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大阪桐蔭は作新学院と  夏の甲子園組み合わせ決まる!

森本栄浩毎日放送アナウンサー
夏の甲子園の組み合わせが決まり、1回戦で大阪桐蔭が作新学院と当たる(筆者撮影)

 5日に開幕する夏の全国高校野球。史上最多の56校が出場し、節目の大会の頂点をめざす。センバツ王者で、2度目の春夏連覇を狙う大阪桐蔭(北大阪)は、一昨年の覇者で春夏連覇の「先輩」でもある作新学院(栃木)と。センバツ準優勝の智弁和歌山は近江(滋賀)との近畿対決など、初戦の相手が決まった。今回は準々決勝までは再抽選がなく、3回戦までの相手が決まった。6つのブロックは8校から1校。2つのブロックは4校から1校が8強へ進む。

星稜、大先輩の松井氏と「共演」

 開幕戦に登場するのは星稜(石川)。OBの松井秀喜氏が始球式を務めることになっていて、願ってもない抽選運となった。林和成監督(43)は、「緊張するかもしれないが、春も経験しているし、楽しんでやれると思う」と松井氏との『共演』を歓迎。相手の藤蔭(大分)は、春夏3度目の甲子園で初勝利を狙う。済美(愛媛)は昨年に続き初日の第2試合に登場。相手の中央学院(西千葉)は、春夏連続出場で、経験値では互角だ。

慶応のエース生井は、センバツでは終盤に逆転3ランを浴びて初戦敗退。変化球に磨きをかけて10年ぶりの勝利を狙う(筆者撮影)
慶応のエース生井は、センバツでは終盤に逆転3ランを浴びて初戦敗退。変化球に磨きをかけて10年ぶりの勝利を狙う(筆者撮影)

第3試合では、慶応義塾(北神奈川)が中越(新潟)と対戦。センバツでは初戦の彦根東(滋賀)との熱戦で惜敗し、打線を強化して激戦区を勝ち上がった。エース生井惇己(3年)は、キレのいい変化球が武器で、チーム打率が4割近い中越打線がどこまで攻略できるか。

大阪桐蔭が作新と激突

 2日目の第1試合は、山梨学院と高知商の顔合わせ。3年連続出場で、3人の投手が役割分担して勝ち上がった山梨学院に対し、高知商は、明徳義塾を抑えたエース北代真二郎(3年)が、高知大会全試合完投の大黒柱という対照的なチームカラーだ。ここまでが最初のブロックになる。

大阪桐蔭の中川主将は、「目標は春夏連覇だが、一戦一戦大事に」と慎重な口ぶりだった(筆者撮影)
大阪桐蔭の中川主将は、「目標は春夏連覇だが、一戦一戦大事に」と慎重な口ぶりだった(筆者撮影)

第2試合は、春夏連覇を狙う大阪桐蔭と一昨年の覇者・作新学院という注目カード。桐蔭の中川卓也主将(3年)は、「ベンチに入らない者も含めて、部員全員の力で勝ちたい」とキッパリ。作新の小針崇宏監督(35)は、「(桐蔭には)いい打者が多いので、守りで踏ん張りたい」と話した。第3試合は北照(南北海道)が初出場の沖学園(南福岡)と。投手を中心に接戦に強いチーム同士で、僅差の好試合になりそう。第4試合も北海道勢で、旭川大高(北北海道)が佐久長聖(長野)と。旭川大高の投手陣が、強打の長聖を抑えられるか。旭川大高も伝統的に打線が強力だ。

智弁和歌山は近江と近畿対決

 3日目の第1試合は県立の商業高校同士。富山大会全試合で二桁得点の高岡商は、昨年の春夏初戦敗退の雪辱を果たしたい。ここまでが2つ目のゾーンになる。第2試合は智弁和歌山と近江。智弁和歌山にとってはやりにくい相手で、特に近江の左腕・林優樹(2年)の緩急に幻惑されると苦戦も。高嶋仁監督(72)は、「一戦一戦、全力を尽くすだけだが、やっぱり大阪桐蔭と当たるまでは負けられへんなあ」と本音も飛び出した。第3試合も好カード。優勝経験のある前橋育英(群馬)が10年ぶりの近大付(南大阪)と。近大付の左腕・大石晨慈(3年)が、強打の前橋育英打線をどこまで抑えられるか。第4試合は益田東(島根)と常葉大菊川(静岡)。益田東のエース和田晃成(3年)が的を絞らせず菊川の強力打線をかわしたい。

