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ニューヨークでも中村哲さん追悼 モスクや団体、悲しみ消えず

南龍太記者
(写真:ロイター/アフロ)

 アフガニスタンのために力を尽くしてきた中村哲医師が襲撃されて亡くなった事件から明日で1週間。悲しむ声は消えない。

 米国有数のアフガン人コミュニティーがあるニューヨークでは、アフガンの政府や団体が哀悼の意を表し、モスク(イスラム教礼拝所)には祈りを捧げるイスラム教徒が集まる。10日には総領事館で悼む行事が開かれる予定だ。

 

2万人が暮らすNY

 ニューヨークには約2万人のアフガン人が暮らしている。2001年の米同時多発テロ後、アフガンの紛争から逃れてきた多くの難民の受け皿となってきた。18年度には56人を受け入れたとされる。

 アフガンの料理店や食料品店が点在し、特にニューヨーク市の東部、クイーンズ区フラッシングとその周辺は、多くのアフガン人が住む地区の1つとなっている。

SNSで反応

 2001年にできた、アフガニスタンの女性を支援する世界最大規模という組織「ウィメン・フォー・アフガン・ウィメン」(WOMEN FOR AFGHAN WOMEN; WAW)もそこに本部を置く。

 中村さんが亡くなった事件を伝える、ニューヨーク・タイムズ紙の記事を引用する形で

中村哲医師のスタッフと家族に衷心より哀悼の意を表します

といった内容を5日、ツイッターに投稿した。

 WAWは同様にフェイスブックにも投稿し、読んだ人から「アフガニスタンの人々を助けてくれてありがとう」といったコメントが寄せられた。

 

モスクで祈り、総領事館でも追悼

 同じフラッシング地区にあるイスラム教の礼拝所「アブー・バクルモスク」(Masjid Hazrati Abu Bakr Siddique)でも中村さんに祈りが捧げられる。毎週金曜日にある「ジュマ」(Jumma)と呼ばれる集団礼拝で追悼する。

アブー・バクルモスク(2019年2月、筆者撮影)
アブー・バクルモスク(2019年2月、筆者撮影)

 このモスクは、移り住んできたアフガン人らによって1986年に建てられ、コミュニティーの中心となってきた。

 モスクに日本語を話せるスタッフはいないようだが、電話取材に応じた担当者は、中村さんの名前を出すと「おお、ナカムラ…」と存在をよく知っているようだった。同じクイーンズ区にあるアフガニスタン総領事館で行われる中村さんの追悼行事に参加するという。

 行事は10日午後3時(現地時間)から予定されている。

* * *

アフガニスタンの復興に尽力してきた中村哲医師。国、宗教、言語を超え、人望と尊敬を集めていました。

謹んでお悔やみ申し上げます。

記者

執筆テーマはAI・ICT、5G-6G(7G & beyond)、移民・外国人、エネルギー。 未来を探究する学問"未来学"(Futures Studies)の国際NGO世界未来学連盟(WFSF)日本支部創設、現在電気通信大学大学院情報理工学研究科で2050年以降の世界について研究。東京外国語大学ペルシア語学科卒、元共同通信記者。 主著『生成AIの常識』(ソシム)、『エネルギー業界大研究』、『電子部品業界大研究』、『AI・5G・IC業界大研究』(産学社)、訳書『Futures Thinking Playbook』。新潟出身。ryuta373rm[at]yahoo.co.jp

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