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自然災害と大規模停電 過去の事例を読み解く

南龍太記者
(写真:ロイター/アフロ)

 関東を直撃した台風15号、各地に大きな被害をもたらし、千葉県では今も5万戸近くが停電している。

 昨年来大規模な停電が相次いでいることを踏まえ、課題や展望をまとめた記事がニューズウィーク日本版で公開された。関連し、平成以降の主な自然災害と停電のファクトを以下に列記した(各社、各省庁の資料による。数値は概数)。

相次ぐ激甚災害

■2018年

〇台風24号

9~10月

中部電力

 ・停電戸数:延べ119万

 「平成以降で最大規模」

〇台風21号

9月

関西電力

 ・停電戸数:延べ220万

 「阪神・淡路大震災に次ぐ規模」

出典:台風21号対応検証委員会報告の取り組み状況について
出典:台風21号対応検証委員会報告の取り組み状況について

〇北海道胆振東部地震

9月

北海道電力

 ・停電戸数:295万

 「日本初となるエリア全域に及ぶ大規模停電(ブラックアウト)」

出典:北海道胆振東部地震対応検証委員会 最終報告(概要版)
出典:北海道胆振東部地震対応検証委員会 最終報告(概要版)

■2011年3月

〇東日本大震災

電柱(電力)の倒壊:2万8000本

東京電力

 ・停電戸数:405万

出典:東北地方太平洋沖地震に伴う電気設備の停電復旧記録
出典:東北地方太平洋沖地震に伴う電気設備の停電復旧記録

東北電力

 ・停電戸数:466万

出典:3月11日の地震により東北電力で発生した広域停電の概要
出典:3月11日の地震により東北電力で発生した広域停電の概要

■1995年1月

〇阪神・淡路大震災

・電柱の倒壊:8000本超

関西電力

 ・停電戸数:260万

出典:阪神・淡路大震災復旧記録
出典:阪神・淡路大震災復旧記録

1980年代に大規模停電も

 過去には、台風や地震ではなく、猛暑により大規模停電に陥ったこともある。1987年7月23日、東京都内が40度近い猛暑に見舞われ、エアコンを使う需要が一気に高まったことから電圧が低下し、東電管内の約280万戸が停電した。

 当時の通商産業省は、電気事業に関する規則に基づく「重大事故」に指定、原因や再発防止策をまとめた報告書の提出を東電に求めた。東電は翌8月、23ページにわたる最終事故報告書をまとめ、「世界にも例のない電圧の不安定現象が原因」と結論付けた。

記者

執筆テーマはAI・ICT、5G-6G(7G & beyond)、移民・外国人、エネルギー。 未来を探究する学問"未来学"(Futures Studies)の国際NGO世界未来学連盟(WFSF)日本支部創設、現在電気通信大学大学院情報理工学研究科で2050年以降の世界について研究。東京外国語大学ペルシア語学科卒、元共同通信記者。 主著『生成AIの常識』(ソシム)、『エネルギー業界大研究』、『電子部品業界大研究』、『AI・5G・IC業界大研究』(産学社)、訳書『Futures Thinking Playbook』。新潟出身。ryuta373rm[at]yahoo.co.jp

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