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ノート(194) 運動会のあとに目撃した「ヒコーキ」で保護室送りの受刑者

前田恒彦元特捜部主任検事
(写真:アフロ)

~工場編(22)

受刑168/384日目(続)

創意工夫を凝らした応援合戦

 運動会では、開会式で所長の開会宣言や更生保護女性会長ら来賓のあいさつを聞き、準備体操を行ったあと、各工場ごとにトラックの周囲に座った。日よけのテントやパイプ椅子が用意されているのは幹部や来賓用の席だけであり、受刑者は地べたに敷かれたブルーシートに運動靴を脱いで上がるかたちだった。

 競技は応援合戦を皮切りに始まったが、高校野球の応援団のようなオーソドックスな応援をするグループと、歌や踊りを盛り込んだ独創的なグループとに分かれていた。木工や金属など、若くて屈強な受刑者が数多く配役され、普段から担当刑務官に極めて厳しく指導されている工場は、受刑者の動きがビシッとそろっており、声も非常によく出ていた。

 歌や踊りを盛り込んだグループは、ほとんどが当時流行していたAKB48「ヘビーローテーション」を選曲していた。図書計算工場や炊場、内掃、営繕工場の合同チーム「青組」のあやまんJAPAN「ぽいぽいぽい、ぽ、ぽいぽいぽ、ぴー」も、残念ながら3つの工場と丸かぶりしていた。

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元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

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