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盛山文科相が言及する教員人材確保のための「指導助言」が効果的なら、しっかり「成果」まで公表してほしい

前屋毅フリージャーナリスト
(写真:つのだよしお/アフロ)

 盛山正仁文科相は1月23日の記者会見で、「対応の遅れが懸念される教育委員会に対し、国の補助事業の活用や他自治体の先導的な取り組みの導入など必要な指導助言を行う」と述べ、文科省として積極的にかかわっていく姿勢を示している。どれくらいの成果につながるのだろうか。

|文科省は有効な教員確保策を指導できるのか

 文科省は、都道府県と政令指定都市の教育委員会に「教員発掘」の取り組み状況などを尋ねる調査を23日に始めた。今年4月の新学期スタートにあわせて、3月末までに行う教員確保の具体策や、それによる人材確保の「見込み」を答えさせるのが調査の内容だ。つまりは、新学期スタート時に必要な人材確保を促すための、「尻叩き」でしかない。

 教育委員会にしても、人材確保を急ぎたいのは山々である。確保策をやっていないわけではなくて、やりようがないのが実感にちがいない。いくら尻を叩かれても、限界を感じているのが実感にちがいない。

 そこに、盛山文科相の「必要な指導助言」の発言である。文科省が人材確保のための有効な策を助言してくれるというなら、教育委員会にとってはありがたいことにちがいない。

 ただし、「やれ、やれ」のかけ声だけでは、教育委員会にとってはプレッシャーだけでしかないし、前向きで有効なアクションにつながるわけがない。「必要な指導助言」というのであれば、それは具体的、かつ有効な助言指導でなくてはならない。そのあたりは、文科省も理解していて当然である。

 文科省の調査で「対応の遅れが懸念される教育委員会」がはっきりすれば、すみやかに文科省は「必要な指導助言」を行うことになるのだろう。

 どのような指導助言が行われ、そして効果をもたらしたかをあきらかにすることは、教員不足が深刻化するなかで人材確保を急ぐための大きな参考になることはまちがいない。文科省の指導助言を検証することは、大きな意味がある。それは、文科省の指導力をあきらかにすることにもなる。

 盛山文科相と文科省には、指導助言の詳細をつまびらかに公表してもらいたい。それによって、文科省の指導助言が深刻な教員不足の解消に向けての打開策につながっていくことを期待したい。

フリージャーナリスト

1954年、鹿児島県生まれ。法政大学卒業。立花隆氏、田原総一朗氏の取材スタッフ、『週刊ポスト』記者を経てフリーに。2021年5月24日発売『教師をやめる』(学事出版)。ほかに『疑問だらけの幼保無償化』(扶桑社新書)、『学校の面白いを歩いてみた。』(エッセンシャル出版社)、『教育現場の7大問題』(kkベストセラーズ)、『ほんとうの教育をとりもどす』(共栄書房)、『ブラック化する学校』(青春新書)、『学校が学習塾にのみこまれる日』『シェア神話の崩壊』『全証言 東芝クレーマー事件』『日本の小さな大企業』などがある。  ■連絡取次先:03-3263-0419(インサイドライン)

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