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18号は、中心にこだわりすぎると危険な台風

増田雅昭気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
16日午前7時の雨雲と風(矢羽)の様子。東海沖の円状の空白域が、台風の中心付近。

台風は巨大な渦巻きですので、中心から離れたところでも激しい現象が起こるものですが、今回の18号は特にその傾向が顕著です。

台風18号は、きょう午前に東海地方へ上陸。

その上陸を前にして、京都府・滋賀県・福井県には、運用後初となる、大雨の特別警報が発表されました。

台風18号は、温帯の涼しい空気や乾いた空気が混じり始めた影響で、台風らしい円の形はゆがみ、中心よりも北側に活発な雨雲が集中しています。このため、台風の中心がまだ南に離れているうちから、近畿や北陸では大雨となりました。

通常、雨は地形の影響を受けることも多く、山沿いなどで雨量が多くなる傾向にあります。

ところが、今回は、台風の北側に集中した雨雲が、地形に影響されるようなレベルではない広がりと厚みを持ち、普段、地形的に雨の少ないところにも大雨を降らせ、特別警報級の雨となっています。

16日午前7時の台風18号の位置と予想進路(気象庁HPより)
16日午前7時の台風18号の位置と予想進路(気象庁HPより)

また、台風の中心がまだ南海上にあるうちから、和歌山県で竜巻と見られる突風が起こり、埼玉県など関東地方でも突風被害が出ています。

危険半円(台風中心の東側)にあたる関東地方は、台風中心付近と同じか、それ以上の風が吹くところもあります。

つまり、上陸の場所など、中心位置にこだわっていると、自分の想像以上の大雨や暴風に急に遭遇してしまう恐れがあるわけです。

台風の中心が一番強い、中心から離れていれば安全、という思い込みを捨て、幅を持った情報を得るように心がけていただきたいと思います。

台風18号は、東日本から北日本を縦断しますが、大雨や暴風の範囲は、少なくとも点や線で表せるような細さではありません。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

TBSテレビ・ラジオ気象キャスター。大学在学中に気象予報士を取得し、民放キー局の報道番組に学生予報士として出演。気象キャスターに携わりながら、企業への予報やアドバイザーも長年担当し、甲子園での高校野球の大会本部気象担当を務めたこともある。災害から身を守る気象情報の使い方など講演も行うほか、Twitterで気象情報を毎日発信。著書に『TEN-DOKU クイズで読み解く天気図(ベレ出版)』がある。1977年滋賀県甲賀市生まれ。

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