金足農に注目右腕

 4日目の第1試合は日南学園(宮崎)と丸亀城西(香川)の対戦から。丸亀城西は、先制して2枚看板の継投で逃げ切りたい。ここまでが3つ目のブロックになる。第2試合は今大会ナンバーワン右腕の吉田輝星(3年)を擁する金足農(秋田)が、試合巧者の鹿児島実と対戦。吉田は、大会後のU18にも選出される可能性があり、大舞台での投球が注目される。第3試合は大垣日大(岐阜)と東海大熊本星翔。大垣日大は昨年も投げたエース修行恵大(3年)に期待。星翔は35年前に逃した甲子園初勝利を狙う。第4試合には夏の連覇を狙う花咲徳栄(北埼玉)が登場し、常連の鳴門(徳島)と。徳栄は、強打の野村佑希(3年)がエースとしてもチームを引っ張る。粘りが本領の鳴門は、離されずに食らいついて、終盤勝負に持ち込みたい。

横浜は強力投手陣

 5日目は強豪が多く登場する。まず、東日本を代表する優勝候補の横浜(南神奈川)が、22年ぶりの愛産大三河(東愛知)の挑戦を受ける。横浜は昨夏も投げた板川佳矢(3年)、及川雅貴(2年)の左腕2枚をはじめ、強力投手陣を誇る。愛産大打線がどこまで攻略できるか。ここまでが4つ目のブロックになる。第2試合は、ともに春夏連続の花巻東(岩手)と下関国際(山口)の好カード。エースで4番の鶴田克樹(3年)がチームを引っ張る下関国際に対し、花巻東は多彩な投手陣と攻撃パターンで、甲子園での試合巧者ぶりが板についてきた。第3試合も好カード。

創成館の川原は今大会注目の左腕。秋は大阪桐蔭を破ったチーム力に上位進出の期待がかかる(筆者撮影)
創成館の川原は今大会注目の左腕。秋は大阪桐蔭を破ったチーム力に上位進出の期待がかかる(筆者撮影)

創志学園(岡山)と創成館(長崎)は高いレベルでまとまる大型チーム同士。創志のエース西純矢(2年)は、岡山決勝で150キロをマークした184センチの大型右腕。創成館は、185センチの左腕の川原陸(3年)ら有力投手が継投するパターンで、戦力は互角だ。創志の長澤宏行監督(65)は、「ウチは投手も調子がいいし、面白い試合ができると思う」と自信を見せた。第4試合は興南(沖縄)と土浦日大(茨城)という2年連続同士。両校とも甲子園経験者が多くいて、興南は下級生も伸びている。

折尾愛真は強打で日大三に挑む

 6日目は3試合。敦賀気比(福井)は木更津総合(東千葉)と対戦。3年連続で打力は近年で一番あるという木更津総合に対し、気比は投手陣に下級生が多く、どこまで粘れるか。ここまでが5つ目のブロックで、最激戦と言える。第2試合には、日大三(西東京)が初出場の折尾愛真(北福岡)と。明野(三重)で4番打者だった奥野博之監督(48)は、「相手はいいチームだが、とにかく攻撃野球をしたい」とブレない姿勢を強調した。第3試合は、羽黒(山形)と奈良大付の一戦。3年前のセンバツで1安打完封負けを喫した奈良大の田中一訓監督(44)は、「冬の練習の成果が出て、たくましくなった」と、奈良大会決勝で強打・天理に打ち勝った打線に期待を込めた。

平安、甲子園100勝なるか

 7日目第1試合では、甲子園通算99勝の龍谷大平安(京都)が、鳥取城北と対戦。平安の松田憲之朗主将(3年)は、「多くのOBや関係者に激励してもらって、期待の大きさを感じる。まずは100勝」と初戦に全力を傾けるつもりだ。第2試合は初めての夏の甲子園となる明石商(西兵庫)と常連の八戸学院光星(青森)の好カード。多彩な投手陣と粘り強い攻撃で兵庫県下無敵の明石商が、チーム打率4割超の光星の強打を封じられるか。「出番が遅いので、しっかり研究したい」と狭間善徳監督(54)は、秘策を練る。ここまでが6つ目のブロックで、近畿勢が上位を狙う。第3試合から2回戦に入り、抽選運はここが一番いい。兵庫勢がまたも登場し、報徳学園(東兵庫)が、聖光学院(福島)と。

