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2022年、健康的に減量するために知っておきたいポイントとは?

松崎恵理一般社団法人日本栄養検定協会代表理事、博士(栄養学)・料理家
(写真:milatas/イメージマート)

2022年早々、新型コロナウイルスの感染者数が急増しています。

昨年に引き続き、「健康」の大切さを実感している方も多いのではないでしょうか。

一方、年末年始の食べ過ぎが尾を引いて、増えた体重をなんとかしたいという方もいらっしゃると思います。減量しようと無理なダイエットや食事制限をすると、栄養のバランスが崩れて不健康な痩せ方になってしまいがちです。体重を減らすことができても、疲れやすくなったり、元気がでない、ということにならないように、健康的に減量するために知っておきたいポイントを解説いたします。

■早く痩せようと思って食べないのは逆効果

私たちの体重は、消費するカロリーと食べたり飲んだりする摂取カロリーの差によって動きます。ですが、からだには、さまざまな調節機能が備わっているため、摂取カロリーを減らせば減らしただけどんどん痩せるかというと、そんなに単純には減りません。

なんとか痩せるぞ!と気合を入れると、つい食べる量を極端に減らすことに目がいきがちですが、以下の理由によりおすすめしません。

・必要な栄養素がとれないことで、からだのさまざまな代謝機能が落ち、痩せにくいからだになってしまう。

・食事を極端に減らすと、すぐお腹がすいてしまい、ちょっとだけ。。。と間食をしてしまい、結局、摂取カロリーが減らない、または逆に増えてしまう

・単純に食べる量を減らすと、食物繊維の不足などにより腸内環境が悪化したり、消化する量が減ることで便秘になりがち。

・食べる量が減ることで、必要な水分量を摂取できなくなりがち。

いずれも、痩せずらいからだを作り出してしまうことにつながります。

食事量を極端に減らしたとしても、通勤や通学経路などにスーパー、コンビニ、飲食店などがあり、食べ物や飲み物を簡単に入手できる環境では、お腹がすいたらついつい何かを飲んだり、食べたりしてしまいます。

仮に強い精神力で食べる量をぐんと減らした場合、体重を減らすことはできますが、一緒に筋肉量や骨量も減ってしまい不健康な痩せ方になってしまうと考えられるのです。

写真:イメージマート

■必要な栄養素はしっかりとる

健康的にやせるために必要なことは、カロリーを減らしつつ、必要な栄養素はしっかりとれる食事をすることです。たんぱく質、ビタミン、ミネラルをしっかりとり、控えめな量の糖質と脂質をとることで代謝の低下を防ぎ、筋肉量や骨量を維持できるようになります。

この時に重要なことは、カロリーを減らすために糖質オフにしたり脂質を極端に減らさない、あくまでも「控えめ」にする、ということです。なぜなら糖質も脂質もヒトの体にとっては必要な栄養素だからです。

特に糖質は、ヒトの細胞のメインエネルギーとなるため、糖質オフ(糖質を限りなくゼロにする)は、非常に辛く、続かなかったり、反動で極端に食べてしまったりすることになりがちです。また、糖質は炭水化物に含まれている量が多いため、糖質を食べないようにすると、食物繊維の摂取量も減ってしまいがちです。

糖質と脂質は、長く続けられる程度に「控えめ」に食べることが大切です。(以下のイメージ図参照)

栄養素バランスのイメージ図。筆者作成。
栄養素バランスのイメージ図。筆者作成。

■どんな食べ方をすればよいのか。

では、具体的にどんな食べ方をすればよいのでしょうか。

おすすめは、①ごはんの量を8割程度に減らす、②野菜をたっぷりとる、③乾物、きのこ、海藻を日々の食事にとりれる、④主菜は普通の量を食べてたんぱく質をしっかりとる、⑤油の少ない料理を選ぶ、です。

ごはんの量を極端に減らすと、食事の満足感が得られにくくなり間食などにつながりがちです。そのため8割程度の量に減らし、その分、野菜をたっぷりとるようにします。汁物でもよいですし、電子レンジで加熱したものに、塩こんぶを混ぜたり、ポン酢をかける、など簡単な食べ方で1食で120g程度とるようにしましょう。

ビタミンやミネラルをしっかりとれる食材として、切干大根、ひじき、きくらげなどの乾物、きのこ、わかめや海苔といった海藻を日々の食事に取り入れるようにしましょう。こうした食材はそのまま食べたり、煮物などに使うことが多いこともあり、摂取カロリーを抑えやすくなります。

たんぱく質は、1食あたりの主菜に使う肉や魚、豆腐、卵などの量が80~100g程度あるとよいでしょう。1食あたり20g程度のたんぱく質量が目安です。(体重1kgあたり1gのたんぱく質量が目安)

また、副菜などで酢の物やおひたしなど、油を使わない料理をとりれることで油を使う量を減らすことができます。

寒い季節であれば、鍋ものは野菜もとれておすすめです。

また、夕食はできるだけ19時までに食べると、食べたエネルギーを寝るまでに使うことができるため、痩せやすい状態をつくることができます。

写真:アフロ

■間食には、果物やヨーグルトを

最近、腸内環境は肥満と関連があるという報告が多くなっています。偏った食べ方をして、腸内環境が悪化すると太りやすくなる、ということです。

腸内環境が悪化しないように、発酵食品を食べたり、食物繊維が豊富な野菜や果物をとるのがおすすめです。また、たんぱく質を摂取するときには、一緒に食物繊維を摂取することで良好な腸内環境を維持しやすい、といったこともあります。

今時期であれば、小腹がすいたら、ミカンやヨーグルトを食べるなどはいかがでしょうか。

写真:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート

■減量期間中は、お酒を控える。

分かってはいるけれど、ついつい、飲んでしまうお酒。。。ですが、体重を落とすなら、その間だけでもお酒は控えるようにしたいものです。

お酒自体にカロリーがありますし、大量にお酒を飲むと必要以上に中性脂肪が作られてしまうことが分かってます。また、エネルギー代謝に必要なビタミンが使われてしまう、ということもあります。

どうしても飲みたい場合は、週末のお楽しみにとっておく、など回数を減らすようにしましょう。

日々の食事ですっきりしたものを飲みたい方は、炭酸水などを利用してはいかがでしょうか。

■無理のない減量で健康的にやせる

急激な減量は、リバウンドしてしまうことがあります。再度減量に取りみ、また増える。。。このように減量と体重増加を繰り返すことをヨーヨー現象やウエイトサイクリングと呼び、体脂肪増加の原因になることが分かっています。だんだん痩せにくくなるわけですね。

体重は、3~5%減ると内臓脂肪がへり、メタボリックシンドロームに関連する検査数値が改善することがわかっています。

無理のない、継続できる食事の改善で、健康的に痩せる!を手に入れていきましょう。

写真:アフロ

一般社団法人日本栄養検定協会代表理事、博士(栄養学)・料理家

一般社団法人日本栄養検定協会代表理事、博士(栄養学)、料理家。専門は栄養疫学。栄養学の基本をだれでも学べる栄養検定を実施・運営。美味しく、健康的なレシピ作りも行う。日本栄養・食糧学会会員。慶應義塾大学卒業。オートファジーコンソーシアムアカデミア会員、栄養士養成校にて「統計学」の非常勤講師。LE CORDON BLEU(代官山校)料理を首席で卒業しグランディプロム取得。Paris Ecole Ritz Escoffier 短期クラス修了。毎週月曜日気軽に読める無料メルマガ配信中!https://system.faymermail.com/forms/7515

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