今回は、開催国、パプアニューギニアについて。

初のワールドカップ開催に盛り上がる首都・ポートモレスビーの様子をレポートする。

【神秘に満ちた島】

11月13日に開幕するFIFA U-20女子ワールドカップの開催国、パプアニューギニア(以下:PNG)。

国名は聞いたことがあっても、どんな国かパッと思い出せる人は多くないだろう。「天国に一番近い国でしょう?」と言う知人がいたが、それはニューカレドニア(もしくはモルジブ共和国)を指して、よく言われる話である。

近年は治安の悪さも旅行者の足を遠のかせる一因となっているようだが、そもそもインターネット上や本を探しても、PNGに関する情報は多くない。

PNGは世界で2番目に大きな島であるニューギニア島と、1000を超える周囲の島々からなり、山間部を中心に言語も習慣も異なる800以上の部族が暮らす。人口の8割以上が村落部に居住し、部族ごとの伝統的な信仰も根強く残る。北部を蛇行する全長1,126kmのセピック川は、南米のアマゾン川のような存在感を放ち、川を覆い隠す密林には、珍しい動植物が数万種類も生息する。

多様性と神秘的な魅力に富んだ国だ。

一方で、今大会の開催地である首都・ポートモレスビーは、貧困や失業を背景とした犯罪率の高さもあり、治安面で十分な配慮が必要と言われている。

実際にこちらに来てみて、最大の懸念であったその治安については、事前に聞いていた通り、決して「良い」とは言えない。車窓から見えるポートモレスビーの街は、貧困が目に見える形で至るところに存在し、外国人観光客は少ないため、目を引きやすい。もちろん、FIFAが主催する国際大会ということもあり、各国代表チームの警備には最大限の配慮が図られているが、各国とも、練習と試合以外は宿泊するホテルから極力、外出しないで過ごすことを考えなければならないようだ。

「日本が勝ち上がれば現地まで応援に来たい」と考えている人もいるだろう。現地入りを考えている人は、基本的には単独での行動は絶対に避け、外務省のHPなどで現地情報を十分にチェックした上で渡航することをオススメしたい。

だが、ネガティブな部分を見て、良いところを見落としたくはない。初日に、地元の人たちからU-20日本女子代表チームへの盛大な歓迎を目の当たりにし、また、こちらの人たちと接する度にその思いは強くなる。PNGにはシャイだが優しく、フレンドリーな人が多いのだ。

初めてのワールドカップ開催ということで、新聞などでも連日記事が取り上げられており、街にも活気が生まれている。10日のスポーツ紙の朝刊の裏面には、日本チームの到着を歓迎する記事が大きく掲載された。

10日のスポーツ紙朝刊。米大統領選の記事と表裏一体で掲載された
10日のスポーツ紙朝刊。米大統領選の記事と表裏一体で掲載された

【初のワールドカップ開催に沸くポートモレスビー】

ポートモレスビーは、ニューギニア島の南西部にある、パプア湾に面した港湾都市だ。

(上)大会フラッグが至るところに(下)U-20パプアニューギニア女子代表チーム
(上)大会フラッグが至るところに(下)U-20パプアニューギニア女子代表チーム

街のところどころに、U-20ワールドカップのフラッグや看板が設置され、スタジアム周辺には大会までのカウントダウンの電光掲示板が掲げられるなど、国を挙げた期待の高さを垣間見ることができる。

PNGで一番人気のスポーツといえば圧倒的にラグビーだが、サッカーもそれに次いで人気が高い。また、昨年行われたパシフィックゲームズ(※)の影響で、スポーツ熱が高まり、高速道路や信号などのインフラも整備された。

ボロコ地区のマーケット。手作りのビルム(手編みのバッグ)は男女問わず人気だ
ボロコ地区のマーケット。手作りのビルム(手編みのバッグ)は男女問わず人気だ

今大会は、首都・ポートモレスビーの4つのスタジアムが会場となる。15,000人収容のサー・ジョン・ガイズ・スタジアム、5,000人収容のバヴァパーク、5,000人収容のPNGフットボールスタジアム、15,000人収容のナショナルフットボールスタジアムの4会場である。各スタジアム間はそこまで離れておらず、車で20分以内で移動することができる。外観が剥き出しのスタジアムもあるが、年間を通して太陽が照っていることもあり、どこの会場も芝の状態は良いそうだ。

※4年に1度開催される、南太平洋諸国が参加する総合競技大会。2015年大会はポートモレスビーで開催された。

高台からダウンタウンを望む
高台からダウンタウンを望む

街を見渡す高台からは、美しい港の景色も一望できる。土地代がかからない水上のコテージで水上生活を営む人も多いという。波は常に穏やかで、港にはたくさんのクルーザーが停泊していた。海と山に囲まれた自然の豊かさは言うまでもないだろう。

食事は、イモ類や果物、鶏肉、米などが主食だ。PNGの郷土料理は、「ムームー」という。ボウルの中にバナナの皮とホイルを敷いて、バナナ、ジャガイモ、タロイモ、野菜、鶏肉(豚肉)などを入れ、バナナの皮とホイルで包んで石焼きした料理で、お祝いの時などによく食べる。

選手によっては稀に、海外の食事が口に合わずに体重を落としてしまったり、コンディションを崩してしまうケースもあるが、5月のパプアニューギニア遠征に参加したDFの守屋都弥(INAC神戸レオネッサ)は、

「パプアではお米を毎日食べられて、ジャガイモを茹でた料理など、おかずもなかなか美味しかったです」

と話していた。

お米の粒がしっかりしていて美味しい
お米の粒がしっかりしていて美味しい

また、GKの平尾知佳(浦和レッズレディース)も

「いっぱい食べています。(直前合宿の)オーストラリアとあまり変わらないので、体重も落とさずに、頑張れています」

と、笑顔を見せた。

【オフの過ごし方も重要な大会に】

今大会は、オフの過ごし方も重要になりそうだ。

冒頭に書いたように、治安面を考慮し、選手たちは練習と試合以外の時間をホテル内で過ごすことが多くなるからだ。決勝まで勝ち進めば、1ヶ月間の長丁場である。

そんな中、オフの過ごし方も、選手たちはそれぞれに工夫しているようだ。

高倉監督は言う。

「湿気があって暑く、治安への配慮もあるのでホテルの外には出られない。そんな中で、楽しく過ごしたもの勝ちだと思いますから、こちら(スタッフ)も色々と考えています。これまでも大会中にいろいろやってきましたから、選手も『またなんかやってきそう』と、ソワソワしているんじゃないでしょうか(笑)」

これまでにも、国際大会では様々なレクリエーションがあったようだ。一発芸コンテスト、抜き打ち学力テスト、川柳大会。

ピッチでは見られないような選手たちの意外な一面も、発揮されるのかもしれない。

果たして今回はどんなお題が出されるのだろうか。興味は尽きない。

そして、うまく気分転換を図りつつ、体も心も最高の状態で初戦(11月13日、ナイジェリア戦)を迎えてほしい。