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主な新興国/米国経済ニュース(8月21日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

チェコ議会、解散決議案を可決―10月25‐26日に総選挙へ

チェコ議会は20日、議会解散の是非を問う決議案を賛成多数で可決した。この結果、チェコ議会は解散し、60日以内に総選挙を実施する見通しとなった。地元ラジオ局のラジオ・プラハ(電子版)などが伝えた。

チェコでは、ペトル・ネツァス前首相が閣僚による汚職容疑が表面化したため、6月17日に引責辞任したが、そのあとを受け継いで樹立された暫定政府を率いるイジー・ルスノク首相も先週13日に内閣不信任決議案が議会で可決されたため、議会の解散の採決が予定されていた。

議会の解散には200議席のうち、5分の3(120議席)以上の賛成票が必要となるが、この日の採決では賛成が規定数を上回る140票となった。ミロシュ・ゼマン大統領は10月25‐26日に総選挙を実施したい考えだ。

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ロシア財務省、10月まで外貨購入行わず―中銀のルーブル安阻止に配慮

ロシア財務省のアレクセイ・モイセーエフ次官は先週末、同省が8月末から開始を予定していた1日当たり最大で4000万‐5000万ドル(約39億2000万‐49億円)の外貨購入について、10月まで外貨購入は開始しない意向を明らかにした。ロシアのプライム通信(電子版)が19日に伝えた。

同次官は、「我々は中央銀行による為替市場での介入について懸念している。財務相と中銀は双方の政策を協調する必要がある。中銀がルーブル安阻止を試みて市場介入するとき、財務省が(ルーブル安を助長するような)外貨購入はしない」と述べている。

同省では、外貨購入は財政赤字など危機時に対応する予備基金の残高水準を引き上げるためとしているが、アントン・シルアノフ財務相は6月に外貨購入によってルーブル相場は対ドルで1‐2ルーブル下落するとの見通しを明らかにしている。

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インドネシア油ガス監督機関SKKミガス、長官逮捕で販売入札凍結

インドネシアの石油・天然ガス上流部門の監督機関SKKミガスは19日、ルディ・ルビアンディニ長官(前エネルギー鉱物資源副大臣)が先週、収賄容疑で逮捕されたのを受けて、当分の間、国内で生産された原油やコンデンセート(超軽質原油)、天然ガスの販売入札を一時停止する方針を明らかにした。ジャカルタ・グローブ(電子版)が19日に伝えた。

19日に予定されていた入札では、仏石油メジャーのトタルのセニパ鉱区で生産された40万バレル相当のコンデンセート(超軽質原油)の販売入札が中止された。最低でも4150万ドル(約41億円)の販売額が見込まれていた。SKKミガスでは入札停止がいつまで続くかは明らかにしていない。

ルビアンディニ長官は14日に、シンガポールのエネルギー商社、カーネル・オイルから賄賂を受け取った容疑で逮捕され、現在はヨハネス・ウィジャナルコ氏が暫定会長に就任したが、その後も、先週末(16日)にはSKKミガスの他の3人の幹部も同様な収賄容疑に問われ大きなスキャンダルに発展している。

捜査当局の汚職撲滅委員会(KPK)はこれまでにSKKミガスから20万ドル(約1960万円)の資金を没収したが、これはルビアンディニ氏の収賄と関係があると見ている。SKKミガスはミナスとドゥリの油田鉱区やセニパとゲラガイのコンデンセート鉱区のうち、国営石油大手プルタミナが消費しきれなかった残りの分を外部に入札方式で販売している。今年に入ってこれまでに7回の入札を実施している。カーネル・オイルも入札に参加していた。

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ベトナム政府、2015年にも原子力発電の技術者養成センター建設へ

ベトナム政府は早ければ2015年にも同国中南部のダラットに、同国初の原子力発電所の技術者を養成するトレーニングセンターを建設する。建設費5億ドル(約490億円)で、この資金はベトナムで原発を建設するロシア政府がベトナムに融資する。原子力専門サイト「ニュークリア・ストリート」が19日に伝えた。

