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多国籍バンド・ALI、遠くサウジで「呪術廻戦」のテーマ熱唱 「国籍も肌の色も関係ない」

南龍太記者
サウジアラビアでコンサートを開いたALI

「多国籍バンド」として活動するALI。人気アニメ「呪術廻戦」のテーマ曲を手掛け、一躍有名となった。その後、メンバーの脱退など紆余曲折を経て現在は3人で活動している。

その人気は日本にとどまらず、海外にもファンは多い。このたび6月に、遠く中東のサウジアラビアで初のコンサートを開催、大勢のファンを魅了した。

多様なバックグラウンドのメンバーから成るアーティストの活躍は、同一性が高いと言われる日本社会が変容しつつあることを、物語ってもいる。

Alien Liberty International

ALIの由来は、プロボクサー、モハメド・アリの命日、2016年6月3日にバンドを結成したことに由来する。Alien Liberty Internationalの頭文字の略称でもある。

「Alien」=「異国の人」が示すように、メンバー全員が外国に何らかのルーツを持つ。渋谷発の「多国籍バンド」と謳っている。

多様なバックグラウンドを踏まえ、「FUNK、SOUL、JAZZ、LATINなどのルーツミュージックをベースにHIPHOP、ROCK、SKAなどをミックスしたクロスオーバーな音楽性」を発揮する。

「呪術廻戦」でブレイク

2020年11月のメジャーデビューの曲『LOST IN PARADISE feat. AKLO』が人気アニメ「呪術廻戦」のエンディングテーマとなり、一気に人気バンドの仲間入りを果たした。ただ、その後メンバーの不祥事に伴い活動休止に入る。

結成当時のALIは7人組だったが、メンバーの脱退やその後の活動再開を経て、現在は3人となっている。

ボーカルのLEO(今村怜央)のバックグラウンドはスペイン、イギリス、日本でALIのリーダー。ギターのCÉSARは日本とブラジル、ベースのLUTHFIはインドネシアとオランダにルーツを持つ。

大盛況の初コンサート

サウジアラビアで初となるALIのコンサートが開かれたのは6月。『LOST IN PARADISE』や『No Tomorrow (Give It Up)』など数曲を披露し、会場を沸かせた。

LEOはアラビア語で「私たちは日本から来ました。伝えたいことはとてもシンプルです。ただ一緒にこの時間を楽しむことに集中できれば、国籍も肌の色も音楽のジャンルも関係ない。愛しています」と話した。

観客の多くは「呪術廻戦」のアニメを通じてALIを知っていた。訪れたタスニーム・バンジャールさん(26)は「興奮で気絶しそう。心臓がバクバクして最高の気分でした」と満足げだった。

バンドは最後にファンに向かって一礼、コンサートは盛会のうちに終わった。

コンサートに聴き入るサウジの観客ら
コンサートに聴き入るサウジの観客ら

(写真はいずれもArab News Japan提供)

取材協力:Arab News Japan

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記者

執筆テーマはAI・ICT、5G-6G(7G & beyond)、移民・外国人、エネルギー。 未来を探究する学問"未来学"(Futures Studies)の国際NGO世界未来学連盟(WFSF)日本支部創設、現在電気通信大学大学院情報理工学研究科で2050年以降の世界について研究。東京外国語大学ペルシア語学科卒、元共同通信記者。 主著『生成AIの常識』(ソシム)、『エネルギー業界大研究』、『電子部品業界大研究』、『AI・5G・IC業界大研究』(産学社)、訳書『Futures Thinking Playbook』。新潟出身。ryuta373rm[at]yahoo.co.jp

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