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主な新興国/米国経済ニュース(9月4日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

ベラルーシ当局、ロシア大富豪ケリモフ氏を国際指名手配―ウラルカリー化学絡み

ベラルーシ司法当局は2日、インターポール(国際刑事警察機構)を通じて、ロシアの上院議員で政府との関係が深い大富豪スレイマン・ケリモフ氏の身柄を拘束するため、国際指名手配したもようだ。ノーボスチ通信(電子版)が3日に、ベラルーシのテレビ局が同国の内務省筋の話として伝えた。

ケリモフ氏は世界最大級のカリウム肥料会社として知られるロシアのウラルカリー化学の最大株主として知られる。同社が7月に提携相手のベラルーシカリーと合弁で設立したベラルーシ・ポタッシュ・カンパニーから離脱する決定を背後で指揮したとして、職権乱用罪の容疑に問われている。有罪が確定すれば禁固10年の厳しい量刑が課せられる可能性がある。

最近でも、ウラルカリー化学のウラジスコフ・バウムガートナーCEO(最高経営責任者)が8月26日にベラルーシの首都ミンスクの空港で、同国の司法当局によって、同様な職権乱用罪の容疑で身柄を拘束されており、それ以降、ロシアとベラルーシの外交問題に発展している。しかし、今回のケリモフ氏の逮捕請求によって、ウラルカリー化学の経営の根幹を揺るがしかねない事態となったといえる。

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スズキ、ハンガリー8月新車販売の個人向けシェア62%で首位に

ハンガリーでのスズキ<7269.T>の個人向け新車販売が好調となっている。英自動車市場調査大手ジェイトー・ダイナミクスがまとめた同国の8月の新車販売台数は、前年比17%増の4199台となったが、法人向けと個人向けの販売台数の合計で、独自動車大手フォルクスワーゲンが560台と、全10社中トップとなった。他方、スズキは313台で5位となったが、個人向け販売台数の市場シェアは62%に達し、堂々の1位となっている。ハンガリー経済専門サイト、ポートフォリオが2日に伝えた。

もともと、ハンガリーの新車販売市場は全体の75%が法人向け、残り25%が民間の個人向けと、企業による新車購入が盛んになっている。販売台数トップのフォルクスワーゲンの法人向けシェアは82%(5位)、個人向けは18%(6位)となっているのに対し、スズキは法人向けシェアが38%で最下位となったものの、個人向けではクロスオーバーSUV(スポーツ用多目的車)「エスエックスフォー(SX4)」と「スイフト」が売れ行き好調となっている。

このほかの日本勢では、トヨタ自動車<7203.T>の全体の販売台数は287台で7位となった。法人向けシェアは66%(8位)、個人向けシェアは34%(3位)だった。

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シンガポールOCBC銀行首脳、インドネシア投資戦略変えず=株・通貨急落でも

シンガポール金融大手OCBC銀行のサミュエル・チェンCEO(最高経営責任者)は地元紙ストレート・タイムズのインタビューで、インドネシア経済の先行きの見通しについて、「インドネシアに対する当行の投資ポートフォリオの先行きについて全く懸念していない」と述べ、最近のインドネシアの株価と通貨ルピアの急落は長期的な成長過程での一時的な悪化に過ぎないとし、インドネシア投資戦略を変更する考えがないことを明らかにした。ジャカルタ・グローブ(電子版)が3日に伝えた。

同CEOは、インドネシア経済の先行きに楽観的な見方を示す理由として、中銀の利上げ継続姿勢や日銀との120億ドル(約1.2兆円)の2国間スワップ協定の更新がインドネシア経済の最悪シナリオの実現を食い止めると指摘している。

OCBC銀行は2004年以降、インドネシア国内で傘下のOCBC・NISP銀行を通じて、国内に340支店網を構築し、さまざまな事業を展開しており、OCBC・NISPの業績は、昨年はOCBC銀行全体の収益の5%、今年上期(1-6月)だけでも6%を占めている。

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ベトナム国営大手ベトイン銀行、210億円の配当金支払いへ―配当率16%

