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新型コロナウイルス、米国で売れた物トップ100 分かれた明暗、4月以降より鮮明に

南龍太記者
新型コロナの感染拡大後に売れた商品ランキング、Stacklineのデータを加工

 新型コロナウイルスによる産業への影響がいっそう鮮明になってきた。企業の四半期決算では「過去最大の赤字」などの言葉が相次ぎ、深刻な状況だとあらためて認識されている。

 そうした傾向を数値で示す米国内の最新データを紹介するとともに、前回の記事で載せきれなかった、今春の米オンライン市場の売れ筋トップ100を列記した。5カ月前のデータではあるものの、先行きを占ううえで今振り返る価値のあるランキングに見える。

トップ100、外出自粛の影響大

 前回記事「新型コロナ、売れた物と売れなくなった物 日米比較、必需品マスクはなぜランク外?」で触れた米Stacklineによる2020年3月のオンライン販売の調査結果のうち、51~100位を下表の通り列記した。

筆者作成
筆者作成
Stacklineのデータを加工
Stacklineのデータを加工

 家に居る時間が長くなっていることを反映し、53位「ネコ用トイレ」(前年同月比125%増)や87位「鳥の餌」(同91%増)などペット関連商品が伸びたほか、74位「オフィスチェア」(同104%増)や95位「オフィスデスク」(同89%増)などが「在宅勤務以降による需要増のため」(Stackline)に売り上げ増となった。

 63位に「ヘアカラー」が入っている理由として、Stacklineは「理美容室に行けないため、代わりに自分たちで髪を染める人が増えている」と分析した。

  一方、売れなくなった品目トップ100についても、社会情勢を踏まえて説明が加えられている。

Stacklineのデータを加工
Stacklineのデータを加工

 15位の「イベント・パーティーグッズ」は、

誕生パーティーや卒業式、その他大規模イベントがなくなったため

前年同月比55%減となり、パリピ多き米国ならではの結果を示した。

 26位の「自動車用マット」は

全米で外出禁止令が出されて、時々の食料品店への移動を除き車を使う機会が減ったため

同50%減となった。その他にも58位「キャンプ用品」や84位「ゴルフクラブ」、96位「クーラーボックス」など、外出自粛が響いていずれも30%台の減少となった。

 69位の「教室の家具」は「学校の閉鎖とオンライン授業移行」に伴い35%の減少だった。米国は9月から新学期が始まる。感染予防を徹底しつつ、学校に通える子どもが増えることを願う。

4月以降に明暗くっきり

 以上の調査は3月を対象としていたが、新型コロナウイルスによる販売への影響は、4月以降により鮮明となった。

 ドイツが拠点のStatista(スタティスタ)は7月に公表したパンデミック(大流行)に伴う米国の販売動向調査(Monthly year-over-year sales growth due to the coronavirus (COVID-19) outbreak in the United States from January to June 2020, by retail industry)で、7分野(「Eコマースプラットフォーム」、「家庭」、「趣味・玩具・スポーツ用品」、「一般商品・食料品」、「レストラン」、「アパレル・百貨店」、「レジャー・旅行」)の1~6月各月の前年同月比の消費動向を追った。

Statistaのサイトより、青が「Eコマース」、黒が「家庭」、灰色が「趣味・スポーツ」、赤が「一般商品・食料品」、黄緑が「レストラン」、黄色が「アパレル・百貨店」、紫が「レジャー・旅行」
Statistaのサイトより、青が「Eコマース」、黒が「家庭」、灰色が「趣味・スポーツ」、赤が「一般商品・食料品」、黄緑が「レストラン」、黄色が「アパレル・百貨店」、紫が「レジャー・旅行」

 米国での新型コロナウイルスの影響がまだ軽微だった1、2両月はいずれの分野もプラス成長だったが、3月に入ると一転、明暗が分かれる結果となった。すなわち、「レジャー・旅行」、「アパレル・百貨店」への影響は深刻で、3月にそれぞれ53%、38%のマイナスとなり、4月には86%、53%と大幅な減少となった。5月、6月は徐々にマイナス幅は縮小してきているが、依然厳しい環境に変わりはない。

 一方で、オンライン販売の利用増を背景に「Eコマースプラットフォーム」分野は堅調で4、5両月は60%超のプラス成長を記録した。在宅時間の長期化を背景に「家庭」分野も伸びている。

* * * * *

 この傾向は7月以降どういった推移をたどるだろうか。日本はどうだろうか。8月になった。依然不透明な情勢が続く。

記者

執筆テーマはAI・ICT、5G-6G(7G &-)、移民・外国人、エネルギー。 未来を探究する学問"未来学"(Futures Studies)の国際NGO世界未来学連盟(WFSF)日本支部創設、現在電気通信大学大学院情報理工学研究科で2050年以降の世界について研究。東京外国語大学ペルシア語学科卒、元共同通信記者。 主著『生成AIの常識』(ソシム)、今秋刊行予定『未来学入門(仮)』、『エネルギー業界大研究』、『電子部品業界大研究』、『AI・5G・IC業界大研究』(産学社)、訳書『Futures Thinking Playbook』。新潟出身。ryuta373rm[at]yahoo.co.jp

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