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海外サイトで東京五輪のチケット転売? 定価の100倍、200万円近い高値も

南龍太記者
チケットの無断転売禁止を伝える五輪組織委のページ

 開幕まで8カ月余りに迫った東京五輪。マラソンの開催地変更など混乱も見られる中、海外の電子商取引(EC)大手イーベイ(ebay)による世界最大の出品・オークションサイトで、観戦チケットの転売とみられる出品が相次いでいることが明らかになった。多岐にわたる競技のチケットを扱っているとされ、定価の100倍以上、円換算で200万円近いものもある。ただ、主催者側は「非公式チャネルで購入されたチケットでは、会場にご入場いただけません」として転売を原則認めておらず、ebayの出品者との間で見解に相違がありそうだ。

 入手困難となっているチケットだが、オークションサイトなどで望ましい商品を見つけたとしても一呼吸置き、それが有効なものかどうか慎重になった方がよいだろう。

開会式チケットは1万7999ドルから

チケットらしき商品が多数(ebayのサイトより)
チケットらしき商品が多数(ebayのサイトより)

 ebayのサイトで、「olympic 2020 ticket」などと検索をかけると、チケットを扱っているような出品内容が複数ヒットする。柔道や空手、バスケットにラグビーと多種多様な競技のチケットとうたう品々が1枚数百ドルから売られ、千ドルを超えるものもざらにある(11月9日現在)。

 中でも開会式のチケットとされる商品は「Eカテゴリーかそれ以上」で、応札額は1万7999ドル(約194万円)からと高く設定されている。公式チケットは席の位置などによってA~Eのカテゴリーに分けられており、本来の公式価格は開会式ならAが30万円、Cは10万7000円、Eは1万2000円といった具合だ。

 Ebayでの取引のページには、チケットのカテゴリーや郵送方法、試合日時などが書かれている。

開会式のチケットとされる出品内容(ebayのサイトより)
開会式のチケットとされる出品内容(ebayのサイトより)

無断転売禁止

 「東京2020観戦チケットの転売は禁止されています」

 これは、東京2020大会組織委員会のウェブサイトにある「チケットのルール」の冒頭、赤字で大書された「無断転売禁止」という言葉と共に掲げられている。

組織委「チケットのルール」(左)と公式販売サイトの画面
組織委「チケットのルール」(左)と公式販売サイトの画面

 そのページでは、

  • 購入いただいた東京2020観戦チケットをオークションサイト等で転売することは、禁止されています(2020年春以降開始予定の公式リセールサービスを除く)。
  • オークションサイト等に出品されたチケットは、全て無効化され、そのようなチケットでは会場に入場できませんのでご注意ください。
  • オークションサイトなどの非公式チャネルには、無効なチケットや偽チケットが出品される恐れがあります。

と留意事項が列挙されている。

 また、「メルカリ」「ヤフオク!」「ラクマ」といったサイトでの観戦チケット出品を禁じている旨も明記。「インターネットでのチケット転売に関するトラブルが増加しています!」と国民生活センターの呼び掛けを紹介しながら、注意を促している。今のところebayなど海外のサイトについては特に記載がないが、「東京2020観戦チケットを出品禁止とするサービスは、今後も増える可能性があります」としている。

 このebayでの出品について組織委の「東京2020チケットカスタマーセンター」に問い合わせたところ、「チケットのルール」の内容に沿った回答を得た。すなわち、オークションサイトなどの「非公式チャネル」で購入したチケットでは会場に入れない、との趣旨だった。

 また、日本では6月に施行された「チケット不正転売禁止法」により、チケットの高額転売が禁止されている。

出品者は有効性を主張

 上記を踏まえれば、ebayで取引されているチケットらしき商品は無効となる恐れがある。

 しかしebayの複数の出品者へチケットについて尋ねると、返答では過去の五輪で同様に販売してきた実績などを示しながら、チケットの正当性を主張していた。

 ある出品者は「チケットは100%合法です」、「公式の再販業者から仕入れているので、100%本物です」と説明し、また別の出品者は「11年間にわたってチケットを販売しており、2010年のバンクーバー冬季五輪でも販売して(購入者からの)フィードバックは完璧でした」という。

必要に応じて問い合わせを

 出品をめぐる認識が当事者の間で食い違っているようにも見受けられる。

 分からないことがあれば、チケットに関する組織委の問い合わせ窓口(下記)などで入念に確認した方がよさそうだ。

(※ チケットの購入に当たっては責任を負いかねます)

◎ウェブフォームでの問い合わせ

https://ticket-contact.tokyo2020.org/index.php

◎電話での問い合わせ

「東京2020 チケットカスタマーセンター」

電話番号:0570-00-2020(有料・ナビダイヤル)

受付時間:9:00~18:00(土・日・祝日を除く)

(特に注記のない画像は筆者撮影)

記者

執筆テーマはAI・ICT、5G-6G(7G & beyond)、移民・外国人、エネルギー。 未来を探究する学問"未来学"(Futures Studies)の国際NGO世界未来学連盟(WFSF)日本支部創設、現在電気通信大学大学院情報理工学研究科で2050年以降の世界について研究。東京外国語大学ペルシア語学科卒、元共同通信記者。 主著『生成AIの常識』(ソシム)、『エネルギー業界大研究』、『電子部品業界大研究』、『AI・5G・IC業界大研究』(産学社)、訳書『Futures Thinking Playbook』。新潟出身。ryuta373rm[at]yahoo.co.jp

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