つ。一昨年、昨年と春季関東大会に進出するなど、近年、強豪私学ひしめく茨城で健闘している。秋季大会では、準決勝でタイブレーク負けして関東大会出場こそならなかったものの、今春センバツ出場の明秀日立や夏の代表・土浦日大を破る殊勲の星を挙げた。147キロの速球を投げるエースを擁し、戦力的にも充実している。農学校が発祥で、地域に根ざした教育方針から地元で活躍する卒業生も多く、石岡市から初の甲子園を、と地元は盛り上がっている。関東は、今市工(栃木)と石岡一の2校に絞って協議した結果、県大会での強豪撃破などが評価されて石岡一に決まった。

清水桜が丘(東海=静岡)

 甲子園経験のある清水商と県立の庵原を再編して5年前に新設された静岡市立の高校。したがって清水商の甲子園出場実績(春2、夏1)を継承する。秋は静岡大会で準優勝し東海大会に出場したが、初戦で岐阜一に延長でサヨナラ負けした。文科省推奨の主体的・対話的で深い学び=アクティブラーニングを学業と部活動で実践し、実績を残している。選手権全国優勝3回のサッカー部は特に有名で、50人を超えるプロ選手が輩出。サッカー部に追いつき追い越せを合言葉に「全員野球」で粘りが身上だ。東海は、授業も含めた日頃の取り組みが野球にも生かされ、終盤に精神力を発揮して東海大会でも好試合を演じた清水桜が丘が、満場一致で選ばれた。

金津(北信越=福井)

 県の最北端にある温泉街・あわら市は過疎化が進む。あわら市唯一の高校である金津は、昨年に続き北信越の候補になった。昨秋は県で優勝したが、今秋は一般枠選出確実な啓新に勝って準優勝。しかし北信越大会では初戦で完封負けし、上位進出はならなかった。市内の2つの中学校と連携型中高一貫校でもあり、地域への密着度は高い。部員は奇しくも昨年の同時期と同じ22人で、全員があわら市と坂井市の中学出身。グラウンドは他部との共有で、冬場の悪天候などにもめげず、工夫を凝らした練習でハンディを克服してきた。悲願の甲子園出場なるか。北信越は新潟南と金津の2校に絞られ、地域との結びつきや野球人口拡大への地道な取り組みが評価されて僅差で金津になった。

八尾(近畿=大阪)

 明治28(1895)年創立で、野球部は戦前から活躍し、春夏合わせて10回の甲子園出場を誇る。最後の甲子園は昭和34(1959)年夏で、来春、出場が決まれば60年ぶりの大舞台となる。夏の南大阪8強に続いて、バッテリーが残った新チームも大阪大会ベスト16と名門復活の兆し。グラウンドは週3日しか使用できず、午後7時完全下校などの制約がある中、効率のいい練習で力をつけている。強豪私学が上位を独占する大阪にあって、近年、文武両道をめざす中学生が多く入部するようになった。近畿は、八尾と京都すばるの2校に絞られ、文武両道の伝統校であることや高校生らしいチームカラーが評価されて八尾に決まった。

平田(中国=島根)

 一昨年、創立100周年を迎えた伝統校。大合併で所在地が平田市から出雲市平田町になった。旧平田市唯一の高校として地元に愛される。戦後に誕生した野球部の甲子園出場はないが、センバツの補欠校や春季中国大会優勝など先輩たちが実績を残している。秋の島根大会で準優勝し中国大会でも期待されたが、エースの故障がたたって初戦で崇徳(広島)にコールド負けした。「攻めの守備」を掲げ、大胆な守備位置や極端なバントシフトなどで、相手の攻撃を封じるユニークなチームカラーが特徴だ。中国は、米子東(鳥取)と平田の2校に絞って協議したが、甲子園未経験であることや、過疎地での地域との結びつきで平田に決まった。もっとも、米子東は中国大会準優勝で、一般枠選出が確実なため、21世紀枠の候補になる必要がなかった。

富岡西(四国=徳島)

 県南部の阿南市にあって今年で創立122年。野球部も県内で2番目に古い119年の歴史を持つが、甲子園出場はない。秋は徳島大会3位で四国大会に出場し、初戦で高知との乱戦を8-7で制すると、帝京五(愛媛)にも10-6で勝った。準決勝で松山聖陵(愛媛)に競り負けたが四国大会4強の実績と試合内容は候補9校でも随一。四国の候補になるのは、21世紀枠運用初年度となった2001年、08年に続いて3回目。悲願の甲子園へ、多くの卒業生は早くも夢舞台へ思いを馳せている。地域の伝統校が揃って推薦された四国の選考は激戦となったが、何度もあと一歩で甲子園を逃し、過去2回、21世紀枠候補に選ばれている富岡西が、最終的には満場一致で選出された。

熊本西(九州=熊本)

 昭和60(1985)年夏に一度だけ甲子園に出場し、勝利も挙げている。学校創立はその10年前と、今回の候補では一番新しい学校になる。秋の県大会は準優勝で、九州大会初戦で佐賀学園に快勝し8強入りした。次戦でコールド負けしたため一般枠選出は絶望的だが、選手全員が地元中学の部活(軟式)出身で、チームワークがいい。校内には一昨年の熊本地震で被災した生徒もいて、ボランティア活動への意識が高い選手が多い。九州の選考は、熊本西のほか、甲子園で2度の優勝経験のある津久見(大分)、普天間(沖縄)の3校が最後まで残り、この3県の理事長を退席させ、推薦項目を数値化して協議した結果、熊本西が客観的に最も優れているとされた。

北海道3校なるか 富岡西の動向にも注目

 今回は、すでに述べているように早い段階から有力とみられたチームが揃った。まず、神宮枠を勝ち取った北海道は、釧路湖陵が選ばれれば3校になるが、同じことが今年の滋賀であったため、支障はないものと思われる。金津は2年連続の候補であり、一般枠でも選出の可能性を残す富岡西は、3度目の候補になる。特に富岡西は実績も十分で、仮に21世紀枠で選ばれると(時系列では一般枠の前に選考が終わっている)、いわゆる「抱き合わせ枠」が存在する中国・四国の一般選考に影響を与えるかもしれない。いずれにしても、久しぶりにふさわしい学校が多く、いい意味で甲乙つけがたい選考になりそうだ。