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部活動軽視は子どもの成長のためになるのか

前屋毅フリージャーナリスト
(写真:アフロ)

 教職員の過重労働問題がクローズアップされるにともなって、部活動に厳しい目が注がれるようになった。神奈川県の中学で運動部の顧問を務めている教員は、「やりたくて顧問をやっている教員も多い。なのに、余計なことをやっているような言い方が増えているのには納得いきません」と不満をもらした。

 部活動は学習指導要領に定められた学科ではない。つまり、文科省(文部科学省)が「やれ」といっているわけではない。だから文科省は、教員の加重労働の原因が部活動にされる動きを止めるどころか、歓迎する様子さえある。

 部活動を不要と考えているのは文科省だけではなさそうだ。ベネッセ教育総合研究所が10月26日に公表した「学校外教育活動に関する調査2017」の調査結果によれば、「スポーツや芸術よりも勉強を重視する」という保護者の意識が、8年前の調査より12ポイントも上がっていた。

 スポーツや芸術などの部活動をやっているより学校の勉強をしろ、と思う保護者が増えていることになる。だから、部活動が悪者にされても、それに異を唱える声は大きくならない。部活動だけを止めさせても教員の過重労働問題は解消するわけではないのだが、部活動に対する風当たりは、ますます強くなっていくのかもしれない。

 考えを及ぼさなくてはならないのは、部活動の重要性である。スポーツや芸術によっても子どもたちは成長していく、という点である。そこを疎かにしていることが、部活動軽視の発想につながっているようにおもえる。

 成長を幅広く、そして長い目でみなければ、子どもたちを狭い世界に押し込めてしまうことになりかねない。それは、子どもたちにとって、けっして善いことではない。

フリージャーナリスト

1954年、鹿児島県生まれ。法政大学卒業。立花隆氏、田原総一朗氏の取材スタッフ、『週刊ポスト』記者を経てフリーに。2021年5月24日発売『教師をやめる』(学事出版)。ほかに『疑問だらけの幼保無償化』(扶桑社新書)、『学校の面白いを歩いてみた。』(エッセンシャル出版社)、『教育現場の7大問題』(kkベストセラーズ)、『ほんとうの教育をとりもどす』(共栄書房)、『ブラック化する学校』(青春新書)、『学校が学習塾にのみこまれる日』『シェア神話の崩壊』『全証言 東芝クレーマー事件』『日本の小さな大企業』などがある。  ■連絡取次先:03-3263-0419(インサイドライン)

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