Yahoo!ニュース

ノート(214) 陸山会事件の反対尋問でどのような証言をしたか その意図とは?

前田恒彦元特捜部主任検事
(写真:アフロ)

~続・工場編(7)

受刑234/384日目(続)

予想された反対尋問は?

 検察官役の指定弁護士による主尋問が終わり、休廷を挟んで弁護側の反対尋問が行われた。尋問を担当したのは、証言台から見て右側にある弁護人席の最前列で最も裁判官寄りの位置に座っていた男性の弁護士だった。

 厚労省虚偽証明書事件で無罪となった元局長の弁護団の一人でもあり、刑事弁護に熱心に取り組む関東圏の弁護士の中でも「若手のホープ」と目されていた人物だ。

 上品で落ち着いた高級そうな紺系統のスーツやネクタイをパリッと着こなし、知的なメガネ姿で髪型もカチッと決まっており、清潔感がある。尋問中は背筋をピンと伸ばし、声も朗々とよく通る。

 しかも、あらかじめ用意していた「尋問メモ」にチラチラと目をやるような自信なさげな素振りは見せず、十分な事前準備によって何をどのような組み立てで尋ねるのか頭の中に叩き込み、証人や裁判官に目配りをしつつ、堂々と尋問を行っていた。

 英米の法廷で活躍したキース・エヴァンス弁護士の著書『弁護のゴールデンルール』には「きちんとした服装をせよ」という一文がある。法廷はプレゼンテーションの場であり、自らの見せ方にも注意を払えということだ。

 この弁護人は、まずは身なりや立ち居振る舞いによって裁判官を含めた周囲に与える印象をよくし、信頼感を得ようといった法廷における刑事弁護技術の初歩をきちんと実践できているように思われた。

この記事は有料です。
元特捜部主任検事の被疑者ノートのバックナンバーをお申し込みください。

元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

前田恒彦の最近の記事