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主な新興国/米国経済ニュース(9月30日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

9月23-27日のロシアRTS指数、1432.87―4週ぶり反落=BRICs市況

前週(9月23-27日)のロシア株式市場は、RTS指数(ドル建て)の27日終値が前週比2.1%安の1432.87と、4週ぶりに反落した。前々週(16-20日)は週間ベースで約半年ぶりの高水準となり、また、4カ月ぶりに1400の大台に戻ったことで、高値警戒感から利食い売りが強まった。また、米国の来年度予算の国債発行上限の引き上げをめぐる議会との協議が30日にずれ込み、10月22-31日に国庫資金が枯渇する懸念も浮上したため、ロシア市場の地合いを悪化させた。

個別銘柄では、ロシア最大の国営石油大手ロスネフチがロシア国営ダイヤモンド生産最大手アルロサ(ALROSA)から北極圏のヤマル半島の石油・天然ガス開発子会社4社を計13億8000万ドル(約1350億円)で買収することで合意したとの報道で、週末27日のロスネフチとアルロサの株価が上昇した。また、ロスネフチが石油大手PHホールディング(旧TNK-BP)の少数株主から株式を取得するとの報道でPHの株価も27日は11.8%高と急騰している。

今週(9月30日‐10月4日)のロシア市場については、月末要因に加え、多くの投資会社の年度末決算期と重なること、さらには米国の来年度予算の国債発行上限の引き上げをめぐる議会との協議の先行き懸念から相場は不安定な動きになることが予想される。

また、今週の相場に影響を及ぼす大きなイベントとしては、米国ではISM(サプライマネジメント協会)製造業景況感指数(10月1日)や9月新車販売台数(1日)、9月ADP雇用統計(2日)、週間新規失業保険申請件数(3日)、9月雇用統計(4日)、また、アジアでは、日本の8月鉱工業生産指数(9月30日)や7-9月期日銀短観(1日)、日銀金融政策決定会合(3-4日)、中国は9月製造業PMI(購買部景気指数、1日)、豪州は中銀の金融政策決定会合(1日)、さらに、欧州では9月ユーロ圏消費者物価指数(9月30日)や9月ユーロ圏製造業PMI(1日)、ECB(欧州中央銀行)の金融政策決定会合(2日)などが予定されている。

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ロシア副首相、2015年以降にVAT減税と所得税増税の可能性を示唆

ロシアのアルカージ・ドボルコビッチ副首相は先週末、2015年以降に、VAT(付加価値税)を現在の18%から15%へ引き下げる可能性があることを明らかにした。また、所得税の一律課税(フラットレート)の導入を念頭に置いた上で、所得税率を現在の13%から15%へ引き上げることも検討していることを明らかにした。ロシアのプライム通信(電子版)が伝えた。

また、同副首相は、「この(増減税の)決定は2015年より前に行われることはない」との見通しも示している。一方、アントン・シルアノフ財務相は先週末、「近い将来、増税の必要はない」と述べている。

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スズキ、インドネシアでのミニバン「エルティガ」販売目標に届かず

スズキ<7269.T>のインドネシア法人、スズキ・インドモービル・セールズ(SIS)の主力車種である小型ミニバン「エルティガ」の8月の販売台数が前月比18%減の5627台に急減した。また、1-8月累計販売台数も4万4908台、月平均で5613台となり、月販販売台数目標の7000台を大幅に下回る状況が続いている。地元経済紙ビジネス・インドネシア(電子版)が9月27日に伝えた。

SISのエンドロ・ヌグロホ販売部長によると、8月が前月比で急減したのは、前月(7月)の営業日数が8月より多かったためとしているが、9月は首都ジャカルタで国際自動車ショー(19-29日)が開かれて追い風になるはずだが、それでも24日現在での9月の受注実績はわずか約350台にとどまっている。月販台数で会社目標に最も接近したのは7月の6834台だった。

9月の販売不振の理由について、同部長は、インドネシア通貨ルピア安に加え、中銀が8月29日に政策金利を一気に0.5%ポイント引き上げて7%(9月12日に0.25%再利上げしたため、現在は7.25%)にしたため、自動車ローンの金利も上昇した影響が大きいとしている。

