7月21日(水)から8月6日(金)にかけて、東京五輪に臨むなでしこジャパンのメンバー18名が、6月18日(金)に発表された。

 選ばれた18選手のうち、ここではDF登録の選手を紹介する。

GK(2名)

MF(6名)

FW(4名)

【DF(6名)】

4 熊谷 紗希 クマガイ サキ(FCバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)/30歳/CB)

熊谷紗希
熊谷紗希写真:松尾/アフロスポーツ

守備の大黒柱で、なでしこジャパンを束ねてきたキャプテン。2011年女子W杯優勝、12年五輪準優勝、15年W杯準優勝をレギュラーとして経験した一人で、海外では13年から世界屈指の強豪オリンピック・リヨン(フランス)でセンターバックやボランチとしてプレーした。リヨンでは女子チャンピオンズリーグを5連覇、フランスリーグで7回のタイトルを獲得するなど、世界に誇る日本女子サッカー界の宝だ。複数の言語を自在に操る国際感覚を持ち、新シーズンからはドイツのFCバイエルン・ミュンヘンでプレーすることが決まっている。海外勢のスピードや間合いを熟知したデュエルの強さを、なでしこジャパンにも還元し、守備では「”抜かれない守備“より、“奪いにいく守備”をしたい」と強調。コーチングの量と質も圧倒的だ。キャプテンとしては「みんなでいい意味でぶつかり合えるチームを作りたいと思っていた」というように、オンでもオフでも風通しの良い雰囲気づくりを目指してきた。日本は最終ラインも含めて攻撃を得意とする選手が多いが、強豪国が多い五輪では守備の時間が多くなると予想される。その中で、熊谷の統率力が一つのカギとなるだろう。

2 清水 梨紗 シミズ リサ(日テレ・東京ヴェルディベレーザ/25歳/右SB)

清水梨紗
清水梨紗写真:長田洋平/アフロスポーツ

スタメンに定着した18年のアジアカップ以降、ほとんどの試合に先発してきた不動のレギュラー。世界ランク上位の強豪国とも対戦し、持ち味のスピードを攻守に生かして各国のスピードスターと対峙してきた。運動量の多いなでしこジャパンの中で随一のスタミナの持ち主でもある。以前は線が細い印象だったが、経験を重ね、海外勢相手にタイミングよく体をぶつけてボールを奪うシーンが見られるようになった。プロになって3年目を迎え、フィジカル強化の成果は着実に表れているようだ。所属するベレーザでは昨季から攻撃面でプレーのバリエーションを増やしており、国内リーグではサイドハーフに近い高さからの攻撃参加も目立つ。それによってクロスやアシストも増えたが、今年は「自分自身もゴールを取れる選手になること」を目指しており、4月のパナマ戦での代表初ゴールは一つの成果だろう。自主練習ではスプリント回数を増やしており、WEリーグのプレシーズンマッチではクロスに合わせるアタッカーさながらのプレーも見られた。ベレーザではキャプテンとして2年目を迎えており、リーダーとしての力強さが出てきた。

16 宮川 麻都 ミヤガワ アサト(日テレ・東京ヴェルディベレーザ/23歳/左SB、右SB、ボランチ)

宮川麻都
宮川麻都写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

高い戦術眼とテクニックを持ち、左右サイドバックやボランチなど、複数のポジションをこなす技巧派サイドバック。「感覚でプレーするタイプです」と話していたことがあるが、国内リーグでは狭いエリアでもボールを失わず、随所にセンスの高さを感じさせる。年代別の実績が豊かで、センターバックの南萌華とともに、U-17とU-20の両W杯のタイトルホルダーである。A代表は、2019年3月のシービリーブスカップからすべての活動に参加。ただし19年のW杯では出場機会を得られず、ベンチから日本の敗退を見守る悔しい経験もした。強化試合では、イングランドやフランス、ドイツ、スペインなど、強豪国との試合を経験済み。今大会は中2日の連戦で、途中交代でピッチに立つ機会は増えると予想される。各ポジションの疲労度を考慮し、試合によって異なるポジションを埋めていくキーパーソンになる可能性もあるだろう。今のチームは、ベレーザや年代別代表のチームメートが多く、連係はスムーズ。「大人しい性格なので、試合中にしっかり強気の声かけをしていくことが課題」と話しており、大会を通じての成長に期待したい。