現在、ベトナムには原子力発電所はないが、2030年までに合計で10基、670万キロワットの原発を建設する計画。そのうち、ロシア国営原子力企業ロスアトムが来年後半からニントゥアン省フォック・ディンで、ロシア製原子炉を使った原発2基(発電出力は計200万キロワット)の建設に着手するほか、同省のビン・ハイで、日本製原子炉2基(発電出力は計200万キロワット)を使った原発を建設することが決まっている。

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米JPモルガン・チェース、米司法省が電力市場操作容疑で調査開始

米司法省は、すでに6件の不正取引に関与した疑いで当局による調査を受けている米金融大手JPモルガン・チェース<JPM>に対し、今度は同行が2010年9月‐2012年11月の約2年間にわたって、カリフォルニア州と中西部の電力市場で電力料金の価格を操作し不当な利益を上げた疑いがあるとして、調査を進めていることが関係筋の証言で明らかになった。米経済紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)などが19日に伝えた。

米国の電力市場での価格操作の疑惑をめぐっては、先に米連邦エネルギー規制委員会(EFRC)がJPモルガンに対して調査を実施し、7月にJPモルガン側が容疑を否認したまま、4億1000万ドル(約400億円)をEFRCに支払って和解しているが、司法省はEFRCと同じ疑惑について調査を行っている。ただ、調査は始まったばかりのため、司法省として今後、JPモルガンを民事事件、あるいは、刑事事件のどちらで訴追するかは決めていないという。

この司法省の調査を指揮しているのはニューヨーク州南部地区検察局のプリート・ブハララ検事で、同氏は8月初め、「ロンドンの鯨」として知られ、60億ドル(約5900億円)のディーリング損失を出した元トレーダー、ブルーノ・イクシル氏と共謀して、損失隠しを企てたJPモルガンの2人の元トレーダーを起訴している。

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ブラジル格安航空アズーブラジル、新規上場を当面見合わせ―市場環境悪化で

ブラジル格安航空のアズーブラジル航空は、当分の間、新規株式公開(IPO)を見合す方針を明らかにした。オ・エスタド・ジ・サンパウロ紙(電子版)が19日に伝えた。

同社はブラジル証券取引委員会(CVM)に対し、いったん上場申請を取り消す手続きを行っている。IPOを断念した理由について、同社はブラジルを取り巻くマクロ経済の状況が悪化しているためとしている。

しかし、同社では市場の状況を見て、引き続きIPOの実施のタイミングを図りたいとしており、年内の新規上場の方針は変えていない。同社はIPOでの株式の売り出しで、5億-7億ドル(約490億-690億円)の資金調達を計画していた。

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米半導体最大手インテル、米パイパー・ジェフリーズが投資判断引き上げ

米半導体最大手インテル<INTC>の株価が19日、米中堅証券パイパー・ジェフリーズのアナリスト、オーガステ・グス・リチャード氏による投資判断の「アンダーウェイト」から「ニュートラル」への引き上げで、前日比1.67%高の22.28ドルと急騰した。米東部時間20日午前10時24分時点で前日比1.3%高の22.57ドルと続伸している。米経済情報専門サイトのマーケットウォッチが伝えた。

投資判断が引き上げられた理由について、同氏は顧客向けリポートで、「半導体産業は現在、ポストPC(パソコン)時代に入っているものの、PC向けの半導体需要はそうすぐには落ちない」としている。同氏によると、2014年4月9日(日本時間)に、ソフト世界最大手マイクロソフト<MSFT>のPC用基本ソフト(OS)の「ウィンドウズXP」の製品サポートが終了するが、今年10-12月期にはOSの改良版「ウィンドウズ8.1」が全世界で順次投入されていくので、インテルは緩やかながら新たなPC向け半導体需要サイクルに入る、としている。 (了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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