ベトナム国営金融大手ベトナム商工銀行(ベトイン銀行)は、来月24日に資本金の16%に相当する4兆2000億ドン(約210億円)の配当金を株主に支払うことを明らかにした。ベトナム通信(電子版)が3日に伝えた。

この配当金のうち、大半の3兆3700億ドン(約170億円)は最大株主の国に支払われる見通し。三菱東京UFJ銀行は昨年12月に、ベトナム政府からベトイン銀行の株式20%を取得し、資本・業務提携を結ぶ協定書に調印している。今回の配当率16%は、ベトイン銀行が増資する前の26兆2000億ドン(約1310億円)に対するもので、これは商業銀行の中では最高水準となる。

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米マイクロソフト、ノキアの携帯電話事業を7100億円超で買収合意

ソフト世界最大手の米マイクロソフト<MSFT>は3日、フィンランドの携帯電話機器大手ノキアの主力部門である携帯電話事業を54億4000万ユーロ(約7130億円)の現金で買収することで合意したことを明らかにした。

スティーブ・バルマーCEO(最高経営責任者)は同日、今回のノキアの携帯電話事業の買収について、従業員に宛てた電子メールで、今年7月11日に発表した事業再編計画の一環と説明している。買収するのはノキアのスマートフォンとそれ以外の携帯電話端末の製造・組み立て工場や設計部門、さらには携帯電話に関するノキアの特許技術も含まれる。買収は来年1-3月期に完了する見込みとしている。

買収完了後、ノキアは携帯電話事業から完全に撤退し、今後は通信機器事業に特化することになる。また、ノキアのスティーブン・エロップCEOは退任し、古巣のマイクロソフトに戻って携帯電話事業部門のトップに就任する。来年の辞任を発表したバルマーCEOの後継者の一人として今後の動向が注目される。

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米ケーブルテレビ大手タイム・ワーナー、CBSと放映権料で合意

米ケーブルテレビ大手タイム・ワーナー・ケーブル<TWC>は2日、米テレビ局大手CBS<CBS>の番組コンテンツの放映権料をめぐる協議が合意したことを明らかにした。

両社の放映権料をめぐる協議は8月2日から1カ月にも及んだ。この間、タイム・ワーナーのニューヨークやロサンゼルス、ボストン、シカゴ、デトロイト、デンバー、ピッツバーグの各地域に居住する約300万人の視聴者はCBSの通常番組に加え、プレミアム番組(「ショータイム」や「スミソニアン」、「ザ・ムービー」の3チャンネルも含む)も視聴することはできない状況が続いていたが、今回の合意で、2日夜から視聴が再開された。ただ、合意した放映権料など金銭的条件は明らかにされていない。

米経済専門オンラインメディア、CNNマネーによると、アナリストは、両者の協議は難航していたが、NFLのアメリカンフットボールの公式戦の開幕や全米オープンテニスのトーナメントの開幕が近づいたことで合意が早まったと見ている。

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ブラジル8月新車販売台数、前年比23%減-減税効果の剥落で

ブラジル自動車販売業者連盟(FENABRAVE)が2日に発表した8月の国内新車販売台数(バス・トラック除いた乗用車と商業車の合計)は前年比22.87%減の31万2722台となった。

対前年比で大幅減となったのは、昨年5月に導入した自動車取得時に支払う工業製品税(IPI)の減税措置(昨年12月末で終了)の影響で過去最高の40万5468台を記録した反動減で、前月比でも3.46%減となった。また、1-8月累計は前年比1.87%減の234万4000台と、前年水準を下回った。しかし、自販連では今年の販売台数は前年比1.03%増との予想を変えていない。

また、バスとトラックの8月の販売台数は前年比13.07%減の1万6485台。前月比も10.26%減となった。ただ、1-8月累計では前年比12.78%増の12万6022台となっている。

乗用車・商用車にバス・トラックを加えた8月の総販売台数は前年比22%減の32万9200台。また、1-8月累計台数は前年比1.2%減の247万台となっている。(了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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