7月21日(水)から8月6日(金)にかけて、東京五輪に臨むなでしこジャパンのメンバー18名が、6月18日(金)に発表された。

 五輪は、グループステージを突破して、決勝または3位決定戦まで勝ち進めば、中2日の6連戦(決勝のみ中3日)となる。過密日程を戦い抜く上で、選考においては複数のポジションでプレーできる選手が大半を占めた。

 18名の内訳はGK2人、DF6人、MF6人、FW4人で、このうち2019年W杯メンバーが15名を占めた。五輪は交代枠が従来の「3」から「5」に増えるため、高倉麻子監督は、ターンオーバーしながら18人全員で戦っていくことを示唆している。

 日本は2019年の女子W杯では、ベスト16で敗退し、悔し涙を飲んだ。そして同大会のメンバーを軸に強豪国との対外試合を重ね、攻守を積み上げてきた。2020年は新型コロナウイルスのパンデミックにより活動に制限がかかり、約7カ月間の空白期間もあったが、10月に活動を再開。国内合宿では、体格の良い男子チームとのトレーニングマッチを重ねて攻守の精度と強度を上げてきた。海外遠征や欧米の強豪国とのマッチマイクが難航する中、4月と6月は、パラグアイ、パナマ、ウクライナ、メキシコとの4試合を行い、いずれも大勝している。

 東京五輪には、アジアから3カ国(日本/オーストラリア/中国)、ヨーロッパから3カ国(イギリス/オランダ/スウェーデン)、南米から2カ国(ブラジル/チリ)、アフリカから1カ国(ザンビア)、北中米カリブから2カ国(アメリカ/カナダ)、オセアニアから1カ国(ニュージーランド)が出場する。日本は開催国であり、予選は戦っていない。FIFAランキング11位の日本は、グループステージで2大会連続銅メダルのカナダ(8位)、2大会ぶりの出場となるイギリス(※)、初出場のチリ(37位)と対戦する。

(※)イギリスはイングランドとスコットランド、北アイルランドとウェールズの混合チームで、選手のほとんどが、世界ランク6位のイングランド代表の選手から構成されることが予想される。

 日本は今季、女子プロサッカー「WEリーグ」が9月に開幕し、秋春制で行われる。そのため現在はオフシーズンで、選手たちは春秋制のなでしこリーグを戦っていたこれまでとは異なり、コンスタントに試合がないため実戦感覚には不安がある。だが、プロ化によって各チームの練習時間が繰り上がり、代表選手たちもこれまで以上に体のケアや筋力トレーニング、走力アップなど、各自のパフォーマンス向上に時間をかけられるようになった。コンディションは例年に比べても遜色ない仕上がりを感じさせる。また、なでしこジャパンがこのプレシーズン期間を利用して長期合宿を組めるのも、五輪に向かう上では大きなプラス要素と言えるだろう。

 この後は、6月21日から7月5日まで、2週間にわたる長期合宿を行う。その後、7月10日から大阪でトレーニングキャンプを行い、同14日に京都のサンガスタジアムby KYOCERAで国際親善試合(対戦相手は未定)を行い、本番に臨む。

 東京五輪では、7月21日に初戦のカナダ戦(札幌ドーム)、24日にイギリス戦(札幌ドーム)、27日にチリ戦(宮城スタジアム)を戦う。

 今回選ばれた18名の選手を、ポジションごとに紹介したい。まずはGK。

 大橋昭好GKコーチが「ゴールを守るという大前提の下で、フィールドプレーヤーとしてどれだけ攻撃に絡めるかが一つのキーファクターになると思います」と以前語っていたように、なでしこジャパンのGKは声で前線からの守備を統率し、ゴールを死守する。そして、攻撃では11人目のフィールドプレーヤーにもなるキーポジションだ。

DF(6名)

MF(6名)

FW(4名)

【GK(2名)】

1 池田 咲紀子 イケダ サキコ(三菱重工浦和レッズレディース/28歳)

池田 咲紀子
池田 咲紀子写真:森田直樹/アフロスポーツ

長短の正確なパスを生かしたビルドアップに長け、高い戦術理解に裏付けされた的確なコーチングで、守備を最後尾から引き締める。昨季、所属の浦和レッズレディースでは、ハイラインの後ろの大きなスペースをカバーし、安定感したプレーで6年ぶりの国内リーグタイトルを支えた。代表では山下とのハイレベルな競争の中で、自らの長所であるポジショニングや技術面でも質を追求し続け、試合に出ていない時も「最高の準備」を続けてきた。「咲紀子さんは、コーチングで味方を安心させながら相手に圧力を与えて、(相手の)FWがシュートを打つ時に『コースがない』と感じさせることができます」と、浦和で池田の背中を見ているU-19代表のGK福田史織が話すように、幅7.32m、高さ2.44mのゴールの中で「自分を大きく見せる」技術の高さも光る。普段は穏やかで笑顔も多いが、試合では眼光鋭く相手を威圧するオーラを放ち、失点後もファインプレーの後でも感情に波を作らない。エリア内や至近距離のシュートストップを課題としてきたが、リーグや代表戦でも1対1を止める場面が急増している。

18 山下 杏也加 ヤマシタ アヤカ(INAC神戸レオネッサ/25歳)

山下杏也加
山下杏也加写真:ロイター/アフロ

シュートストップ、キック、コーチングと、あらゆる面で国内最高クラスの質の高さを見せる。中でも、抜群の反射神経としなやかな跳躍を生かしたシュートストップは魅力で、海外の大舞台では強豪相手に数多くのスーパーセーブを見せてきた。また、池田と同じくフィールドプレーヤー出身でキックの質が高く、山下がボールをキャッチした次の瞬間に狙うカウンターは見ものだ。切り替えてFWやサイドの選手が全力で走り出すシーンは、味方の信頼の厚さも感じさせる。勝利への貪欲さ、ゴールを死守する強い思いは人一倍で、練習から味方とのコミュニケーションをしっかりとって細部にこだわる。今季、日テレ・東京ヴェルディーベレーザからINAC神戸レオネッサに移籍。新天地でも自分から周りに積極的に働きかけて守備を再構築。プレシーズンマッチでは4試合無得点と結果を出している。好きなGKはマンチェスター・シティのGKエデルソンだという。「同じ左利きで、(キック力があり)ゴールに直結するキックが蹴れる選手。エデルソンのように、相手ディフェンダーが怖がるようなプレーがしたいです」と話し、腰回りの筋力アップも図っているという。