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子育ての追加支給を打ち切って、安倍政権の「新・3本の矢」は「幻の矢」となる

前屋毅フリージャーナリスト

ここまでくれば「冗談」ではすまされない。

自民・公明両党は12月16日、児童手当を受ける世帯を対象に子ども1人あたり3000円を追加支給する事業を2016年度は継続しない方針を決めた。それは、「17年4月の消費増税時に導入する軽減税率の実施のため、6000億円ほどの財源確保が今後、求められるなか、財政再建に配慮して打ち切ることにした」(『日本経済新聞』電子版12月16日)からだという。

軽減税率は来年の参院選を意識しての恣意的な内容なのは周知の事実である。それをやるために、子育てのための追加支援を打ち切るというのだ。選挙に勝つための弱い者いじめ、でしかない。

安倍晋三政権は2020年に向けた経済成長のエンジンとして、「新・3本の矢」を発表している。(1)希望を生み出す強い経済(2)夢を紡ぐ子育て支援(3)安心につながる社会保障-の3項目が3本の矢だそうである。

ぐだぐだ説明は必要ないだろう。追加支援の打ち切りは、この3本の矢のうち(2)と(3)に明らかに反することである。それを平気でやろうというのだから、あきれるしかない。冗談にもならない。

言ってることとやってることがまるで違う安倍政権の本質をみると同時に、安倍政権のやろうとしていることは「弱い者いじめ」でしかないことを、再確認した思いである。

フリージャーナリスト

1954年、鹿児島県生まれ。法政大学卒業。立花隆氏、田原総一朗氏の取材スタッフ、『週刊ポスト』記者を経てフリーに。2021年5月24日発売『教師をやめる』(学事出版)。ほかに『疑問だらけの幼保無償化』(扶桑社新書)、『学校の面白いを歩いてみた。』(エッセンシャル出版社)、『教育現場の7大問題』(kkベストセラーズ)、『ほんとうの教育をとりもどす』(共栄書房)、『ブラック化する学校』(青春新書)、『学校が学習塾にのみこまれる日』『シェア神話の崩壊』『全証言 東芝クレーマー事件』『日本の小さな大企業』などがある。  ■連絡取次先:03-3263-0419(インサイドライン)

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