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ノート(208) 大阪から再び静岡へ 証人出廷に向けた陸山会事件の振り返り

前田恒彦元特捜部主任検事
(写真:アフロ)

~続・工場編(1)

受刑202/384日目

大阪から再び静岡へ

 この日は11月14日で月曜であり、静岡刑務所への移送のため、午前7時にワゴン車に乗って大阪拘置所を出発した。護送を担当した職員は大阪地裁に出廷した際のメンバーとほぼ同じ顔ぶれであり、特別なプロジェクトチームが組まれているようだった。高速を経由し、午後12時ころには静岡に到着したが、さすがに車での長距離移動は疲れた。

 まずは新入調査室で全裸になって身体検査を受け、指定の舎房着に着替えたあと、写真撮影や持ち込んだ荷物のチェックがあった。これまで何度も体験しており、こちらも手慣れていたし、大阪でかなりの量の本や雑記帳などを処分していたことから、手続は迅速に進んだ。大阪地裁での3期日にわたる証人尋問で日当を支給されていたので、刑務所預かりとなる領置金は6万円台となっていた。

 こうしてひととおり検査を終えると、刑務官に促されてそのまま図書計算工場へと向かった。静岡から大阪に移送されたときのようにいったん1舎でリハビリを行うのかと思っていたことから、これは意外だった。

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元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

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