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米メットライフ、ベトナム投資開発銀行と共同で生命保険会社を設立へ

米生保最大手メットライフ<MET>は、ベトナム投資開発銀行(BIDV)とその損保子会社であるベトナム投資開発銀行保険(BIC)の3社の共同出資で、生命保険会社をベトナムに設立する。香港のアジア金融専門誌アセット(電子版)が9月27日に伝えた。

新保険会社の資本金は1兆ドン(約50億円)になる見通しで、メットライフが全体の60%、残り40%をBIDVとBICが出資し、2014年から営業を開始する。当初は、主に生命保険と医療保険を販売する。また、新会社は保険の銀行窓口を可能にするため、すでにBIDVとの間でバンカシュアランス(銀行商品と保険商品を販売する金融機関)契約を結んでおり、BIDVの全国600支店の窓口で生命保険商品を販売することが可能になる、としている。

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米ナイキ、2013年6-8月期純利益は33%増―1株利益も予想上回る

米スポーツ用品大手ナイキ<NKE>が先週発表した2014年度第1四半期(6-8月)決算は、純利益が前年比33%増の7億8000万ドル(約760億円)、1株当たり利益(希薄化後)も原材料コストの低下などで粗利益率が1.2%ポイント改善し、同37%増の86セントとなり、アナリスト予想の78セントを上回った。また、いわゆる、市場で囁かれている非公式の数字(whisper number)で株価に影響を与える1株当たり利益は77セントだったが、これも上回った。

一方、売上高は前年比8%増の69億7000万ドル(約6830億円)となり、これもアナリスト予想の69億6000万ドル(約6820億円)をやや上回った。内訳は旗艦のナイキブランド部門が同7%増の65億ドル(約6370億円)、コンバースブランド部門が同16%増の4億9400万ドル(約480億円)などとなっている。

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米老舗百貨店JCペニー、株式売り出しで790億円調達へ―株価は急落

売り上げ低迷で苦戦している米百貨店チェーン大手JCペニー<JCP>は先週末、新たに8400万株の自社株を売り出し、約8億1000万ドル(約790億円)を調達する計画を明らかにした。

売り出し価格は1株当たり9.65ドルで、これは9月26日の同社株の終値10.42ドルを7.4%下回る。しかし、この発表を受けて、同社の株価は先週末のニューヨーク証券取引所で、寄り付きから一気に約8%も急落し、あと下げ幅を広げ、結局、13.15%安の9.05ドルで引けている。主幹事は米証券大手ゴールドマン・サックスで、オーバーアロットメント(追加的な販売株数)1260万株となっている。売り出しの申し込みは10月1日に締め切られる。

同社は調達資金の使途について、「一般的事業目的で使う」としている。同社は今年第2四半期(5-7月)だけで5億8600万ドル(約570億円)の欠損金を出しており、株価も年初来で47%も下げている。

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ブラジル8月雇用統計、失業率は5.3%に低下―9カ月ぶり低水準

ブラジル地理統計資料院(IBGE)が先週発表した6大都市圏の8月の雇用統計(PME)は、失業率が同月の新規雇用者数の増加を反映して、前月(7月)の5.6%から5.3%へと、2カ月連続で低下し、年初来で最低水準となった。また、アナリスト予想の5.6%を下回り、2012年12月の4.6%以来9カ月ぶりの低水準となった。地元経済紙バロール・エコノミコ(電子版)が9月26日に伝えた。

8月の新規雇用者数は前月比12万7000人増と、アナリスト予想の9万5300人増を上回っている。前年比でも26%増となった。ブラジルの大手コンサルティング会社LCAコンスルトーレスのエコノミスト、ファビオ・ホマン氏は今年と来年の成長率の見通しをそれぞれ2.6%増と2.9%増になるとした上で、経済成長を反映して、失業率も今年は5.5%、来年は5.7%になると予想している。

また、同時に発表された8月の個人所得の平均所得額は前月比1.7%増(前年比1.3%増)の1883レアル(約8万2000円)となった。個人所得の総額も前月比2.3%増(前年比2.7%増)の442億レアル(約1.9兆円)となっている。 (了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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