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主な新興国経済ニュース(4月22日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

【ロシア‐4月22日】4月15-19日のRTS指数、1336.46―5週続落=BRICs市況

前週(4月15-19日)のロシア株式市場で、RTS指数(ドル建て)は、19日終値が前週比4.9%安の1336.46と、5週続落した。

前週のRTS指数は週が変わっても下げが止まらず、一時、11日以降6営業日続落となった。しかし、週末19日にようやく反発し下げが止まった。19日終値は昨年6月24日の終値1281.88以来10カ月ぶりの低水準で、2月1日の直近最高値1628.31から18%も値を下げている。

RTS指数は、1‐3月期が4.4%安と、急低下したあと、4月に入っても第1週(1-5日)が5日続落、第2週(8-12)にようやく反発したが、週後半11日から再び下落に転じ1400割れ寸前まで落ち込んだ。

そして、週初15日もロシア経済の先行き不安から外国人投資家の売りが続く中、原油先物価格が再び低下したため、原油価格に敏感なRTS指数は前週末比2.8%安の1366.53と、1400を割り込んだ。週初は、米金融大手シティグループが好決算を発表したものの、前週末12日の米3月小売売上高が前月比0.4%減となったこと、また、中国1‐3月期GDP(国内総生産)伸び率が予想を下回る7.7%増に鈍化したことを嫌気したブレント原油6月物が2.6%下落したため、ロシア株式市場の地合が急激に悪化した。

翌16日も押し目買いの動きが見られたものの、中国の経済成長にブレーキがかかったとの思惑で原油先物が売られ続落したため、RTS指数の下落は18日まで続いた。しかし、週末の19日になって、米インターネット検索大手グーグルとソフト世界最大手マイクロソフトの四半期決算が良好だったことや、ユーロ圏の2月経常収支が黒字転換したこと、また、原油先物の反発にも支えられて、RTS指数は前日比0.7%高に反発した。

今週(22-26日)のロシア市場は、原油相場の回復が続けば、相場がかなり低下して手ごろ感があることから、押し目買い主導の調整買いが予想されるが、その一方でロシア経済の先行き不透明を反映した外国人投資家の売り圧力が懸念材料。米国市場では3月中古住宅販売件数(22日)や3月新築住宅販売件数(23日)、3月耐久財受注額(24日)、週間新規失業保険給付申請件数(25日)、1‐3月期GDP伸び率速報値(26日)など。また、欧州ではユーロ圏4月製造業・非製造業PMI(購買部景気指数)(23日)、ドイツ4月Ifo景況感指数(24日)、アジアでは韓国1‐3月期GDP伸び率(25日)など重要指標の発表が予定されており注目される。

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【ロシア‐4月22日】国家資産管理局長、6月までにVTB銀行の政府保有株売却見通し示す

ロシア連邦国家資産管理局のオルガ・デルグノフ局長は先週末に開かれた経済フォーラムの会場で、記者団に対し、ロシア2位の国営金融大手VTB(対外貿易銀行)の政府保有株の売却時期について、市場環境に左右されることなく6月までに同行の株式済み株式の10‐15%を売却し、約1000億ルーブル(約3100億円)の資金を調達する方向で準備していることを明らかにした。モスクワ・タイムズ(電子版)が19日に伝えた。

同委員長は、「市場環境は良くなっていないが、VTBは融資事業の拡大のために資金を必要としている。株式売却の時期を遅らせることは可能だが、今すぐにでも売却した方が良い」と述べた。一方、ドミトリー・メドベージェフ首相は17日の下院公聴会で、いかなる国営企業の政府保有株は市場環境が良くない場合は売却しない、と述べていることから、同局長の発言は注目される。

政府は現在、VTBの株式の75.5%を保有しており、これまでに政府は2011年に初めてVTBの株式10%を960億ルーブル(約3010億円)で売却している。

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【ベトナム‐4月22日】中銀総裁、ドン通貨の最大2%切り下げの可能性を示す

