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大雪時、帰宅困難者を出さないためには?

増田雅昭気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

関東各地で大雪となった14日(金)。東京都心の積雪は、翌未明にかけて27センチに。前週8日(土)と雪の量は同じでしたが、平日だったこともあり、混乱が大きくなりました。

鉄道の乱れや道路の通行止めなどにより、帰宅にいつもの何倍も時間がかかった、帰宅できなかった、という声を多く聞きます。

その一方で、混乱を避けるため、明るいうちに従業員を帰宅させた企業も。我々、気象会社も、契約している企業などに「大雪時の対応を」と前日には伝えました。

今回、従業員が帰宅困難となったり、混乱に巻き込まれた事例がある企業は、大雪時の危機管理を確認する機会にしたいところです。

20センチ以上の大雪が続いたので、感覚が麻痺していますが、たとえば東京都心では3センチも雪が積もれば交通機関に乱れが出て、5センチも積もると大きく乱れます。

東京都心で大雪注意報が出る場合は、5センチの降雪が予想される時。注意報が出た時点で、手を打ち始める必要があります。“警報待ち”では手遅れになる恐れが大です。

ただし、気象庁の主目的は防災ですので、対象地域が広く出るなど、やや過剰な場合があり、すべて真に受けていると「空振り」が多くなります。

たとえば、気象庁からの情報に加えて、複数の民間気象会社・気象予報士が●センチ以上の大雪を呼びかけている時は帰宅させるなど、策定しておくのも手かもしれません。

関東の雪予報は難易度が高いので、複数の意見を参考にするのが大事だと思います。

雪だけではありません。春の暴風、夏の豪雨、秋にかけての台風、さまざまな状況が考えられます。「雰囲気的にまずくなってきたら」では、事が起こった時、早めの判断は難しいでしょう。

なお、先週、帰宅に苦労した人は、「そう、うちは帰宅の指示がなかった!」ではなく、自ら判断できるようになっておきたいところ。災害時は、人任せにしない、が大事です。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

TBSテレビ・ラジオ気象キャスター。大学在学中に気象予報士を取得し、民放キー局の報道番組に学生予報士として出演。気象キャスターに携わりながら、企業への予報やアドバイザーも長年担当し、甲子園での高校野球の大会本部気象担当を務めたこともある。災害から身を守る気象情報の使い方など講演も行うほか、Twitterで気象情報を毎日発信。著書に『TEN-DOKU クイズで読み解く天気図(ベレ出版)』がある。1977年滋賀県甲賀市生まれ。

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