聖光のエース衛藤は兵庫出身。初戦の相手が報徳に決まり、気合が入る(筆者撮影)
聖光のエース衛藤は兵庫出身。初戦の相手が報徳に決まり、気合が入る(筆者撮影)

聖光の矢吹栄希主将(3年)は、「出番は遅いが、ゆっくり調整ではなく、一日一日が勝負のつもりで」と強豪相手に気を引き締めた。兵庫勢とよく当たる聖光は、センバツで不調だったエース衛藤慎也(3年)が完全復活し心強い。第4試合は、愛工大名電(西愛知)と白山(三重)の隣県対決に。白山の一丸野球は勢いがあり侮れない。第3、第4試合の勝者は2勝で8強だ。

5年前激戦の浦和学院対仙台育英

 8日めは2回戦の残り2試合。まずは二松学舎大付(東東京)と昨夏準優勝の広陵(広島)の好カード。二松学舎の市原勝人監督(53)は、「(広陵は)投攻守、すべてに鍛えられたチーム」と警戒を緩めない。広陵は、選手層では昨年に迫る。最後の登場は、浦和学院(南埼玉)と仙台育英(宮城)の注目カード。5年前も初戦で当たり、仙台育英が11-10で勝っている。浦和学院の森士監督(54)は、「神の思し召しかな」と苦笑い。蛭間拓哉主将(3年)は、「5年前のすごい試合をみて、浦学に憧れた」と、先輩に雪辱を誓った。この4校はいずれも水準以上だ。第3試合から、各校、2戦目となる。

ブロック別に展望を

 さて、ブロック別にみると、まず、開幕試合からの8校では、星稜が一番手か。ただここは中央学院や慶応など春を経験しているチームも多い。次のブロックは、大阪桐蔭に待ったをかけるチームが現れるか。現状、初戦が難敵と思われる。3つ目のブロックは智弁和歌山が中心だが、初戦に勝っても前橋育英の強打は手ごわい。4番目のブロックは、金足の吉田に注目。ただ、このブロックは横浜のチーム力が抜けている。5番目のブロックは最激戦。特に創志と創成館の1回戦がポイントで、どこが勝ち抜けるか楽しみだ。6番目のブロックは、日大三と平安の8強争いか。ここは明石商がダークホースだ。7番目の4校ブロックは、投打にまとまる聖光が8強最短か。最後のブロックは、どこが勝ち残っても不思議ではない。中でも投手層の厚い浦学が勝ち残った場合は、さらに上位も期待できる。

宣誓は近江の中尾主将に

 選手宣誓は、17人の希望者から近江の中尾雄斗主将(3年)に決まった。「まさか、と思った。100回なので光栄だし堂々とやりたい。(文言は)皆で相談して決めたい」と笑顔が絶えなかった。滋賀の主将が宣誓するのは夏の大会では初めてとなる。

笑顔を絶やさない近江の中尾主将。「びっくりした」と言いながらも楽しみで仕方がない様子だった(筆者撮影)
笑顔を絶やさない近江の中尾主将。「びっくりした」と言いながらも楽しみで仕方がない様子だった(筆者撮影)

同地区対戦は再考を

 今大会では、愛工大名電と白山の隣県対決と、智弁和歌山と近江の2カードが同地区同士の対戦となった。夏の大会は春と違って「限定フリー」抽選だ。記念大会である今大会は、2校出場が8地区あって、これらは初戦で対戦しないよう配慮する。同県対決はダメだが、愛知と三重の対戦はOKというのが、「限定」と断った理由だ。同県対戦がOKでなければ「完全フリー」とは言えない。近江の多賀章仁監督(58)は、「10年前も奈良の智弁と当たった」と言うように、滋賀の代表はこれで5回も近畿勢と初戦で当たっている。同地区の試合は甲子園でなくてもできるので、春のように「甲子園でこそ見たいカード」を実現するのも、主催者の役目ではないか。そろそろこの「限定フリー抽選」は見直していただきたい。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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