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来年は福袋買えないかも? コロナで販売形態が様変わり、百貨店で完売続出

宮田理江ファッションジャーナリスト/ファッションディレクター
コロナで2021年福袋はどうなる!?(写真:ロイター/アフロ)

年明けの風物詩「福袋」が様変わりしそうです。背景にあるのは、やはり新型コロナウイルスの感染対策。濃厚接触を避ける狙いから、百貨店ではネット予約が基本になり、例年の行列風景は過去のものに。一方、中身の主役は服から食べ物へ。ファッションに関しては、どのようなものが入っているのでしょうか?主な動きを先取りチェックしてみました。

福袋は年明けから始まる初売りの目玉商品的な位置づけでしたが、この冬は景色が一変。百貨店やファッションビル各社は年始を待たず、福袋の予約販売を始めています。一斉発売で行列や密集を招かないように売り方を工夫。「分散」を心がけています。

既に「完売」福袋も続々と出てきているので、「福袋は年明けからでいいや」は、今年は通用しないようです。今からでも間に合う!知っておきたい2021年度版福袋の情報をお伝えします。

出かけなくて済む、オンラインでの注文にシフト

三越伊勢丹は「三越伊勢丹オンラインストア」で福袋を売り出し済み。自宅に届くので、リアル店舗で受け取る必要はありません。

「1月2、3日の店頭販売はございません」と宣言したのは高島屋。店頭とオンラインストアでの予約は受付が始まっています。年内に受け取れる福袋も用意されました。

高島屋の広報担当者は「数年前にあった、歴史的な大雪の際、福袋を求めて大行列が起きました。今回は感染症対策で『3密』を避けるために福袋の販売方法を見直しました」と説明しています。

店頭での福袋販売を、12月26日から始めるのは、そごう・西武の各店舗です。売り出しタイミングを年内に前倒しして、店頭の混雑をやわらげる狙いがあるようです。ショッピングサイト「e.デパート」でも福袋を販売しています。こちらは、新年には購入できず、2020年12月16日で終了するという異例の取り組み。

丸井やパルコといったファッションビルも、福袋の取り扱いはネット販売にシフト。パルコは2020年11月18日~21年1月11日と2カ月近い、異例に長い販売期間を用意しました。ルミネとニュウマンでは福袋の予約・販売は年内だけ。各社とも店舗での集客分散に取り組んでいます。

かつては福袋の中身にアパレル商品が多く盛り込まれていました。でも、今では食品や雑貨の比重がアップ。好みの品を残して、残りを交換する即時交換イベントもこの冬は行列の消滅とともに、姿を消しそうです。

「中身が見える福袋」が進化 無駄を減らすサステナやエコの流れ

家で過ごす時間が長くなったことを受けて、福袋の中身にも、ワンマイルウエアや調理道具、インテリアなどの「おうちアイテム」が増えています。外食を避けて、おいしい「イエナカ食」を楽しめるよう、高級食材を使った食べ物の品ぞろえが例年以上に厚くなったのも、この冬ならではの変化です。

かつてのファッション福袋は商品点数や袋サイズで「お得感」を強調するタイプが目に付きました。ただ、袋を開けてみたら、あまり欲しくない品が混じっていることも。そういう不満を受けて、近年は「中身が見える福袋」が一般的に。欲しくない物が入っていたら、無駄になってしまうという、サステナビリティーやエコの意識が背景にあるようです。

キーワードは、「ユニセックス」「ワンマイル」「オンライン映え」「withマスク」

2021年の中身を見ると、長引く「おうちライフ」に役立つような、ニューノーマル向きの商品がセレクトされている傾向があります。物をたくさん作りすぎない、無駄に買わないという流れもあり、出品する側はより買う側の生活に寄り添ったアイテムを提案しているのがわかります。

ファッション福袋のトレンドキーワードとしては「ユニセックス」「ワンマイル」「オンライン映え」「withマスク」などが浮上しています。

たとえば、PARCOオンラインの「Lee(リー)福袋」では「大人(ユニセックス)」をテーマに掲げ、男女兼用で使えるアウター、スウェット、Tシャツ2点、ショルダーバッグの5点セットを提案。

松屋銀座オンラインでは、「ワンマイルウェア福袋」と銘打って、家でのリラックスタイムとちょっとしたお出かけの両方に対応しやすいアウター、スウェットセットアップ、ニット帽、Tシャツの4点セットを販売。

イトーヨーカドーGALLORIAオンラインでは、「顔映えコーデ」を掲げて、カーディガン・ブラウス・カットソー・スカートの4点セットを提案。

大丸松坂屋オンラインでは、「withマスク生活」に対応できる、「リバティプリント・ブラウス&同柄立体マスクセットのお仕立券」を販売。

売り方や中身が変わったとはいえ、やはり福袋はお正月気分を味わえる、年末年始の特別なお買い物。中身が見えるようになったうえ、買う側が共感しやすい品ぞろえになった分、さらに納得感がアップ。家で過ごす時間が長くなってきたこともあり、リラックスできたり、気持ちを盛り上げたりするようなアイテムは多くの人が共感できるでしょう。

混雑を避けて買いやすくなったのは、買う側にとってもメリットが大きいから、この冬は各店の福袋をオンラインで見比べて、お目当ての福袋を探してみると発見があるかもしれません。

(※今回の記事で取り上げた商品の中には既に売り切れになった可能性のあるケースが含まれています。)

(関連サイト)

三越伊勢丹 2021年福袋

高島屋 2021年福袋

そごう・西武 2021年福袋

丸井 2021年福袋

パルコ 2021年福袋

ルミネ/ニュウマン 2021年福袋

ファッションジャーナリスト/ファッションディレクター

多彩なメディアでコレクショントレンド情報をはじめ、着こなし解説、スタイリング指南などを幅広く発信。複数のファッションブランドの販売員としてキャリアを積み、バイヤー、プレスも経験。自らのテレビ通販ブランドもプロデュース。2014年から「毎日ファッション大賞」推薦委員を経て、22年から同選考委員に。著書に『おしゃれの近道』(学研パブリッシング)ほか。野菜好きが高じて野菜ソムリエ資格を取得。

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