ベトナム中央銀行(SBV)のグエン・バン・ビン総裁は先週、アンザン省で開かれた企業経営者との懇談会で、輸出企業の収益を高めるため、ドン通貨の切り下げが行われるかどうかについて、「今年、ドンの対ドルレートを最大2%切り下げる可能性がある」と、通貨切り下げについて言及していたことが19日までに明らかになった。

ベトナム通信(電子版)が伝えたところによると、通貨切り下げは農水産物品などの輸出セクターにとって、収益拡大に寄与するものの、同総裁は、「ドンの切り下げは必ずしもすべての産業に恩恵をもたらさない。なぜなら、ベトナムの貿易収支は、今後5年間は赤字が予想されているためだ」としている。その上で、同総裁は、安定的な為替相場がベトナム経済にとって重要であることを考慮すると、ドンの切り下げは1‐2%が望ましいとの認識を示した。

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【インドネシア‐4月22日】ハッタ経済担当調整相、空席となる財務相兼務へ

インドネシアのハッタ・ラジャサ経済担当調整相は先週末、アグス・マルトワルドヨ財務相が5月下旬に中央銀行の新総裁に就任することが決まったため、空席となる財務相ポストの兼務を命じられた。ジャカルタ・グローブ(電子版)が19日に伝えた。

ラジャサ経済担当調整相は暫定財務相となる見通し。スシロ・バンバン・ユドヨノ大統領の2期目の政権下では3人目の財務相となる。同大統領は来年末で2期目の任期(5年間)が満了するが、3選は禁止されているため、同大統領は姻戚関係にあるラジャサ氏を次期大統領候補に指名するとの憶測が流れている。

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【インドネシア‐4月22日】サラトガ・キャピタル、2社のIPOで1千億円調達へ

インドネシア金融界のドンとして知られる大富豪サンディアガ・ウノ氏が率いるプライベートエクイティ(PE)ファンド大手サラトガ・キャピタルは、今後3カ月以内に、傘下のエネルギー・自動車関連2社をインドネシア証券取引所に新規株式公開(IPO)し、合わせて最大で10億ドル(約1000億円)の資金を調達する計画を進めている。ジャカルタ・グローブ(電子版)が20日に伝えた。

IPOを検討している2社は、エネルギー専門のPEファンド、サラトガ・インベスタマ・セダヤ(SIS)と自動車販売会社のミトラ・ピナスティカ・ムスティカ(MPM)で、IPOではSISの発行済み株式の15%、また、MPMの株式25‐35%(最大でも40%)を売却する。SISのIPOは5月になる可能性が高く、資金調達額は2兆‐3兆ルピア(約200億‐300億円)。また、MPMは7兆7000億ルピア(約770億円)になるもよう。

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【ブラジル‐4月22日】4月ICPA-15、前年比6.51%上昇―依然、物価目標上回る

ブラジル地理統計資料院(IBGE)が19日に発表した4月15日までの1カ月間のIPCA(拡大消費者物価指数)‐15は前年比6.51%上昇と、前月(3月)の6.43%上昇を上回った。依然として中銀の物価目標(2.5-6.5%)の中央値(4.5%上昇)を上回っている。

また、前月比は0.51%上昇と、前月(3月)の同0.49%上昇を上回り、伸びが加速した。市場予想(0.4-0.51%上昇)の中央値0.46%上昇を上回った。

内訳は、教育費が前月比0.1%上昇と、3月の同0.5%上昇から伸びが後退。食品・飲料水も同1%上昇と、3月の同1.4%上昇を下回ったほか、交通費も同0.01%低下と、3月の同0.32%上昇からマイナスに変わった。その一方で、住居費は同0.68%上昇と、3月の同0.7%低下から上昇に転換し、医療費も同0.63%上昇と、3月の同0.42%上昇から加速した。 (了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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