中国安徽省の大学で、セクハラ被害を受けた女子学生が教員を告発、証拠として教員と交わしたチャットの内容を公開した。この件はネットで炎上し、大学が調査に乗り出す結果となった。学生が公開した内容を追うと、性的な内容を暗示するチャットに対し、はぐらかしながら返事をするなどしながらも、権威をもつ教員を前に、学生が徐々に追い込まれていった実態が分かる。

女子学生が教師とのセクハラチャット?を公開

 経緯を報じた中国メディアによれば、被害を訴えたのは安徽農業大学の動物科学技術学院の女子学生。告発状の日付によれば2021年7月10日、この女子学生は同学院の43歳の副院長によるセクハラの実態などを、安徽省の教育庁に通報した。副院長は、同学院の共産党委員会の副書記でもあるという。当時、学生は副院長のオフィスの助手も務めていた。告発の内容はSNS上でも明かされた。

 女子学生はチャットアプリ「ウエイシン」上で副院長と交わした会話のスクリーンショットを公開。告発状の中では、チャットの過程で、彼女が何を考えながら対応したかも吐露している。

深夜のチャットで「豊満だ」

 ある日、午前0時過ぎに、副院長はチャットで「何をしている」というメッセージを絵文字のスタンプとともに送ってきた。

 彼女は、先生に対し応じないわけにはいかない、と考えてこう返信した。

「先生まだ寝ていないのですね、又徹夜ですね」

 すると副院長は再び「何をしている」と尋ねてきた。

 彼女は当たり障りのない話をして、早々にチャットを切り上げようと思った。

「ティックトック(動画サービス)を見ていました。ちょっと見ようと思ったのに、12時になっていました」

 すると副院長は、こんなことを言ってきた。

「私も見たいな。でもティックトックじゃなくて、君を」

 彼女は、副院長のメッセージを変だとは思いながらも、邪推をしてはいけないとも思い、ただ「アハハ」と笑顔のスタンプを送り返して、気まずさをごまかした。

 副院長は、更に「正月の写真を何枚か送って」と要求してきた。

 今度は明らかにおかしいと思ったが、先生からのメッセージを見て見ぬフリをする勇気はなかった。そこで、「写真は撮っていません」と返した上で、「何キロも太ってしまったから」と言い訳をつけた。

 それに対し副院長は、「太っている方がいい。豊満だ」と返してきた。

セクハラを告発された43歳の副院長(安徽農業大学のHPより)
セクハラを告発された43歳の副院長(安徽農業大学のHPより)

女子学生に「写真を送って」

 彼女はなんとかこの会話の状況から脱したいと思い、副院長が酒に酔っていたということにして、チャットを終わらせようと考えた。話をそう誘導しようと画策した。

「先生、もうご飯は食べましたか」

 そして「今日は酔っているんじゃないですか、早く寝て下さい」と続けようとした。

 だがその前に、副院長から「まだだ」と返信が来て、さらにこう続いた。

「しばらく会っていない、君に会いたい」

「写真を送って見せてよ」

 完全に変な雰囲気になっていると女子学生にも分かった。

 だが彼女は副院長のオフィスの助手としての今後の仕事もあるし、要求を拒み続けて先生を怒らせたくないと思った。再三考えた挙句、3人の学友と遊びに行って一緒に撮った写真を送った。

 しかし副院長は、それでは不満だった。彼女1人で映った写真を送るようしつこく要求した。

  女子学生は、「今は太りすぎです」などと婉曲に拒んだが、副院長は「太った君が好きだ」などと引き下がらなかった。

「開放的か?性の方面では」

 別の日のチャットでは、副院長はこの学生の友人である他の女子学生について尋ねてきた。

「考え方は開放的か?例えば性の方面では」

 女子学生はこれに対し、副院長の邪な考えを打ち消そうと思い、こう答えた。

「彼女は結構おしゃれだけど、男っぽいです。性格は、ざっくばらんで、保守的です」

 副院長は「見せかけかもしれない」などと返し、「自分と君との間の話は、クラスの誰にも言ってはいけない」と口止めしてきた。

 更に「彼女の写真はあるか、知っておきたい」などと要求したともいう。

 女子学生は、こうしたチャット以外にも、副院長から面と向かってボーイフレンドがいるか尋ねられたり、電話を受けたところ「別に用事はない。ただ君に会いたい」などと告げられたりしていたという。

告発を受け安徽農業大学が調査を開始(写真は同大のHPより)
告発を受け安徽農業大学が調査を開始(写真は同大のHPより)

学生の勇気が大学を動かした

 彼女の告発は、自身が受けたセクハラ以外に、副院長の普段の学内での言動について風紀上の問題も指摘した。

 大学側は事態を重く見て「教師のモラルと風紀の向上を重視し、紀律違反は容認しない」と表明し、調査を始めたと発表した。

 女子学生は身体を触られるなどの被害を受けたわけではなかったようだが、大学は、会話やチャットの内容など言葉だけも十分にセクハラに相当する疑いがあると判断したのだろう。中国では珍しい例となった。

 それを生んだのは、たった一人の女性学生の勇気だった。