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主な新興国/米国経済ニュース(12月13日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

ロシア中位行BPF、信用不安で15支店での業務を停止

ロシアの首都モスクワに本拠を構える中位行のバンク・オブ・プロジェクト・ファイナンシング(BPF)は11日、ロシア中銀が同行のデフォルト(債務不履行)の可能性について銀行検査を開始したことから、15カ所の支店での預金引き出しなどの日常業務を10日から停止したことを明らかにした。モスクワ・タイムズ(電子版)などが伝えた。

中銀が今月4日に地場中堅行のマスター銀行の事業免許を取り消したあと、マスター銀行と密接な業務関係にあった同行で、11月29日に、預金の引き出しを求めて殺到するという取り付け騒ぎが起きたため、先週末から同行に対する銀行検査が開始されており、BPFは現在、中銀のロンバート型貸し出しなどによる流動性資金の回復と資産の処分を柱とした金融安定化措置を講じている。

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日本のニッケル各社、インドネシア離れ加速へ―鉱石輸出禁止で

インドネシア政府は来年1月12日から国内のニッケル鉱山に対し、国内に精錬所を建設しなければニッケル鉱石の輸出を禁止する措置を導入するため、日本の大手ニッケルメーカーのインドネシア離れが加速する見通しだ。ジャカルタ・グローブ(電子版)が12日に外国通信社の報道を引用して伝えた。

住友金属工業や日本冶金工業、太平洋金属などニッケル生産各社はインドネシアからの鉱石輸入が来年以降、困難になるため、輸入先をフィリッピンにシフトする計画を進めている。住友金属については、ニッケル鉱石の備蓄が積み上がっているため、来年4月までは問題は起きないとしている。インドネシアのニッケル鉱石は昨年実績で、日本の輸入全体(470万トン)の44%を占めており、最大の輸出国になっている。

日本冶金の広報担当者は、「もし、インドネシアが鉱物輸出を禁止すれば、来年1月は間違いなくパニックが起きる。このため、今月から来年3月までインドネシアからの輸入をすでに停止した」と、述べている。

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ベトナム証券当局、軍隊銀行証券とVIT証券の合併を承認

ベトナム国家証券監督委員会(SSC)はこのほど傘、軍隊商業銀行(MBB)下の証券大手軍隊銀行証券(MBS)とVIT証券(VITS)の合併を承認した。ベトナム通信(電子版)が10日に伝えた。ベトナムで証券会社同士の合併はこれが始めてのケースとなり、今後の証券業界再編の前例となると見られている。

合併新会社はMBSが存続会社となり、資本金は6212億4000万ドン(約30億円)となる。VIT証券の経営陣は合併新会社の取締役会には加わらない。新MBSは有価証券売買の仲介や不動産売買、引き受け業務、投資顧問、カストディアン(有価証券の保管・管理)のサービスを提供していくとしている。

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インドネシア中銀、政策金利を市場の予想通り据え置き

インドネシア中央銀行(BI)は12日、年内最後となる理事会を開催し、政策金利である翌日物BI金利を現行の7.5%のまま据え置いた。ほぼ市場の予想通りだった。前回11月会合では経常赤字の拡大リスクがあるとして0.25%ポイント利上げしていた。

また、中銀は過剰流動性を吸収するために翌日物預金ファシリティー金利(FASBIレート)も5.75%に、翌日物貸出ファシリティー金利も7.5%に据え置いた。

中銀は理事会後に発表した声明文で、今回の金利据え置き決定について、「インフレ率を来年には物価目標(4.5%プラスマイナス1%)にまで低下させ、経常赤字も健全で持続可能な水準に削減するというこれまでの我々の努力と一致する金融政策だ」と述べている。前回11月の声明文に盛り込まれていた「経常赤字の水準は依然として高い」との文言は、今回は削除された。

インフレの見通しについては、中銀は、「インフレは引き続き抑制されており、11月のインフレ率も減速傾向にある。今年のインフレ率は8.5%上昇の水準を引き続き下回り、来年はさらに伸びが減速し、物価目標(4.5%プラス1%)に収まる」と予想している。景気見通しについては、「今年1-3月期成長率に見られた鈍化傾向が今後も続く」とし、今年の成長率見通しは従来予想の5.5-5.9%増のまま据え置いたが、来年の見通しは従来予想の5.8-6.2%増のレンジの下限になるとして予想を下方修正した。

自国通貨ルピア安の進行については、中銀は声明文で、「現在のルピア安の水準は周辺地域の他国の通貨と釣り合いが取れている」とした上で、「引き続き、経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)に見合った為替相場の安定を維持し、それによって経済を強くしていく」と述べている。

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米フェイスブック、S&P500・100指数の構成銘柄に選定される

世界最大のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)である米フェイスブック<FB>が11日、大型株500銘柄で構成するS&P500指数と時価総額上位100銘柄で構成するS&P100指数の構成銘柄として正式に採用されることが決まった。今月20日の取引終了後から有効となる。米経済情報専門サイトのマーケットウォッチなどが伝えた。

フェイスブックは、S&P500指数では半導体自動検査装置大手テラダイン<TER>に代わり、また、S&P100指数では米石油・天然ガス関連大手ウィリアムズ・カンパニーズ<WMB>に代わるもの。これを受けて、フェイスブックの株価は11日の引け後の時間外取引で、商いを伴って一時4.1%高の51.42ドルに急騰した。その後はやや伸び悩んだものの米東部時間12日午前10時27分時点で3.22%高の50.97ドルとなっている。

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米鉱山向け採掘機大手ジョイ・グローバル、8-10月期は大幅減益

米鉱山向け採掘機大手ジョイ・グローバル<JOY>が11日に発表した8-10月期(第4四半期)決算は、純利益が前年比87%減の2680万ドル(約30億円)、1株当たり利益(希薄化後)も同87%減の25セントとなった。また、調整後の1株当たり利益は同47%減の1.11ドルとなり、アナリスト予想の1.12ドルを下回った。

一方、売上高も前年比26%減の11億8000万ドル(約1220億円)となったものの、アナリスト予想の11億3000万ドル(約1160億円)を上回った。純利益が大幅減益となったのは、売り上げ減少に加え、ブランド再構築関連で現金支出を伴わない減損損失1億5500万ドル(約160億円)を計上したことが響いた。

2014年度(2014年11月-2015年10月)の通期業績見通しについては、売上高は36億-38億ドル(約3710億-3910億円)、調整後1株当たり利益は3-3.5ドルを予想している。同社は2014年度に追加のリストラ計画を実施する方針も明らかにした。この決算結果を受けて、同社の株価は11日、5.5%安の53.15ドルに急落した。米東部時間12日午前10時48分時点では0.06%高の53.18ドルと下げ一服となっている。(了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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