5 南 萌華 ミナミ モエカ(三菱重工浦和レッズレディース/22歳/CB)

南萌華
南萌華写真:長田洋平/アフロスポーツ

172cmの長身で空中戦に強く、攻撃面では、局面をガラリと変えるサイドチェンジや精度の高いロングフィードでチームの攻撃にバリエーションを与える。浦和レッズレディースではユース時代からセンターバックとしてプレーしてきたスペシャリストで、“2バック”に近い攻撃的布陣をDF長船加奈とともに支え、昨季はリーグ優勝に貢献した。レギュラー陣では最年少ながら、2年連続でリーグのベストイレブンに輝くなど、国内女子リーグを代表するセンターバックになった。年代別代表では14年のU-17W杯と18年のU-20W杯優勝を経験し、フル代表も4年目に突入している。今年3月に筑波大学を卒業してプロになり、サッカー中心の生活にシフト。継続的な筋力強化や体のケアに力を注ぎ、「いろいろな国の人とコミュニケーションを取れるように」と、語学の勉強にも熱心だ。メンタルが安定していてリーダーの資質にも恵まれており、熊谷のキャプテンシーや声掛けを学びながら成長を続けている。ムードメーカーでもあり、「年齢的にも若い方ですし、プレーだけでなく、オフでもチームを盛り上げていきたいです」と、過密日程の中で雰囲気作りも大切にしていく。

17 北村 菜々美 キタムラ ナナミ(日テレ・東京ヴェルディベレーザ/21歳/SB、SH)

北村菜々美
北村菜々美写真:長田洋平/アフロスポーツ

昨年10月に候補合宿に初招集されてから、一気に左サイドバック候補に名乗りを挙げた成長株。傑出したスピードでサイドを駆け上がり、精度の高いパスやクロスで攻撃の起点になる。組み立ての引き出しも多く、自身の武器に「タイミングをずらしたトラップやパス」を挙げているように、相手にプレーを予測されづらいのも強みだ。そして、選出の決め手となったのが、複数ポジションができること。昨年までプレーしたセレッソ大阪堺レディースでは両サイドバック、サイドハーフ、FWやボランチなどあらゆるポジションを経験しており、ポジションごとにプレーの表情を変えることができる。2018年U-20W杯では左サイドバックで優勝に貢献している。今季はベレーザに加入し、インサイドハーフのポジションに挑戦。プレシーズンマッチでは自身初の1試合2ゴールを決めるなど、好調だ。プレーを参考にしているのは、C大阪のドリブラー、MF坂本達裕。「サイドで(ドリブルから)切り返しもクロスもできるところは、特に見本にしています」。国際経験は浅いが、不動のレギュラーだった鮫島彩が外れており、同ポジションのファーストチョイスとなる可能性もある。

3 宝田沙織 タカラダ サオリ(ワシントン・スピリット(アメリカ)/21歳/CB)

宝田沙織
宝田沙織写真:長田洋平/アフロスポーツ

170cmの長身で、スピードがあり、テクニックがある。10代の頃から、GKからFWまで、あらゆるポジションでプレーした異色の経歴を持つ若き才能。18年のU-20W杯では、FWとして6試合で5ゴールを決めて優勝に貢献し、シルバーボール(準MVP)を受賞している。フル代表デビューを果たした2019年のフランスW杯時もFWだった。一方、昨季所属していたセレッソ大阪堺レディースでは、リードした試合で終盤にセンターバックに降りて守備を固めるなど、代表クラスのFWとのマッチアップでもDFとしての資質の高さを発揮。そして、代表でも昨年末に同ポジションに抜擢されると、ビルドアップの巧さや質の高いロングキックの魅力を生かし、先発候補に躍り出た。ボランチの三浦成美は、「沙織はセンターバックのポジションから相手をはがして前に運べるので、ボランチが高い位置でプレーできて助かります」という。センターバックとしては強豪国との対戦経験がないが、今季からワシントン・スピリット(アメリカ)でプレー。海外生活で心身ともに成長し、プレー面では「スピードのある選手に対する準備や予測を高めるところが経験できて、すごくプラスになっています」と語っており、守備面の成長にも期待がかかる。